「仕事とウェブ解析士」をテーマにお送りさせていただくウェブ解析士インタビュー。5人目は大阪・高槻を拠点にフリーランスとして活動する「NEWの屋」の丹生谷(にゅうのや)さん。「高槻のWeb屋さん」として、ウェブサイト制作のディレクション、企画・構成設計、デザイン、コーディング、運用サポートのほか、ロゴマークなどのグラフィック制作や映像制作を手掛けるなど、幅広いニーズに応え、お客さまの「新たに」をお手伝いされています。
2013年にフリーランスとして活動をスタートし新規のお客さまへの提案・開拓が増える中で、ウェブサイトの見た目やデザインといった部分から、その内側にある数値や情報を読み解く “ウェブ解析” の重要性を意識するように。
シングルファザーとして家族を愛し、地域に支えられる暮らしぶりからも、丹生谷さんがとことん相手に寄り添い、力になりたいという思いがあふれるインタビューとなりました。
(インタビュー:ウェブ解析士マスター 小杉 聖)
(編集:ウェブ解析士 中川 千春)
家族を愛し、地域に支えられるフリーランス
高槻のWeb屋さん!覚えやすくて素敵なキャッチコピーですね。
ありがとうございます。サイト制作がメインですけど、時にはニュースの更新やネットショッピング関連の運用サポート、外部パートナーの協力を得てSEOをすることもあったりと、幅広くやっていますね(笑)
独立前に関東にいた時のつながりで東京のお客さまも多くて、だいたい大阪か東京という感じですね。あとは、知人や飲み友達からの紹介だったり。クラウドソーシングサイトなどもよく見ています。
フリーランスとして知り合いからお仕事を受けると「友達価格で」って言われてしまうこともよくある話ですが、その点、丹生谷さんはいかがでした?
やっぱりウェブって手でさわれるモノとして形に残らないので、初めはそういう風に言われることも多かったです。でも、だんだんと、相手との関係性に囚われず自分が純粋に納得できる価格で出せるようになりました。
リソースが大きく取られてしまうので、他の仕事ができなくなってしまうんですよね。家族を守れるラインはキープしたいと考えるようになりまして。3年くらい前に、新規案件をたくさん取るようになった頃からですかね。
家族を大切にする姿勢、ステキです!
実は僕はシングルファザーで、今年中1になる娘がいるんです。娘が3歳のときから2人暮らしで、昔、クリスマスを楽しみにしていた娘のすぐ横で仕事していた時もあって、すごく申し訳ないと思ったんですよ。そうしたこともきっかけになって、線引きしないといけないなと思うようになりました。いくら仕事が充実したとしても、心が死んでしまいますから。
そうだったんですね。その頃、娘さんは小学生でしょうし、相当大変だったのでは……
娘が小さいうちは預けるための手配とかが大変で、なかなかお客さまとの飲み会にも行けなかったですね。でも、今住んでいる高槻に引っ越してきてからは、そういう機会にも顔を出せるようになって、どんどん新規を取りにいけるようになりました。
近所にいる先輩がありがたい存在です。仕事で留守にするとき娘には「(先輩が経営している)近所の鉄板焼きの店に行っておいて~」とか言っています(笑)
娘さんとは仕事の話をすることもありますか?
結構話しますよ。うちではロゴマークも作っているので、ラフ案を見せて「どっちがいいと思う?」と率直な意見を聞いたり。僕の仕事を近くで見ていますね。ライブチャットのミーティングを横から見ていたりすることもありますよ。
お子さんが興味を持ってくれるのは、親としてもうれしいですね(笑)高槻の地域コミュニティの後押しも受けて、どんどん活躍の場を広げていらっしゃる感じですね。
そうですね、全体的に姿勢が前のめりになった感じがあります。この町は地域で子どもを育てるという雰囲気があって、かなり助けられています。ウェブの仕事以外でも、18歳から始めた趣味のブレイクダンスのつながりも大きいです。今でもバトルに出たり、ジャッジ(審判)のお仕事で呼ばれたりで、沢山の人と関わる機会が多いです。
ただ、これは誰でも同じというわけではないでしょうから、僕の場合は運が良かったんだと思います。
根拠に裏打ちされた提案と徹底したユーザー目線でお客さまの信頼を得る
今は自宅で作業しつつ、お客さまのところに行かれたり営業したりされているようですが、ウェブ解析士の資格は、フリーランスとして活動するようになった頃に取得したんですか?
