この本では、ネットショップの集客と運営に必要な考え方や概念、具体的な方法論などが紹介されています。
内容は2部構成となっており、第1部は「準備編」で、ネットショップを始めるにあたり、どんな準備が必要かが書かれています。
準備編
第1章 「準備」で決まる、成否の8割
第2章 ユニークな商品を選択する
第3章 お客様と価値観を共有する
第4章 ショップや商品のタイプを認識する
第5章 小さく産んで大きく育てる
収益を上げるショップを作るために必要な準備。
内容は、とても「当たり前」の事が書かれていると思います。
自分のショップや商品のUSP(Unique Selling Proposition)を創り出す。
「USPは言い換えると、お客様に対して発する強烈なメッセージ」だそうです。
お客様のメリットが明確に提案でき、その提案は独自のものであり、かつ強力・魅力的であること。
確かに、そんなUSPがきっちり創り出せていれば、ほぼ8割は成功と言えるだろうな…ということは、本を読むまでもないかもしれません。
似たような商品が氾濫している世の中で「思いつきでネットショップをはじめても長続きしない」という事が間違いないのは、実際にいくつかのネットショップ制作のお手伝いをさせて頂いた中で、私自身が、まさに“実感”してきた事です。
「誰よりも考え抜いてはじめたショップは、多少のトラブルや売り上げ不振程度では根底が揺るぎません。」というメッセージも、大きく頷きながら読みました。
比較的簡単にスタートできるネットショップだからこそ、考え抜いたUSPが必要。
まずは、そこから準備をする必要がありますね。
しっかりしたUSPを創り出したら、次は商品です。
自社の理念で開発した商品を売っているショップであれば差別化はしやすいですが『他のネットショップと同じ商品を取り扱う場合は「あなたのショップで商品を買うメリットはなにか」を明確にすることで買う理由付けをすることができます』と書かれています。
これは、とても難しい…ですよね? が『売れる商品などない「結果として売れた商品」があるだけ』とのいう内容は、とても納得できました。
次に、購入障害とは何か?ということや、壁を乗り越えてもらうための施策が解説されています。
商品を買ってもらうために、お客様がなにを求めているかをリサーチする…
ブランドを作り上げる必要もあるでしょうし、ストーリーを考える必要もあるでしょうが、『商品を使ったらライフスタイルが豊かになったという期待感を売る』という事が、現在の購入形態の主体という部分では、まさに…と、自分が買物をする時の心理を読んだように思いました。
また、自分の商品はどのジャンルに属し、ライバル商品が何かを理解することで、どんな対策が必要かについても書かれています。
競合がわかりづらい世の中で、視野を広げることが、いかに必要か?という事に気づかされます。
準備編では、いかにUSPが大切かということが繰り返し解説されます。
これからの時代、負けないネットショップを運用するということは、どんなUSPを創り出すかにかかっているかと思います。しっかり考え、ゆるがないUSPを創り出しましょう。
第2部は、「開業・集客・運営編」です。
ネットショップは出店がゴールではなく、5年、10年、20年と運営を続けていくことこそが肝要です。第2部では、『安定運営において非常に重要な原理と、実際に出店から集客、利益の安定化など、ショップの長期運営のための具体的施策』が解説されています。
開業・集客・運営編
第6章 開業までにすること
第7章 自分のお店のウェブサイトを作る
第8章 集客して商品を売る
第9章 購入後の対応とフィードバックの収集
第10章 コミュニティの作り方
第11章 ショップや商品の価値を高める、値段の付け方
第12章 利益が出たらすべきこと
仕事柄、ウェブサイト作成をお請けしたり、ネットショップ運営のお手伝いをしながら、今までにもいろんな本を読み、いくつものセミナーにも参加してきました。
開業までにすること~利益が出たらすべきことに至る第2部は、いろんな本も出てますし、ショップサイトを運営する方であれば、対応されている内容も多くあるのではないでしょうか?
集客に仕えるさまざまな施策についても、特に目新しい事が書かれているとは思えませんし、Google アナリティクスを利用し、お客様の行動を認識・強化しようという内容等も、ネットショップを運営していく上では必須の事だと思います。
(これからネットショップを始めようという方にとっては、とてもまとまった内容だと思います。)
そのような中で、特に私が注目した部分は、第10章の「コミュニティの作り方」です。
冒頭には、「今までのビジネスは全般的に、売り手と買い手の対面型でした。しかしこれからの時代は、コミュニティ型のビジネスモデルを構築することで、ビジネスに優位性を持たせることができます。」と、書かれています。
最近、特に感じる「コミュニティ」の大切さ。
私自身、SNSで友だちから紹介されていた商品や、いいネ!をしているFacebookページで紹介されている商品のホームページを、しっかりと読み込み「欲しい!」と思って買っちゃった…という事が多くあり、コミュニティの大切さを体感・実感しているだけに、コミュニティを創るための5つのステップは、とても興味深く読めました。
そして、ここでもショップのUSPをお客様に明示する必要があると解説されています。
変化の激しい世の中で、ネットショップ運営の、肝となるUSP。
お客様に対する強いメッセージは何?
全体を通して、USPをしっかり打ち出していくこと… それが、成功するネットショップの「要」と言えるよね…と、認識した本でした。
株式会社サロンネットワークサービス / 上級ウェブ解析士 永島 恵