「仕事とウェブ解析士」をテーマにお送りさせていただくウェブ解析士インタビュー。48人目は、前回のインタビューから、わずか5ヶ月で上級ウェブ解析士を取得された大澤要輔(おおさわ ようすけ)さん。2020年10月に独立し、2021年7月には法人化、株式会社FlyEdgeを設立後、さらなるスピード感で中小企業のデジタルマーケティングを後押しされています。
もともと、上級ウェブ解析士を取得すると決めていた大澤さん。実際に認定講座を受けて、受講料以上の価値を得たとのこと。その真意を伺いました。
(インタビュー・編集:ライター ふじねまゆこ)
中小企業を内側から抜本的に改革する経営者の右腕
――お久しぶりです! 前回のインタビューがつい先日のことのようです(笑)。あれから変わらず、企業のウェブマーケティングに伴走し、コンサルタントとしてご活躍を続けているそうですね。
大澤要輔さん(以下、大澤さん):お久しぶりです! そうですね、おかげさまで事業は伸び続けており非常に好調です! でも、前々から感じていた「パートナー」や「伴走」という表現への違和感が大きくなってきました。
――どのような違和感ですか?
大澤さん:例えが難しいのですが、私は企業の外部ではなく、内側から事業成長にコミットする姿勢をとっています。「社外CMO」など、“社外”という言葉は入るけれど、確固たる意思で経営者と一束になって行動する「右腕」的な存在のイメージです。まさに組織の一部に組み込まれるようなイメージなので、会社の外からアプローチ・伴走するパートナー的企業とは少し違います。
――一般的なコンサルタントとの違いはどんなところでしょうか?
大澤さん:絶対的な違いは、私が外注業者のようなコミュニケーションをしない点ですね。仕事の線引きをせず、どんなお話も受け止めます。ときには、外注業者には普段絶対相談しないようなテーマをご相談いただくこともあります。このような組織内部的かつ、経営者の右腕的なコミュニケーションを取っていることで、ビジネス上のボトルネックに最速で気づき、課題解決を最速で行えるというわけです。顧客の皆様とそのような信頼関係を構築し、長期的及び短期的売上に直結する戦略設計からお付き合いすることで、有り難いことに「以前よりも早く高い成果があげられる」と、評価をいただいています。
――コンサルタント業のなかでは、かなり珍しい立ち位置のように思えますが?
大澤さん:普通は企業の内側に入りづらいですよね。求められることが増えますし。でも私としては、譲れない核となる部分です。前回のインタビューからさらにもう1社CMOとして参画し、7月には法人化をしました。アドバイスをするだけの微妙なコンサルタントが多い、という業界のイメージが塗り替わるようにさらに活動を広げていきたいと思います。
――ますますお忙しくなりますね。
上級受講の大きなメリットは、知識の“体得”
――もともと、上級ウェブ解析士は取得するつもりだったそうですね?
大澤さん:そうです。ウェブ解析士は知識の習得が目的ですが、上級ウェブ解析士は実践的な提案、コンサルティングスキルの習得がゴール。私の事業領域ですから、間違いなく役に立つと思っていました。
――受講前に期待したことは何ですか?
大澤さん:普段の業務で触れられない発見と、同じ課題を持つ人とのディスカッションですね。例えばウェブ解析レポートの作り方1つでも、情報の取捨選択が自己流になってしまいがち。自分が持っていないものを補えたらと思っていました。
――受講してみて、上級ウェブ解析士に感じたメリットはありますか?
大澤さん:ウェブ解析の1から10まで、膨大なアウトプットにより体得できた点が1番のメリットです。知識を「持っている」ではなく、「活用できる」状態になるのが、他の資格に無い魅力ですね。ボリュームとしては、受講申込から最終レポートの提出まで2ヶ月間あり、そのうち2日はZoomによる対面講座です。その間、資料の読み込みと課題にじっくり取り組みます。
――仕事をしながら、2ヶ月近く勉強詰めになるのですね。大変じゃないですか?
大澤さん:とっても大変でした。資料の多さと、課題の多さに驚いて焦りましたね。とはいえ受講料8万円をドブに捨てるわけにはいかないので、やるしかないって感じでした。
――講座で得た発見は、どんなものでしたか?
