小川卓さんによるマンガで説明するウェブ解析の書籍。
広告代理店から転職した主人公がネットショップのサイトや売上改善にとりくむマンガと詳しい解説がある。
目次
【マンガかよ・・と侮ることなかれ】
マンガかよ・・・と侮ることなかれ、ウェブ担当者なら使えそうな事例とテクニックが数多く紹介されている。
逆に言うと、アクセス解析初心者が用語を覚える、といった内容ではない。メールやソーシャルメディアのデータを分析し、課題を抽出、具体的施策を考えるといった実務的な内容である。
海外のウェブ解析の本は読みにくいし、事例も使いにくいという人にはオススメ。この本は1つのネットショップと絞った話ですべてまとめてあるので、首尾一貫した内容はとても分かりやすい。
今沢山出回っているGoogle アナリティクスなどのツールの使い方やレポートの本では、自社の場合どう取り組んでいいか分からない、といった人にもオススメ。A/Bテストやアトリビューション分析など、事例をもとに紹介している。
【ウェブ担当者・ウェブ業界の人にオススメな内容】
私の「ウェブ解析入門」はどちらかというと経営幹部や経営者向けに書いた。この本はウェブ担当者向けともいえるかもしれない。
ぜひ目を通しておきたいページも多々ある。
例えば、P182の「現場におけるウェブ分析のリアル」はとても大事な内容だ。ウェブ解析をすべきだ、という言葉には誰もがYesと言うが、現実で困る点を細かく述べる本は少ない(実務経験不足で、机上の空論だからだよ・・・と思う本やセミナーも多いが)。その困るポイントについて、完璧ではないとしても解決策を出している点も参考になる。
【マンガにするのは大変だったろうなぁ】
マンガにするのは大変だったろうな、と思う。ストーリーとしてメリハリも必要だし、かといってウルトラCでは実務に使えない。だからといって、実務に沿って作ったら、ストーリーが面白くなくなってしまう。ウェブ解析は日頃ドラマとサスペンスにあふれた業界ではなく、地味な作業も多いから、それをそのままストーリーにしたって面白くなくなってしまう。
まあ、ストーリに多少無理があったり、ソリューションの一部は相応の費用や体制がないと難しそうなものが含まれて入るが、その分を差し引いても内容は一読する価値がある。
ツールの使い方を知っていて、いまさらマンガじゃなくても重要性も分かってるよ・・・という人こそ、一度手に取ってほしい。