デジタルマーケティングを扱うなら「探究心」を持とう ウェブ解析士マスター、馬場 建至さん

「仕事とウェブ解析士」をテーマにお送りするウェブ解析士インタビュー。70人目は、2023年度カリキュラム委員会委員長であり、ウェブ解析士マスターの馬場 建至さん。

広告代理店で他業種にわたる企業のウェブコンサルティングをサポートする傍ら、ウェブ解析士協会カリキュラム委員会にて次年度のカリキュラム制作を指揮した馬場さん。2023年度は大幅にリニューアルするとのこと。変化の激しい分野だからこそ、ウェブ解析士に求められる「探究心」と姿勢についてお話いただきました。

(インタビュー:上級ウェブ解析士 毛利 美佳、編集:ウェブ解析士 ふじねまゆこ)

目次

諦めた教師の夢を、デジタルマーケティングの分野で活かす

――自己紹介をお願いします。

馬場 建至さん(以降、馬場さん):よろしくおねがいします。普段は広告代理店で企業のデジタルマーケティング改善支援と、Google アナリティクスの講師をしています。特にGA4の普及活動に注力し、今年は執筆にも挑戦中です。

ウェブ解析士の協会活動として、2023年度ウェブ解析士公式テキストと試験問題を作成するカリキュラム委員会委員長をさせていただきました。ウェブ解析士マスターの常任委員にも所属しています。

――お仕事では、どのような業種・規模のお客様が多いですか?

馬場さん:いわゆるナショナルクライアント、グローバル展開するような規模の企業が多いです。業種は多岐にわたり、自動車や金融、製造が中心です。1つの企業をガッツリ支援するというよりは、デジタルマーケティングの分野で数多くの企業を支援するような形で仕事をしています。

――資格を取得したきっかけは?

馬場さん:かなり前のお話ですが、もともとは雑誌広告を作る部署に所属していました。印刷・出版の分野に低迷期が訪れ、ウェブに注目が集まった時代です。当時は、「ウェブディレクターはどんなスキルを持っていたらウェブディレクターなんだろう?」とか、「世の中にいるウェブディレクターの中で自分はどのくらい活躍してるんだろう? 何番目にいるんだろう?」みたいなことを考えていました。ディレクターとして、あまり自信がなかったのは今でも覚えています。

――ウェブディレクターの仕事が今ほど体系化されていない時代ですもんね。具体的にはどのような仕事をされていたのですか?

馬場さん:当初はメールマガジン(メルマガ)の運用でしたね。自分でタイトルや記事を作って配信し効果測定をするのですが、その効果測定が割と好きで。Adobe Analytics(アドビアナリティクス)の前身、Site Catalyst(サイトカタリスト)で結果を数字で見ながら次の施策を考える一連の流れがすごく楽しかったです。

分析・改善のスキルを磨ける分野を探していたら、この資格にたどり着きました。

――なぜマスターになったのですか?

馬場さん:実は私、教師になりたかった時期があったんですね。いろいろあって結果的に諦めてしまったのですが、マスターになれば、自分のインプットしたものをアウトプットできる、また自分の経験を誰かに伝えることで、その人の今後の人生とか、その人の仕事の後押しができるのかもしれない。大それていますが、将来的にそんなことが少しできるようになったら素敵だな、ちょっとやってみたい思いが背中を押し、マスターに挑戦して今に至ります。

――ウェブ解析士マスターを取得して感じたメリットはなんですか?

馬場さん:ウェブ解析士マスター認定講座は、マクロ・ミクロの解析レポート講座、講師養成講座の3つで構成されていて、どれも今の自分のコンサルティングや講師としての基盤を構成する大切な要素だと感じています。マスターを受講したことで資料と発言に説得力が増して受注件数も伸びました。それまではお客様が資料を見て首をかしげることが結構多かったんです。

また、教師になり「自分の経験を伝えたかった」という夢を講師として達成でき、今ではコンサル業と講師業の割合が半々です。そういった意味で、本当に取得してよかったです。

2023年のカリキュラムは大幅リニューアル

――2023年のカリキュラムで大事にしたことは?