大澤さん:フレームワークや理論的なところの実践は発見が多かったです。フレームワークって、中途半端な知識では間違った使い方をしてしまいがち。使いこなすためには、それなりにしっかり学ぶ必要がありますよね。仕事中に学ぶ時間を作るのは難しいので、講座を機にしっかり学び直し、活用するところまで落とし込むことができました。
上級ウェブ解析士の場合、協会のLMS(ラーニングマネジメントシステム)、Moodleのコミュニティ機能で受講生同士のディスカッションが行われます。そこで、各自のレポートを評価し合えたのは貴重な機会でした。受講生は他業種の方も多いですから、多面的な気づきを得られたことも大きな発見ですね。
――試験結果よりも、講座全体のプロセスが重視されるのですね。
大澤さん:テストで100点取っても、実際の事業において成果を出せる証明にはならないですよね。知識を学ぶだけの資格は山程あるでしょうけれど、知識の体得ができる資格は他にないと思います。知識を学ぶだけでは目の前のお客様に成果を出せません。上級ウェブ解析士の講座目的の1つ「提案内容の付加価値化」は、お客様へ結果を出すと同義。お客様の事業成長につながる提案のクオリティが、最短期間で大量のアウトプットにより体得できました。
コロナ禍が「デジタルマーケティング」を当たり前にしていく
――受講中の勉強時間は、どれくらいでしたか?
大澤さん:私は直前にまとめてやっちゃうタイプなので、あまり参考にならないかもしれません……。事前課題・中間課題のボリュームが多く、仕事と並行して徹夜になりがちでした。着実にこなすならば、事前課題から最終試験までの2~3ヶ月間、毎日2時間取り組むとか。そこまでしなくても合格はできるかもしれないけれど、理解度が浅いと思います。
――合格者の平均学習時間は出せても、あまり参考にならなそうですね。
大澤さん:いくら時間をかけても、身につかなければ意味ないです。この指標はなんのためにお客様に見せるのか。 なぜこの設計で、お客様にとって何が得なのか。事業を伸ばす人材としての思考を短期間で体得するのが、上級ウェブ解析士認定講座の目的ですから。
お客様の事業成長をマーケティング観点で担う人間として、知識だけでなく実現する能力は必須だと思います。
また、実際に統計で出ていますが、コロナ禍で全国的にDX化が求められている一方、デジタルマーケティングに特化した人材が社内にいない企業が多いそうです。このアンケートでは、経営者とマーケティング責任者・マネージャーに向けたアンケートで、78.1パーセントもの人が、社内のマーケター人材が不足していると回答しているんですね。
――多くの企業で、コロナ禍のデジタルマーケティングに苦戦されているんですね。
大澤さん:実際、コロナ禍以前は、デジタルマーケティングをしなくても維持できた企業が多かったと思うんです。例えば、人脈からの紹介だけで案件が成り立っていたり、アウトバウンド営業を強烈にかけるなどですね。それがコロナ禍によって、顧客・企業両者の思考や環境がガラリと変わってしまった。そして、人と直接会えなくなり人脈の関係値も落ちやすくなり、アウトバウンド営業ではテレアポの効果が著しく落ちたり、といったことが起きています。結果、多くの企業がデジタルマーケティングを当たり前にできないと事業を成長させることが難しくなってきたのが現状だと思います。
しかし、まだ多くの中小企業はデジタルマーケティングについての知識・経験が少ないので、二の足を踏んでしまっている。そんな企業や企業内担当者にとって、上級ウェブ解析士認定講座は、多くの企業にデジタルマーケティングの息吹を入れると、個人的に思いますよ。
上級での膨大な試行錯誤が、受講後に確実に活きる
――会社員の場合、受講するメリットはどこにあると思いますか?
大澤さん:まず、提案資料のクオリティがアップします。課題をすべてクリアしたあとは、周りよりも数段違うものができるはずです。あとは、お客様への提案の幅も広がります。手探の提案や、古い常識にとらわれた提案ではなく、より理論的に組み立てて伝えられるようになると思いますよ。
――上級ウェブ解析士認定講座では、どの範囲のレポートを作成するのでしょうか?
大澤さん:ウェブマーケティングで使うものは、ほぼ網羅されていると思います。普段の仕事では作らないレポートも、実際に手を動かして作ると学びが多いですね。作った経験があれば、必要になったときに思い出せますし。
しかし、ボリュームが多くて結構キツかったです……。修了レポートだけで20ページ近く作り込みますが、ページ数よりも1枚1枚を深く解析して論理構成をまとめるのがなかなか大変でした。外部環境、内部環境、カスタマージャーニーマップ、細かい指示書に至るまで全部。修了レポートまで終えれば、大概のレポート作成はラクに感じるはずです。
――会社規模や案件の規模によってレポートに求められるものは違いますもんね。
大澤さん:上級ウェブ解析士の認定講座を受けて特に変化したことは、「暗黙知が形式知になる」ことでした。日々の膨大な業務の中で、行動しながら手探りで無意識のうちに成果を出した方法の背景がわかるので、検索して事例をかき集めるよりも早く打ち手を考えられますよ。正直、受講料8万円では安いと思うくらいです。
――Moodle上のフィードバックや、作成したレポートは、資格取得後も残りますか?
