お客様へのコミットに委縮せず、仮説をもってアクションすることが大事 株式会社インテージテクノスフィア

株式会社インテージテクノスフィア

ITサービス本部 ソリューション1部
企画開発グループ グループリーダー 矢澤 伸也 様(ウェブ解析士マスター)

インテージテクノスフィア様は、マーケティングに対する深い専門性をベースに、 長年培ったシステム技術とデータハンドリング技術を駆使し、お客様に価値ある情報(インテリジェンス)と様々な業界の企業の課題を解決するITソリューションを提供されている企業です。

今回はインテージテクノスフィアさまに、デジタルマーケティング視点でのウェブ解析士について今までにないお話しが聞けました。

普段の業務についてまずはお聞かせ願いますでしょうか。
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その前に、インテージやインテージテクノスフィアという会社をご存じでない方もいらっしゃると思いますので、インテージグループの紹介をさせていただきますね。

インテージグループは、マーケティングリサーチを50年以上に渡り事業としている会社です。

具体的にいうとスーパーマーケットやドラッグストア、そしてコンビニなどで販売されているJANコード(バーコード)がついている商品を中心に、日本の縮図になるように設計した全国の調査協力者とPOSデータを融合して、いつ、どこで、誰が、何を買ったかというデータを長期間にわたって取得しながらクライアント様のマーケティング支援をしてきた会社です。

インターネット調査もやっております。業界最大規模の調査協力者様が全国に500万人以上おります。例えば消費者の方々は何故A社の商品を選ばずB社の競合の商品を選んだのか知りたいなど、特定の調査テーマに対して特定の対象者を抽出して調査を行っています。

WEB界隈でいえば、アイトラッキングやインタビュー調査なども、専用機材や専用ルームで実施しています。

このように、リサーチでクライアント様のマーケティング支援を行う事業をインテージグループ各社がフォーメーションを組んで活動してきましたが、インターネット・スマートフォン・SNSなど、いわゆるデジタルが日常生活に広く浸透するのにあわせて、ITを起点に企業のマーケティングを支援する新しいグループ会社としてインテージテクノスフィアは発足しました。

インテージテクノスフィアでは、アクセス解析は当然ですが、ネット広告運用、独自のプロモーションサービス運用のほか、アプリやWEBサイト制作やWEBシステムの開発などを行っています。

今年の7月にはインテージ社員と私2名でウェブ解析士協会主催のセミナーにも登壇させていただき、「【実践】デジタルマーケティングリサーチ」という題目で、インテージで提供していますサービスのデータや活用事例も交えてDSPなどアドテクの効果的な活用方法についてお話しさせていただきました。

その中でも私が所属するチームは、主に地方企業のデジタルマーケティングのトータル支援を行っています。

地方企業にとってネットの活用は商圏を拡大できる非常に有益なツールです。しかしながら、ツールが正しく設計運用されていないケースも多くあると感じております。

私たち支援側からすれば当たり前のような機能や技術も、お客様にとっては多機能高技術すぎて良く分からないと思われてはもったいない。そんなギャップを私たちが埋めていこうと日々活動しています。

御社でウェブ解析士を取得された経緯を教えてください。

スマートフォンやソーシャルメディアが普及し、生活者の消費行動や情報収集行動が大きく変わっていく中で、クライアント様からインテージグループに求められる役割を考えた時に、Webマーケティングは欠かせないものになるだろうと考えました。

加えて、もともとリサーチという仕事を通じてデータを読み解くスキルは会社として得意分野であったことを勘案して「ウェブ解析」という部分からアプローチをかけていくのが良いだろうと考えました。

2011年にまず自分自身が受講し、自社の事業に役立つと考え、翌年から社内でも関連が高い部署のメンバーから資格取得を展開しました。

現在私がいるグループは、ほぼ全員ウェブ解析士を取得済みです。派遣社員さんにも取得して頂いています。

インテージグループ内でも何名か取得されている方がいらっしゃるようです。実はグループ会社全体で何人取得しているか把握はしていません。社内で打ち合わせした際にも「私も上級ウェブ解析士取得しました」と言われている次第です。もしかすると数十人単位で取得者が居るのかもしれません。

矢澤様のチームはお客様のサイト解析を行い、問題点を見つけ、改善施策をご提案して受注につなげていくということを普段から行っているのでしょうか。
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はい。解析が入り口になる事が多いです。最近は集客のご相談からお取引がスタートするお客様も増えてきました。もちろん制作、開発も行っています。

