デジタルマーケティングを駆使するNPO職員。支援が必要な方へ情報が届く社会に 上級ウェブ解析士、宇田葉子さん

「仕事とウェブ解析士」をテーマにお送りするウェブ解析士インタビュー。76人目は、子育て・福祉の分野で資格を活用されている宇田 葉子(うだ ようこ)さん。子ども・子育ての領域を支援する認定NPO法人フローレンスの職員として、デジタルマーケティングを推進しています。

2019年の上級ウェブ解析士取得から、上級SNSマネージャー、上級ウェブ広告マネージャーと取得され、さらなる進化を続ける宇田さん。福祉の分野で資格をどう活かしているかお話いただきました。

(インタビュー:上級ウェブ解析士 毛利 美佳、編集:ウェブ解析士 ふじねまゆこ)

目次

子育てで悩み苦しむ方へ情報を届けたい

――宇田さんは現在、子どもや子育ての支援を行う認定NPO法人にお勤めとのことですが、どのような団体でしょうか?

宇田 葉子さん(以降、宇田さん):私が所属する認定NPO法人フローレンスは病児保育の不足や待機児童、虐待、障害児への支援不足などの社会的課題解決を目指した支援を行う団体です。この団体で私は寄付を募る部署に属し、団体の認知度向上とファンを増やすためのデジタルマーケティング施策を立案・実行しています。

――とても社会的意義がある活動に参加されているのですね。今のお仕事に就いたきっかけは何だったのでしょうか?

宇田さん:団体SNSの発信を通じて、活動や事業にかける思いを知ったのが転職のきっかけです。団体のX(旧Twitter)アカウントの発信にどっぷりハマった実体験から、SNSを使って情報を効率的に届けるための知識も身につけたいと思い、上級SNSマネージャーを取得しました。

――今のお仕事で資格が活かせたと思うことは何ですか?

宇田さん:採用面接の段階で上級ウェブ解析士を持っていたことは良いアピールポイントになりました。入社後、デジタルマーケティングのお仕事をするうえで、戦略から技術面の幅広い知識と認定講座で得た事業遂行のために何が必要か考える経験は非常に役立ったと思います。

私たちが伝えたい相手は社会が見落としてしまいがちな方々です。そういった当事者の方への情報発信と、活動へ寄付などで協力してくださる方への発信、採用活動のPRはそれぞれ違う層へのアプローチが必要です。

対象ごとに違う導線、キーワード、企画を考え実現するときに、資格で得た知識と経験が非常に役立っていると感じます。

支援が必要な方々のために、資格で得た知識をフル活用

――宇田さんが現在注力していることは何ですか?

宇田さん:ひとつは団体への寄付に関する施策です。私たちの活動に共感してくださる方への情報発信やエンゲージメントを高める工夫を通じて、より多くの方と信頼を築くための方法を考えています。

もうひとつは困難を抱える方々へ支援を届ける施策です。例えば私たちは予期せぬ妊娠に直面する女性への「にんしん相談事業」をしています。

赤ちゃんが捨てられてしまう悲しいニュースの背景には、誰にも相談できないままお腹が大きくなり、やむをえず安全ではない場所で出産してしまうという事情があるんですよね。当事者一人ひとり違う状況ではありますが、皆さん情報が届きづらい環境や人間関係の中にあると思います。そこでウェブが役に立つのです。

――最近のニュースを見ていて本当にそう思います。具体的にどうウェブを使えば良いとお考えですか?

宇田さん:当事者の方が見つけやすい形を模索しながら活用するのが第一だと思います。ウェブ広告もSNSも。たとえ当事者ご自身が見つけられなくても、周りの人が気づいて伝えてもらえるような認知・信頼関係の構築が大切です。

困りごとを解決するには行政とつながることが大切ですが、窓口で困りごとを言語化できる人ばかりではありません。窓口の営業時間に行けない、過去に傷ついた経験があるなど、環境と心の両面にハードルがあって行政の支援とつながれない人たちがいます。そんな方々への選択肢として私たちの活動があることに気づいてもらいたいです。

デジタルの力で、多様なハードルを乗り越えられる社会に

――宇田さんが目指したいビジョンを教えてください。

宇田さん:私が若い頃の、インターネットやスマホが存在しなかった時代に比べて今は飛躍的に便利になりました。ハンディキャップを持つ方も同じで、視覚支援や言語支援などのアクセシビリティも進化しています。デジタルはこれからさらに進化し続ける分野だと思うんですね。

そんなデジタルの利点を活かして、さらに多くの方に支援が届く施策をいくつも実行しようとするとき、ウェブ解析士協会の各種資格で施策を考える基礎知識を得ることができたのは、大きな財産だと思っています。これからもこの道を追求していきたいですね。

――きっとより多くの方に届けられると信じています。最後に、これから資格取得に挑戦したい方へメッセージをお願いします。

宇田さん:私自身、就職氷河期世代かつ専業主婦の期間が長く、就職に苦労しました。40代、50代は多くの企業で管理職経験が問われがちで、就職が難しいところがあるかと思います。ただ、ウェブ解析士を含むデジタル分野は今後各分野で求められる知識です。私自身も有識者としてのポジションに就くことができました。

自分らしいキャリアを歩むために、これらの資格を取得してよかったと思っています。興味のある方はぜひ挑戦してみてください。

あとがき

ご自身のスキルの証明に資格を生かし転職に成功されたというお話は、転職に悩む方にとって勇気を分けてくれたのではないでしょうか。単なるスキルアップではなく、資格取得で得た知識を生かして、所属する団体、そして社会的に困っている方へ貢献されている姿に胸を熱くさせられるインタビューでした。(毛利)

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