馬場さん:ストレートにいうと、2023年度のカリキュラムはフルモデルチェンジしています。

まず、試験問題がだいぶ変わりますね。この試験問題を解き、回答できることによって、実務にも生かせるような内容です。より実務に役立つ問題になったので、試験勉強がそのまま実務にも活かせるはずです。

またテキストについても、23年度は見やすさをすごく意識しました。言葉の意味を振り返りやすく、いざ調べたいときにテキストを開いてもらえるような構成・レイアウトでデザインしています。

それから23年度はテキスト、試験問題集、講座、試験を一気通貫にし、ただ試験を合格するだけでなく実務でも使える資格を意識しました。誤解を恐れずにいうと、これまではテキスト、試験、講座の関連性が薄く、バラバラに感じられていたのではと思うんですね。私が委員長になったとき、そこはちゃんと統一させるようカリキュラム委員のメンバーと共有して作り始めました。

これからウェブ解析士を受けるみなさんは、ぜひ独学だけではなく講座も受けていただき、より実務に活かしてほしいです。

――2023年7月、Googleアナリティクスがユニバーサルアナリティクスのサポートを終了する件は業界的に大きな変化ですが、その点もテキストに盛り込まれているのでしょうか?

馬場さん:そうですね。Googleアナリティクスは業界的に主流のツールですから、今年にかけてGA4へ移行した企業は多かったのではないでしょうか。GA4に関する情報ももちろん2023年のテキストに含まれています。

ただ、ウェブ解析士が扱うのは広義のデジタルマーケティングですので、GA4に限らずアクセス解析ツールを使った解析手法が得られます。GA4のような新技術の学びはどうしても「操作方法」が入り口になりがちですが、ウェブ解析士テキストで学べるデジタルマーケティングの基礎知識があれば、たとえGA4以外の解析ツールを使うことになっても、知識を活かして結果にたどり着けます。すでに合格した人にも、これから学びたい人にもぜひご一読いただけたら、知識のアップデートができるはずです。

焦らず、あなたの「探究心」で2・3歩先を見据えよう

――これからのウェブ解析士に求めることはなんですか?

馬場さん:そうですね、強いて言うなら「探究心」ですかね。デジタルマーケティングやウェブ解析は分野の幅が広くて、いろんなことをやりたくなると思います。ウェブデザインから、動画撮影・編集・カメラワーク。現場から経営・マーケティング、MBAやフレームワーク。一連のいろんなことに興味をもつでしょう。やりたくなる分には構わないですよ。やらなくちゃいけない立場になることもあると思うんです。いろんな知識を習得しなければならないので焦る気持ちも出てきます。

ですが、私の経験上ではやりたいと思ったものを優先的にやった方がいいです。

周りがデザインできるとか、動画の編集できるから自分もやらないとという焦りは全く感じる必要はありません。自分がやりたいことを追究(探求)して続けていくと、エッジの利いたオリジナルの自分になります。

「周りができるからやらないといけない」と、思っていませんか? 焦らなくて大丈夫です。自分がやりたいと思ったことをやりましょう。そのために常に探究心を持っておく。2歩3歩先に関心を持っておくことは大事です。

これからどうなるか誰もわからないですから。変化の激しいデジタルマーケティングの世界で、自分の行く先、歩む道を見つけるためには、常に探究心を持っておくべきです。

――ウェブ解析士を検討されている方へ伝えたいことは?

馬場さん:ウェブ解析士に限らず決断に迷ったときは「同じことで2回迷ったらやる」を徹底してみてください。

例えばウェブ解析士試験を受けようか迷ったとき、一旦脇に置いておきましょう。2、3日経って、「ウェブ解析士を受けようかどうしようか……。そういえば、この前も迷ってたんだよな」となったら2回目じゃないですか。そうなったらそれは、あなたが興味を持っていると判断しましょう。

もちろん、やってみて合わないパターンもあります。それはそれでいいんです。「合わなかった」ことが分かったのだから次に行きましょう。やってよかったと思ったなら、ウェブ解析士の知識を活かし高みを目指して上級ウェブ解析士へ挑戦してみてください。ぜひ、そんなふうに探究心を持って自分をアップデートしながら頑張ってください。

あとがき

デジタルマーケティングの第一線で活躍される馬場さん。実は自信がなかったという過去からウェブ解析士を取得し実績を重ね、夢を叶えるに至ったというお話は、自分ごとのように聞き入ってしまいました。ウェブ解析士の取得に悩んでいる方で、当取材記事を読み、背中を押された方は多いのではないでしょうか。より実践で活かせる新しいカリキュラムが待ち遠しいです!(毛利)

ウェブ解析士公式テキスト2023

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