いずれにしてもお客様の成果に貢献することが私たちの仕事になりますので、成果が明確でない相談の場合は、成果を明確にするところから支援することもあります。

そんな中で、チーム全体に浸透させているのは、「正解はない」「育てる」ということです。

例えばECサイトの支援になると、やはりCPAを意識した売上貢献がお客様に求められてきます。プロとしてコミットしていきますが、だからといって正解はありません。お客様へのコミットに委縮することなく、正解がない中で、どういう目的や仮説をもってアクションし、その後どうお客様のビジネスを育てていくかという意識が大事だということです。

こういう意識がもてるかどうかで、単なる作業代行業者になるのか、お客様のパートナーになれるのか分かれてくると思っています。

あとは、市場調査のご相談からネットマーケティングのお仕事に繋がるケースも出てきています。

先日も農産物を取り扱っている会社様からのご依頼で、自社商品の認知度やポジショニング等を把握するための消費者調査を行いました。結果、ある商材についてはECを本格的に展開する事でお客様にとっても消費者にとって喜ばれる仕組みになる事をご提案しました。お客様にもこの提案はご納得いただき、来春からのスタートに向けて準備を進めることになりました。

このように申し上げると数字ばかり見ている無機質な感じがしますが、そのようなことはないです。

後程お話しますが数字は対象者の一側面を表していますが全体ではありません。また、そもそも数字を鵜呑みにしてはいけない事もあります。

ですので、時にはインタビューやアイトラッキングなども用いながら、ウェブ解析士的にいうならば「ミクロ分析」を行うことも大事にしています。

そこまで実施されるお客様はかなり大手のクライアント様だと思うのですが、インテージ様から提案されるのか、お客さまの方からご要望なのかその辺を教えてください。

両方あります。もともとリサーチ会社として非常に多様なテーマの相談が来ます。その中で「インテージさんでアクセス解析やログ解析やって欲しい」といったご相談を頂くこともあります。

ただ、おっしゃるとおり地方企業はまだネットマーケティングの便益を活かしきれていないと思います。ネットマーケティングを活用して頂くために解析よりもっと手前に大きな壁があるように感じています。

この壁をどかしてあげないと、民主的なインターネットという仕組みを活用したマーケティングの便益は十分に受けられないと思っています。

ここ数年で、ユーザビリティ調査やABテストなども非常に手軽に出来るようになってきており、弊社でもお仕事の数は多くなってきています。ただ、そういったお客様は本当にごく一部の方なのではないかと思っています。

やはり順番があって、そもそもサイト開設しただけで人は集まりませんよ、次からどうしていきますか?といったところを最初にきちんとご説明し、お客様にご理解頂かないと、「なんだ、ウェブって使えないじゃん」で終わってしまいます。ここを何とかしたいと思っています。

今からウェブ解析士を取得される方へのヒントになるような一言をお願いします。
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「ウェブ解析士取得すれば万事大丈夫だよ」とは言わないです。私は、そもそも解析だけでやっていこうと思ってウェブ解析士を受講していません。

これからのマーケティングでは、オンラインとオフラインの両視点から生活者の行動を知る事が不可欠です。ウェブだけじゃダメですし、ウェブを除いてもだめだと思っています。

また、ウェブから得られるデータがどこまでが精緻で、どこまでが曖昧なものなのかをきちんとわかっておかないと、誤った仮説を立ててしまうことになります。

そのためにも、ウェブ解析士で体系的に知識を取得整理することは非常にお勧めですし、マーケティングにかかわる人であれば、ウェブ解析士の知識は絶対をもっておいた方が良いと思います。
なぜならウェブ解析の中にはマーケティングの対象者となる生活者の動きが必ずあるからです。

また取得することで視野が広がるとも思います。視野が広がるというより、やらなければいけないこと、調べなければいけないことが山のように見えてくるという言い方が正解でしょうか(苦笑)

ただ、私はあまり苦痛に感じてはいないです。これは弊社が恵まれている面だと思います。

インテージグループは元々クライアントのマーケティング活動を支援するために消費者や生活者を理解する事をずっとやってきていますので、生活者理解につながるツールが一つ加わったという感じです。会社の事業の方向性に沿ってチームとして取り組めるというのは非常にありがたいです。

今までのリサーチ手法に加え、ウェブからの得たデータを合わせてクライアントのマーケティング支援していくための一つの手段としてウェブ解析士をご利用いただいているんですね。
本日は貴重なお話、ありがとうございました。

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