大澤さん:残ります。資格取得後の参考資料として、とても役に立っています。業務中に、同業者から資料のフィードバックをもらうことはないので、レベルの高い先生や、同じ立場の受講生の意見はとても貴重です。頂いた資料の中には、Google Tag Managerの設定方法など、細かいところまで網羅されています。Google検索に頼らずとも、信頼できる情報が手元にあるのは心強いです。
多くのお客様に結果を出し続けることが、社会の好循環を生むトリガー
――大澤さんは今後、どんな展望を抱いていますか?
大澤さん:今の事業体制をもとに、さらにお客様へ「結果」を出せる規模になるよう、拡大したいと考えています。正直に言うと、私はもともと社会貢献についてあまり考えないタイプでした。目の前のお客様にフルコミットするのが私の使命で、社会に影響を及ぼしたいとまでは考えなかったんですね。しかし、私がお客様に結果を出して、お客様が企業として成長すると、その過程で発生した利益は、事業をさらに成長させるために再投資される、ということに気づきました。
例えば、人員拡大や設備投資、新しくサービスを導入すると、そこに雇用が生まれ、別の会社に売上利益が発生します。さらに考えていくと、そこで発生した個人・企業の給与や利益が別のものの購入に再投資される……という具合に、再投資が連鎖していく。つまりお金が回って社会が潤う、ということになります。加えて、日本企業の9割は中小企業です。例えば、年商1億の企業が2億、3億と伸びて潤う。そんな企業が増えるほど、社会全体が潤いますよね。だからこそ私はお客様に「結果」を出す規模を拡大したいと考えています。
――そう思ったきっかけは何でしたか?
大澤さん:とあるお客様が事業目標を達成したとき、達成会を開いていたんですね。普段は行かないような高級飲食店へ行くので、当然それなりの対価を支払います。そうすると、コロナ禍を必死に堪えている飲食店に、まとまったお金が入る。これが連鎖したらすごくいいなぁ……と思ったのがきっかけでしたね。お客様のためだけに考えて出した成果が、飲食店への利益になり、結果的に社会を潤している。つまりお客様に結果を出すことが、社会の好循環を生むトリガーになっていると思うんです。
――お金が循環する原動力は、企業が結果を残すことなんですね。
大澤さん:そのとおりです。しかし、私だけで多くの企業に携わるにはどうしても限界があることもまた事実です。そこで、7月から法人化する株式会社FlyEdgeにて、超少数精鋭のマーケティングチームを構築します。今は候補の方をリクルートしているところですね。
――どんな方を募集されていますか?
大澤さん:採用基準は1つ。私の経営理念・ミッション・ビジョン・バリューに共感できるかだけ。私と同じ思いを持つ人は、自ら率先して動くでしょうし、お客様への熱い想いを基準に動くと思うんですね。
――少数精鋭のプロ集団のようなイメージでしょうか。ロールモデルはありますか?
大澤さん:ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの再建で有名な、森岡毅さんの株式会社刀が1つのロールモデルです。少人数の会社でありながら、非常に大きな規模で結果を残されており、心から尊敬しています。森岡さんの知識、経験、ノウハウを体系化し、森岡さん以外の方でも森岡さんに近いパフォーマンスを生み出せるように仕組み化されているようなので、私自身もそのような体制を作ることができればと考えています。
――企業リーダーの懐刀であり、当事者。大澤さんが実践されている「企業の右腕」と近い立ち位置ですね。
大澤さん:資本主義の本質として、サービスの対価は、お客様に対して与えた価値の総量です。つまり価値の提供が先で、対価を頂くことが後になるため、まず目の前のお客さんに結果を出すことがスタート。その結果から生まれた利益で、企業は投資ができます。人的リソースであれば雇用がうまれ、社外サービスを利用すればパートナー企業の利益になる。目の前のお客様に結果をだすことが、最大の社会貢献。この本質に共感できる方と、チームを組みたいですね。
あとがき
前回のインタビューよりも、さらに大きく前進された大澤さん。本質を突いたお話を聞かせていただき、とても勉強になりました。日本のDXは遅れているとよく耳にしますが、それを前進させる一歩に、上級ウェブ解析士認定講座がなりうるのではと思いました。
テストの点や、資格取得による肩書ではなく、知識の体得を目的にされている方は、間違いなく役に立つと、再認識したインタビューでした。
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