「仕事とウェブ解析士」をテーマにお送りするウェブ解析士インタビュー。75人目は、デジタルマーケティングに関わる知識を貪欲に取り入れてきたプランナー 根津 清香(ねづ さやか)さん。苦手分野にも果敢に取り組み、ウェブ、SNS、広告の各分野を網羅し活躍を続けています。彼女を突き動かす原動力と、資格取得で起きた変化をお話いただきました。
(インタビュー・編集:ウェブ解析士 ふじねまゆこ)
きっかけは上司へのサプライズ
――自己紹介をお願いします。
根津 清香さん(以降、根津さん):広告関連企業でウェブディレクター、プランナーをしています。とある業界のプロモーション支援が主な仕事で、ウェブ以外の分野も含めたプランニングに携わっています。
――ウェブ解析士を知ったきっかけは?
根津さん:上司が上級ウェブ解析士を保有していたからです。
私は元々営業として入社したのですが、経験を積むうちに紙メディアの編集を任されるようになりました。上司がウェブ、私が紙媒体を担当し取り組むうち、私自身もウェブメディアに関わる機会が増えたんです。
そこでふと「ここで急に私がウェブ解析をしたら、上司は驚くはず。ちょっと驚かしてやろう! 」みたいな思いが湧いたんですね。
――嬉しいサプライズ! ウェブに対するハードルは感じなかったのですか?
根津さん:ウェブメディアが苦手なわけではなかったのでハードルは感じませんでした。ただ、ウェブ解析には触れたことがなかったので受講を通しての気づきは多かったですね。
――ウェブ解析士の資格を活かせた場面はありましたか?
根津さん:ウェブ解析士は全体的な知識を身につける資格だと思うのですが、当時の自分はその知見を得てすごく視野・思考が開けました。
ウェブ解析士で得た知識をもとに実践した結果、社内向けのウェブコンテンツを自主提案し採用されました。ロジックからアウトプットまで、ウェブディレクターの領域にいきなり踏み込んでみて、「実はこういうのが好きだったんだ」と改めて感じました。
――その後、ウェブ解析士の知識だけではスキルが足りないと感じ、上級へ挑戦されたそうですね。背中を押したものは何でしたか?
根津さん:これも上司を驚かすためでしたね(笑)。
ウェブ解析士認定講座でウェブの全体像は捉えたけれど、実際に使いこなすには詳しい先生にイチから教えてもらったほうが漏れなく体得できるかなと思ったのも理由のひとつです。
――上司の方、だいぶ驚かれたのでは?
根津さん:そうですね、すごく驚いてました。 私、サプライズが好きなんでしょうね。プライベートでも、家族や同僚、友達が驚くサプライズを思いついては実行してます(笑)。
レポートに正解はないが、前例はある
――上級ウェブ解析士認定講座では、特にレポーティングで得るものが多かったそうですね?
根津さん:そうなんです。私が講座を受けたとき、たまたま受講生が少なかったこともあって丁寧に教えていただけたと思います。
修了レポートを作る中で、目的に沿ったデータを丁寧に分析する経験を得ました。想像していたよりも細かい粒度でウェブ解析をなぞり、レポーティングの基本作法を身につけたと感じます。
――現在に活かせていると思うことは何ですか?
根津さん:この講座で教わるレポーティングは作り方ではなく、決裁者が事業の選択をするための判断材料・切り口の見つけ方だと思うんですね。
レポートを誰が見て、どう使い、判断するためにどの情報が必要なのか。ウェブ解析士マスター後藤高志先生(外部サイト:後藤塾より)の講座では、過去の受講者のレポートを閲覧できました。中身よりもレポートの構成、わかりやすさの良し悪しを先人の経験から学んだ形です。
それまでプランナーとして企画書を作る場面は多かったけれど、その後の企画資料の構成にも大きな影響があったと感じています。
――まさに集合知ですね。
根津さん:あと、私がウェブ業界出身じゃなかったことで、業界内でバリバリ活躍する方と一緒に学べたのはとても刺激的でした。
ウェブ解析の戦略設計やアウトプットに触れた後の行動まで考える意識は、上級取得をきっかけに紙・ウェブどちらの分野においても変わったと感じます。
苦手へ飛び込み、すべて糧にする強さ
――資格が生きたと感じたエピソードを教えてください
根津さん:一番は社内でプレゼンス(存在感)が上がったところです。上司と私が有資格者になり、周りからの相談も増えました。
結果、業務領域が広がり、クライアントワークでウェブを扱う場面が増えました。それまでは社内向けの企画で活用していたところから、直接売上に貢献できるところまで到達でき、この資格がなければ今の結果にはつながらなかったと思います。
――素晴らしいですね。その後、上級SNSマネージャー、上級ウェブ広告マネージャーも取得されていますが、こちらのきっかけは?