いえ、しばらく経ってからですね。初めは専属契約の仕事があったこともあって、ありがたいことに自分から案件を積極的に取りに行かなくても良いぐらいお仕事をいただけていたんですが、残念ながら、一昨年くらいにそれが無くなって(泣)
その後、新規をどんどん取りに行くようになりました。そんな中、同業の知り合いからウェブ解析士のことを知ったんです。「資格を持っていた方が、名刺を渡した時のファーストインプレッションが違うよ!」と言われまして。
ファーストインプレッション!それに惹かれたんですね。
はい、その言葉を受けて、なんとか勉強に専念する時間を作って去年のGW前に取りました。ぶっちゃけると、資格が欲しかったという気持ちも大きいですが(笑)
フリーランスということもあって、名刺に資格を載せて信頼度をアップさせたかったんですよ。お客さまと対等に話せるようにしたくて。
資格商法と言われることもある資格なので、信頼度がアップすると判断してもらえるのは、ウェブ解析士マスターとしてはちょっとうれしいです(笑)
そう判断されたということは、すでにある程度ウェブ解析をされていたんですか?
これまでも、アクセス解析・効果測定を自分なりにやっている時期はありました。でも、普段つかっているところしかわからないんですよね。
SEOをやり出した当初は「この数字を見て、これをやってください」って指示を受けて、「なぜこの施策やっているんだろう?他にも色んな方法あるんじゃないかな?」って感じたことがあったんです。それをきっかけに、「理屈を知りたい、自分で納得できるようになるために勉強したい」という思いを強く持つようになりましたね。
実際にウェブ解析士の資格を取ってみて、お客さまのファーストインプレッションはどうですか?
そうですね、名刺に “ウェブ解析士” って書いてあることで、会話のきっかけが増えました。「ウェブ解析士って何ですか?」と聞かれるので、「こういうのですよ」って説明すると、結構興味を持ってもらえています。取って良かったですよ!感謝しています。
最初のきっかけづくりに役立ってるんですね。お客さまへの提案などにも変化はありましたか?
数字を根拠にして話をするようになりましたね。例えば、お客さまからの「キーワードはどれがいいですか?」って相談に対して、「●●は●●%だから良い」というように、理論立てて説明できるようになりました。
感覚で話をするとその時によって答えがブレてしまうこともありますが、データを元に話すと一貫した説明ができますし、お客さまの納得感も生まれやすくなりましたね。
ブレのない一貫性って、信頼につながりますね。
あとは、お客さまの依頼の「先」を見られるようになったと思います。今までは、お客さまの要望に沿って制作を行っていく・・って感じでしたが、指示されたことをやるというだけではなくなったのが大きいですね。
「こういうことを目指すなら、こういうのが必要じゃないですか?逆に、これっていらないですよね?」と、こちらから積極的に提案できるようになったのは大きいですね。
積極的な提案もそうですが「やらないこと」を判断できるようになるのは大きいですよね!そのためにはウェブ解析士のカリキュラムだけではカバーできないこともあると思うんです。
そうそう、それもあって、年初に開催されたペルソナとカスタマージャーニーマップの講座を受けてみたんです。これは絶対にやっといた方がいいなと思ったので、あるサイト制作の案件で試してみました。ペルソナやKPIの設定などをしっかり行ったうえで、お客さまに興味を持ってもらえるレベルのところまでアレンジしてみたんです。1か月間じっくりと競合の研究もしましたし、「もうこれだけやったら失注しても後悔はない!」って思えるくらいまでやりました。
おおー!どうなりました?
最初は「できるだけ安くでいいから」って言われてたんですけど、がっつりとしたコーポレートサイトになりました(笑)お客さまの反応も変わったのを実感しますね。打合せが楽しいですよ!
積極的に質問をしてもらえたり、資料を興味深く見てくれたり、サイトのプロトタイプを進んで触ってくれるようになったり。お客さまが自主的に動いてくれているのが、とてもうれしいですね!
子どものようにワクワクした表情から、丹生谷さんにとってお客さまは、一緒にビジネスを良くしていく「同志」という印象を受けました。
最初の打ち合わせは顔合わせだけで終わらせず、必要に応じて現地に足を運び、リサーチするようにしているとのこと。特に店舗の場合は車の往来や駐車場の位置、近くのお店などを確認しているそうです。そうやってエンドユーザーの身になって気づいたことを提案すると、とても喜ばれるんです、と嬉しそうに話していただきました。
今ではオンラインチャットでやりとりをすることが多いそうですが、その場で実際に手を動かしてもらいながらサポートしていらっしゃいます。相手がどれくらい理解しているかもわかり、当事者意識も持ってもらえるということで、一石二鳥ですね。
とことん相手のペースに寄り添いながらも、俯瞰した目線から得られる情報も共有していく姿勢は、これからもっと求められることでしょう。
情報発信するお客さまのための “発射台” を作る仕事で、事業の成果に貢献する
先ほど「資格が欲しかった」という素直な思いをいただきましたが(笑)、ウェブ解析士の資格を実際に取ってみて、いかがでしたか?
