「仕事とウェブ解析士」をテーマにお送りさせていただくウェブ解析士インタビュー。43人目は、株式会社メンバーズの助川富美恵さん。
助川さんがウェブ解析士時代に受けたインタビュー記事は、2019年から2020年にかけて公開されたウェブ解析士インタビューのなかで、最も精読PV数が高い記事です。その理由は記事の読みやすさに加え、助川さんの人望が影響していたことに気づいたインタビューでした。
エバンジェリストWACA2019に選出され、会社では経営企画室にジョイン、2021年にはオンラインイベントでLT登壇に挑戦されるなど、年を重ねるごとにパワーアップする助川さん。コロナ禍で身動きができなかった分、さらに熱量を上げて活動に力を入れるそうで、今後のご活躍に目が離せません。
(インタビュー・編集:ライター ふじねまゆこ)
若手から中堅へ、ウェブディレクターから経営企画へ
―― 前回のインタビューから1年経ちましたが、変化はありましたか?
助川富美恵さん(以下、助川さん):メンバーズに新卒入社してから4年が経ち、社内では上長から「もう中堅だからね」と言われるポジションになりつつあります。会社は2030年に社員数1万人を目指していて、新卒社員を1年に400人近く採用することもあって、他社と比べると中堅に上がるスパンが早いと驚かれることが多いです。
―― 今も、不動産関連の部署に所属されていますか?
助川さん:インタビュー後、ECサイトを運営しているクライアントにに常駐し、さらに2020年12月、グループ経営企画室という部署に異動しました。所属して2ヶ月目なので、まだ仕事を覚えている段階です。
―― どういった仕事をする部署ですか?
助川さん:ざっくり言えば、業績管理と社内のDX(デジタル・トランスフォーメーション)推進です。DX推進は、社内ツールに対する改善要求や非効率を洗い出して、改善するためのマネジメントを担当します。
―― 今まで取引先への常駐など、現場仕事だったところが、会社の経営面に足を踏み入れているという感じですね。何人くらいのチームですか?
助川さん:部署でいえば4人です。社内DX推進プロジェクトのメンバーとしては、社内のエンジニアグループと一緒に8人くらいで動いています。
―― 具体的にDX推進というのはどういうことをしていますか?
助川さん:私がアサインされる前、稼働登録は社外ツールを使っていたのですが、タイムリーに稼働状況が把握できない課題を持っており、内製ツールを作って効率化を実現しました。稼働率の把握は受注に関わる大事な指標だったので、ストレス無くリアルタイムに把握できるようなりました。
―― クライアント業務と比べて、関係者の数も多いですし、規模の大きいプロジェクトですね。
助川さん:そうなんです。これまでとは違って、要件定義力が強く求められていると感じます。本来あるべき姿をはっきりさせるために、部署を越えて意見を集めて、設計書に落とし込んでいく、プロジェクトマネジメント的な仕事です。入ったばかりなので、今は試行錯誤中です。
チャンスを掴んで、まず飛び込もう!
―― 上級ウェブ解析士講座を受けようと思ったきっかけは何でしたか?
助川さん:以前から興味はあったのですが、費用面のハードルが高かったことと、上級ウェブ解析士を取得した後のゴールイメージが当時は薄くて、一歩踏み出せずにいました。加えて、今までSNSや広告運用をしている中で、Google アナリティクスなどのアクセス解析ツールの現場経験が浅く、スキルセット的に資格取得のレベルが足りないと感じていて。ただ、ラッキーなことに、弊社のウェブ解析士マスター・尾形 夏志さんが社内向けの上級ウェブ解析士講座を開いてくださって! しかも、会社の支援制度が利用できたので、今しかない! と思い参加しました。
―― 羨ましい! それは良いチャンスでしたね。
助川さん:本当に。偶然降りてきたチャンスを掴んだ感じです。でも、2017年にウェブ解析士を取得してから、エバンジェリストWACA2019を頂いたり、イベントで貴重な経験をさせていただいたり、ウェブ解析士協会で受けた恩恵は大きく、今までお世話になった分、上級ウェブ解析士を取得して、さらに恩返ししたい気持ちはずっと持っていました。
―― ちなみに、「上級ウェブ解析士はすごく大変」という話を聞きますが、いかがでしたか?
助川さん:大変でした! 課題提出まで毎日、土日も予定を入れずに、空いた時間ほぼ全部使って課題に取り組んで、久しぶりに受験生のような気分になりました。
―― 試験に落ちてしまった方もいらっしゃったのでは?
助川さん:一緒に受けたのは5人で、全員合格しました。社員同士のチーム力で乗り越えた感じでした。最終日は受講者の1人がGoogle Meetにオンライン接続しながらやらないか?と提案してくれて、もくもく会のような感じで課題レポートを作成しました。同じ課題に取り組みながら、わからないときは質問して、お互いに参考しながら形にしました。みんなで高め合う雰囲気が良かったです。
―― その方たちは、今でも連絡を取り合っていますか?
助川さん:個別連絡というよりは、メンバーズの社内でウェブ解析士が作ったルームの中でいろいろ話が盛り上がったり、尾形さんがセミナーの登壇者を募集されたり、そういうやりとりが活発ですね。社内版知恵袋のような掲示板もあって、社員全員の集合知で解決できる環境があると思います。
―― 部署の壁がない、フラットな環境ですね
助川さん:メンバーズは、そういう環境を持っているところがいいなと思っていて。社員数が多い分、集合知としての知見の幅と量がすごいですし、偏りが少ない。お客様から専門外の相談があっても、部署を越えて相談することができます。社員全体がフラットに協力して、お客様の課題解決ができるいい環境だなと思いますね。
経験を重ねて、芽生えてきた自立心
―― 仕事に関して、どんな未来を描いていますか?