根津さん:SNSも広告も苦手だから受講しました。実は受講の直前までなんで苦手なのに申込みしちゃったんだってずっと後悔してたんです。でも、やらねばと焦る気持ちのほうが大きかったと思います。
――専門外へ果敢に挑戦して糧にする姿勢、すごくかっこいいです。
根津さん:ただの、欲張りなんです。
自分が取り込んできたものは全部、自分のアウトプットに反映されます。プランナーは苦手な領域も食べていかなければいけない職業。自分の領域の広さと深さが企画の質を左右します。
――講座自体は楽しまれていた様子ですね
根津さん:最初は苦手意識でいっぱいでも、学ぶうちに面白さを見つけてのめり込みがちですね。
SNSマネージャー講座の受講生はみなSNSの運用担当をされている方たちばかり。でも、私が場違いな質問をしても温かく受け入れてくださり、運用を知らないがゆえの発言も他の受講者の気づきになったと褒めていただき、前向きに学べる雰囲気がとてもありがたかったです。
――講座ではどんな気づきがありましたか?
根津さん:SNSは成功のテクニックが語られがちですけれど、本質はコミュニケーションツール。「私たちのあり方」をもって対話を深める場であると教えていただきました。アカウントを愛してもらうと言うと語弊があるかもしれないけれど、そんなふうにSNSを捉えるようになってから運用の仕方・求める成果が変わりました。
――上級ウェブ広告マネージャーはどうでしたか?
根津さん:広告ももちろん苦手な領域でしたが、広告のほうが数字をどう積むかを考えるような、実践的な話が多かった印象です。
私の場合、ウェブ広告の出稿をパートナーへお願いする立場ですので、依頼の仕方やクリエイティブに対する意識が変わりました。
欲張りに学び、DXを底上げしよう
根津さん:自分で言うのも何ですが……。SNSマネージャー講座は私の理解が全然追いつかなくて、講師の質問に間違えることが多かったんです。修了レポートもまったく自信が無くて。でも、合格後に講師から私のレポートを次回講座のレポートの例として公開したいと連絡をいただいて驚きました。
その後、協会主催のイベントで参加者の方から「レポートを見たよ」と声をいただいて、そんなふうに使っていただけてすごく嬉しかったです。
――スゴイですね! 苦手分野でもやり切る原動力はどこにあるのでしょうか?
根津さん:私、あまり勉強が得意ではないので、学びが腑に落ちるまですごく時間がかかるんです。わからないところを細かく咀嚼して、寄り道しながら取り組むので……。
SNSも広告も苦手意識の中でもがいていたけれど、得た知識を使って成功体験を重ねていたら自信につながっていったように思います。どの資格講座も「ビジネスへの貢献」を念頭に徹底的に実践するので、テクニックではなく事業へのインパクトをすごく考えるようになりました。
――今後はどんな挑戦をしたいと考えていますか?
根津さん:最近はプランナーのお仕事に加え、会社役員としての仕事も増えてきたので、マネジメントスキルに力をいれたいと考えています。上司力みたいな、デジタルマーケティングとはちょっと違う領域ですね。
デジタルマーケティングの分野で言えば、先日、私が所属する会社のコーポレートサイトをフルリニューアルしました。ディレクターとして売上向上のための分析、チューニングをしていきたい。業界的にDXが追いついていないと感じるので、ウェブサイトで成果を得る実績を重ねながら業界の底上げをしたいです。そのためにも、もっとわがままにいろいろチャレンジしたいと思います。
あとがき
未経験の分野は受講ギリギリまで後悔していたと話す根津さんですが、必要だと判断し知識を深く体得する姿勢はまさにプロフェッショナル。周囲をサプライズで喜ばせたい一面もあって、まさに業界のエバンジェリストだと感じました。(ふじね)
根津さんのSNSアカウント
Xアカウント:https://twitter.com/sayaka_nezu