以前はウェブサイトの見た目やカッコよさを重要視していましたが、この資格でウェブサイトの本質(目的)を重要視するように大きく変わりましたね。これからの時代はウェブサイト制作に関わる人達に加え、作ってもらう側の経営者さん達も全員知っておいたほうがいいことが網羅されているので、資格の合否に関係なく、絶対にプラスになると思いますよ。
丹生谷さん的に、勉強のコツとかありますか?
そうですね、なんでもそうですが、僕は当事者意識が必要だと思っています。
まずは教科書(公式テキスト)を全体的に眺めてみて、その中で自分のできそうなところを実際にやってみるといいですね。新たな仕事をやっているうちに、「もっと知らないと無理だ」という状況になったら、関連する知識を調べようとしたり、次のステップに進もうと思うようになったりするものだと思うので。
少しずつ自分の領域を広げていくのがコツということですね。
そもそもサイト制作をするうえでは、まず、お客さまがウェブサイトを活用してやりたいことを聞くのが前提だと思っているんですよね。そのうえで、ペルソナやカスタマージャーニーマップなどのフレームワークをつかって提案して、お客さまとすり合わせて……っていうのが大切だと思っています。
すり合わせるのは大切ですよね。共通認識を持たないと、お客さまと同じ夢を語れないですし。
よくお客さまにも伝えているんですけど、ウェブサイトはお客さまが顧客のもとへ情報を発信するための “発射台” なんですよね。その発射台から情報を発信するのはお客さま自身。だから、お客さまに当事者意識を持ってもらうことがすごく重要なんです。僕ができることは、お客さまがユーザーを理解し、情報を発信するべき方向を決断するための手助けをすることだと考えています。
“発射台” って、すごく良い表現ですね……!
サイトを作る立場からのアドバイスだけでなく、「いちお客さまとして見て、どう思いますか?」って聞かれる機会も増えてきました。ユーザー目線になれるのは強みだと思います。
今、案件を十数件ほど手掛けているんですが、ウェブ、名刺、店舗看板のデザイン制作から施工業者の段取りまでと幅広くやっていますね。僕はいったい何屋さんだろうって思うこともありますが(笑)ウェブ解析士を取ったことで、活動範囲が広がったのを感じます。
ウェブ解析士のコミュニティは、以前より参加しやすくなりましたしね。2019年の11月頃、大阪でもウェブ解析士会議があるじゃないですか?
ウェブ解析士会議の関西版ですよね!実はスタッフをやることになったので、今からワクワクしています。知識の幅はもちろんですが、たくさんの人から刺激を受けて、生き方の幅を広げていきたいです!
あとがき
ブレイクダンスもされているということで、一見チャラい印象を受ける丹生谷さん。しかし話を聞いてみると、守ると決めた相手にはとことん寄り添い、励まし、提案し、何よりも一緒に楽しむという人情にあふれた姿が印象的でした。
ウェブ制作をする身としては、ウェブサイトは納品がゴールと考えられてしまうこともまだまだ少なくないと感じていますが、“情報の発射台” として共通認識を持てたなら、発射台だけでは機能するはずもなく、そこに玉(魂)を込めるのは他でもない、クライアントだということですよね。
それを実現するためには、やはりクライアントとの認識のすり合わせが一番大切で、ウェブ解析士としての知識以上に、「呼ばれたらどこにでも行く」というフットワークの軽さが、丹生谷さんの武器なのでしょう。私たちも、自分の武器を磨いていきたいですね。
ビール片手に、相談してみませんか?
ウェブサイトの新規制作やリニューアルのほか、悩みはあるけれど何を聞いたら良いのかわからないというお客さまも、まずは高槻のWeb屋さん「NEWの屋」までお気軽にご相談ください。直接お会いしてのヒアリングを大切にしていますが、関西圏外の方や、ご都合のつけにくい方に対して、ビデオチャットでのヒアリングも行っています。
大阪周辺のお客さまについては、その日のスケジュール次第では当日こちらからお伺いすることも可能です。飲みゅニケーションも大歓迎です!ぜひ、ビール片手にお話ししましょう!