ウェブ解析士マスターである株式会社パソナテック 寺岡 幸二さんに1月に発売された「Google アナリティクス 実践Webサイト分析入門」の書評を頂きました。
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【書評】Google アナリティクス 実践Webサイト分析入門
我々「ウェブ解析士」に限らず、Web解析に取り組む方々には、何かしらその理由が存在します。
Web制作時によりよいワイヤーフレームをおこす為。広告の効果を的確に判断する為。経営的な視点で戦略・戦術のPDCAを回す為。まずはどれくらいの人に閲覧されているかを把握する為。様々なきっかけでWeb解析に取り組まれていると思います。
しかし入り口がどうであれ、継続してそのデータを活用していくには、自分の取りたいデータが的確に取れる必要があったり、そのデータから次の行動を読み取れる必要があります。それができず、何をしてよいか分からなくなり、ただデータを眺めるだけになることも少なくありません。
そして何より悩ましいのは、ユーザーの行動と解析ツールが日々変化している点ではないでしょうか?
ユーザーとツールの変化についていこうと思っても、勝手に取得されるデータからは、なかなか行動に移しにくいものです。新たな行動を生み続けるために、解析に関する知識もアップデートしていく必要があります。
本書には「入門」という文字がタイトルとしてつけられ、一見「これからGoogle アナリティクス(以下、GA)を使い始めようとする方向け」というイメージを持たれるかもしれません。しかし実際には、
”利用目的別に100の法則を選び、具体的に「何のデータを見て、どう考えればいいのか」という視点で解説しています。(「はじめに」より引用)”
とあるように、悩めるWeb解析担当者に対して、解析のきっかけや取りたいデータに併せて、必要な法則を解析環境に適用していけるような「実践方法」が紹介されています。
もちろん、これからGAを利用し始めようとされる方は、第1章の「アクセス解析の準備と心構えをする法則」から学べばよいし、同章で改めて「そのデータから何を分析すればよいか?」を、例から学び直すこともできます。
また、PDFのダウンロード数(法則17)や同一URLのフォームの遷移(法則18)など、以前であれば解析できなかったものがここ数年のGAの進化で可能になっているので、その知識をアップデートすることもできます。
そしてこれからは、マルチチャネル(第6章)や外部データ連携(第7章)と併せて、マルチデバイス環境での「ユニバーサルアナリティクス」が主流となります。その為の準備を始める上でも、本書などから知識をきちんとアップデートしておきたいところです。
個人的には、法則2で紹介されている「OGSM」というマーケティングフレームワークについても、具体例があるとより事業にあったWeb解析ができるかなと思いましたが、そこは個人的に掘り下げるとして、改めて「次の行動に移せるWeb解析」を実践しやすい内容になっていると思います。
何事も、一度振り返ったりアップデートしたりすることで、気付きや新しい行動が生まれるものです。自分にとっても、そのきっかけのひとつになる著書だと感じました。
株式会社パソナテック 寺岡 幸二
書評のご協力ありがとうございました。