助川さん:今までの業務は、お客様に貢献しながら、知識と経験をいただくことができ、満足度が高い環境でした。でも最近、世の中を良くするには自ら課題を考え、アイデアを生み出す必要があるのではという意識が芽生え始めました。そして、生み出したアイデアを今まで現場で培ってきたSNS・広告などの拡散スキルと掛け合わせたら、うまくいくのではと思うようになりました。経営企画のお話をいただいて、社内のDX推進における課題抽出をして、方針を決めて、形にするプロジェクトを主体的に立ち上げたいと考えています。
―― 転職、独立は考えなかったのですか?
助川さん:起業、独立はハードルが高い、自分で何かを生み出すには、まだ経験が足りないと思っています。自分でプロジェクトを立ち上げる経験、経営目線、経営スキル、知識を身に付けることができると思ったので、経営企画室への異動を決めました。
―― 今後ますます楽しみですね。このインタビューの後、さらに5年後くらいに会社を立ち上げてそうです
助川さん:よく言われます(笑)。自分でも、その道へ近づいてきてるかなと思うので、これだ! と思う事業アイデアができたら、何か新しいことを始めてるかもしれません。まだまだ先だと思いますが、それまで私自身として何を形にしたいか、探していこうと思っています。
―― すごく想像できます。とても人望に厚いですし、幅広い方とお付き合いをされていて。プライベートでも、いろいろ参加されていますよね。
助川さん:そうですね。羊かじり協会とか、ローストホースの会とか、インターネットラジオ出演とか……笑。ありがたいことに、ウェブ解析士協会でのつながりから、いろいろな方からお声掛けいただいています。誘われたものに興味があったら、物怖じせず飛び込むことは大切にしています。
就活のこと、ウェブ解析士のこと、なんでも答えます
―― 周りの方からウェブ解析士の資格について聞かれることはありますか?
助川さん:実は、大学卒業して4年経った今でも、自分の所属していたゼミとのつながりを大切にしています。先日も、母校で後輩に向けて就活のお話をしました。LINEでゼミ生とつながり、情報共有用のコミュニティで学生向けのセミナー情報など積極的に伝えるようにしています。
大学の夏期集中講座にウェブ解析士の試験対策講座があるので、興味をもった学生の相談にのることや、前回のインタビュー記事を見て、「実際どうなんですか? 」と聞かれることもあります。
―― インタビュー記事のアクセスが多いのは、助川さんの活動も大きく影響していたのですね!
助川さん:エバンジェリストWACA2019を受賞したとき、選出理由を教えていただいたことがあって。ウェブの魅力や、ウェブ解析士について後輩に伝えていくところに対する貢献が、推薦したポイントですと言われて、嬉しかったです。
―― 実際、どれぐらいのつながりがありますか。
助川さん:ゼミはひと学年に20人程度人で、就活に関わる2.3年生と考えると40人くらいでしょうか。ゼミに限らず、メンバーズに興味がある人は、ゼミ生でなくてもLINEグループに参加してもらうよう伝えているので、さらに増えますね。
他にも、Matcherという、OB訪問のマッチングサービスでプロフィールを公開しています。スケジュールの都合で頻繁にできているわけではないですが、他大学の学生からオファーが来て、就活の話やウェブ解析士の話をしています。
あとは、採用の面接官もやっているので、ウェブ解析士に関する話があればしますね。
―― 学生にとって、すごい心強い存在ですね。
助川さん:メンバーズのこと、ウェブ解析士のこと、興味を持つ方でしたら誰でもウェルカム、何でもお話します(笑)。
「楽しい」ことに熱中し、発信していこう
助川さん:この1年、コロナ禍でインプットばかりで、人と会って話す機会が少なかったんですけど、今後は、オンラインセミナーやLT会に登壇者として参加して、自分から発信していきたい。そこでリアクションしてくださった人とコミュニティを作り、つながりを広げることを、より一層強化していきたいと考えています。
―― セミナーでお話してみたいテーマはありますか?
助川さん:実は、2月のオンラインイベントでLT登壇にチャレンジします。そこでは、先ほどお話にあった人脈作りを軸にお話しようと考えています。普通の大学生が就職し、今に至るまでの経緯や、上級ウェブ解析士になって変わったこと、これまで自分が意識していたポイントなど、聞いていただいた方が活かせるところを抽出してまとめているところです。
―― このインタビューをさらに深掘りする感じですね。
助川さん:そうですね、今後はもっと発信力を強化して、自分の興味を大切にしながら、同じ興味を持つ人とのコミュニティが増えて、いろんな体験をして。とにかく自分がやりたい、楽しいって思うことに熱中して取り組みたい。そのためにも熱量を持って伝えることを頑張りたいなってところが、今年の目標ですね。
あとがき
助川さんの、「楽しそう」「面白そう」と思ったことへ貪欲に飛び込む姿勢に、私も背中を強く押されました。ただ自分が楽しむためではなく、後輩や悩める学生を支え、周囲と一緒にタッグを組んで良くしていこうという姿勢が、とても素敵でかっこいいなと思いました。
個人の力が求められる時代ですが、一人で出来ることを伸ばすには、さまざまな人に出会い、刺激を受け合う環境へどれだけ飛び込めるかが、大切な要素の1つだと思います。ウェブ解析士協会も、今後、会員同士のコミュニティ作りに力を注ぐ方針です。ぜひ、各種イベントを通じて、ウェブ解析士のコミュニティに飛び込んでみてください。