解析データからニーズを見抜き、ビジネスをつくることが本当の価値。設立メンバー、小坂 淳さん

「仕事とウェブ解析士」をテーマにお送りするウェブ解析士インタビュー。33人目の今回は、ウェブ解析士の資格の立ち上げにも関わった設立メンバーの小坂 淳さん。ウェブ解析士マスターでもあり、ITコーディネータの資格も保持されています。

ウェブ解析士協会の運営にも関わりながら、企業でも働き、個人でもお仕事をされているとのこと。長年の経験と知識を活かして、広く活躍されている姿は、ウェブ解析士の皆さんにとっても興味があるのではないでしょうか。

3つの仕事を持ち、地方でも都心の仕事で腕を磨く小坂さんの仕事に対する想いや、ウェブ解析士協会設立当時の話を聞くことができました。

小坂さん

(インタビュー・編集:上級ウェブ解析士 斉藤 陽子)

目次

技術を追うためにも東京の仕事を個人で受ける

今は北海道でどんな働き方をされていますか?

企業に勤めていて、札幌でウェブマーケティング全般の仕事をしています。それ以外では、ウェブ解析士の理事のお仕事をしていて、よく打ち合わせに参加しています。
東京にいたときに、最後の1年間はフリーの仕事をしていたので、そのときに関わった仕事もあります。

協会の運営もしながら企業でも働いて、個人の仕事もされている……自分の時間がなくなったりしませんか?

なくなりますね。なので、会社でやってもいい仕事は会社でやっています。

会社でもされているんですか!

今の会社がクリエイティブ系の会社なので、僕にくる相談
とは違うんですね。また規模が大きい、まとまった案件になると昼間にやったほうがいいんです。

すごいですね。小坂さんのように、企業でも働きながら、個人でも仕事を請けられるウェブ解析士が増えてくると、認知度ももっと高まりそうです。そういう働き方をしたい人、他のウェブ解析士でもいるのではないかと。

僕が個人で請けている理由としては、地方には都心のような案件がないんです。技術的に新しくないのもあるし、地方だと何でもやることが求められます。

確かに、そうです。

東京だと専門性が高く特化している。狭くて深いんですね、業務の内容が。技術を追おうと思うと東京の仕事をやっていないとわからなくなってしまうんです。
会社では請けられないけど、チャレンジしたいものは個人で請けるようにしています。

個人の案件で得た経験値を、社内へ展開すれば、会社からも喜ばれますよね。

北海道の犬ぞり
休みの日はよく旅行に行くという小坂さん。北海道を満喫されています。

自分でも相手がどこまで理解しているか確認しながら進める

北海道で仕事をするようになって、東京と大きく変わったことってありますか?

あまりないのですが……。前提となる知識が違うので、結構手前から話さないといけない、ということくらいでしょうか。
もちろん、わかっている人もいますけど、わかっていない事を前提で話をしますね。

アクセス解析とは何か、という感じでしょうか?

ウェブ全般、デジタル全般の話とか。東京のウェブ担当者だとある程度わかっていますよね。地方だと、相手がどこまでわかっているかを、自分でも確認しながら話を進めるようにしています。

何のためにやるのか?企業の目的を重視する

これは地方に限らないですけど、ツールと運用の目的だったりとか、何か改善するという目的だったりすることが多くて、それだとあまり意味がなかったりします。
なんのためにやるのか?」をマーケティングフレームワークなどを使って共有してからやらないと、手段だけが目的となってしまいます。

はい。ゴールを明確化する必要があると思います。

例えば、解析担当者がタグマネージャーを設定しますよね。その時もこの先何をやるか?がわかっていたほうが、適切な設定ができます。これがわかっていないと、とりあえずGoogle アナリティクスの設定だけになってしまう。それはすごくもったいないことです。
ウェブつくって、ではなくて何故ウェブをつくりたいのか?というところから話が来ないと提案しずらいですね。

そうですね。地方ではそのあたりの認識が低い企業が多いと思います。

ウェブ解析士協会設立に至った経緯

小坂さんは、いつ頃資格を取得されたんですか。

2010年のときですね。1期生で、その当時の社員、一般の人含めて10人くらいが取得しました。

ウェブ解析士協会が設立されたときの話を伺ってもいいでしょうか。

もともと、シビラという解析ツールを使って、制作やウェブコンサルなどをやっていました。
ツールがあっても、使いこなす能力がなければ意味がありません。そこで、2010年のはじめ頃、アクセス解析のセミナーを江尻さんと一緒に開催しました。そのセミナーに結構人が集まったんです。
じゃあ、このセミナーをもっと仕組み化していこう、と、ウェブ解析士のカリキュラムをつくろうという話になったんです。

そんな経緯だったんですね。

最初は、今の上級にあたる資格をつくりました。当時の名称は「ウェブ解析コンサルタント認定講座」だったような……。
その後、初級ウェブ解析士(現在の「ウェブ解析士」)の資格をつくるときに、「ウェブ解析士」という名称になりました。
当時はマスター講座がなかったんですけど、教える人を増やしていこうという話になり、マスター講座ができました。
2010年の11月、12月に開催したんです。

その時の様子を知りたいです。

座学で演習を中心にやっていました。参加者は、10人から20人くらいです。

その頃から、運営側として講座を教える立場だったんですね。

そうです。カリキュラムつくったりとか。当時は、講師も結構やっていました。

ウェブ解析士の本当の価値は、ビジネスを一緒に作り上げること

ITコーディネータの資格を、どう現場で活用していますか。

ITコーディネータとウェブ解析士って似ているんですよね。最初に企業を研究して、分析して対策をとって検証していくところが。
そういう意味では、ITコーディネータの資格を活用していると言えるかもしれません。

ITコーディネータはIT事業の立ち上げから、ウェブ解析士はツールの導入から、という認識でいたのですが……。

それは誤解ですね。

誤解ですか……。勉強不足でした(笑)

僕の持論があるんですけど、ウェブ解析士、ITコーディネータのどちらにも言えることなんですが、ITを導入してコストを削減するだけ、広告打ってマーケティングやるだけでは、どちらの資格もあまり意味がないと思っています。

意味がある資格の活かし方について、考えをお伺いしたいです。

それぞれのスキームと、ITの導入、サービスの改善、新規サービスをつくるところまで踏み込んでいかないといけないと思っているんですよね。
例えば、ウェブ解析士協会の立ち上げの話をしましたけど、前の会社でも流入を解析していると、キーワードから「解析の教育」のニーズがあると思ったんです。やってみたら、結構人が集まってきて。プロモーションでも効果のあるものがわかってきました。
ウェブ解析士のサービスを、検証しながらやってきているというところがありますね。

ウェブ解析士もITサービスの導入から関わる必要がある、と。

変えたほうがいいと思ったら、業務も、商品も、サービスも変える。どういうビジネスにするかまで一緒にやっていくことが価値なのかな、と。

これから資格取得を検討している人へ

これからウェブ解析士を目指そうとしている人へ、メッセージをください。

なぜ解析をしないといけないか、マーケティングをしないといけないかを学んでほしいです。
経営・マーケティング的な視点と、なぜその情報を取得できるのかという技術的な視点がわかると、腑に落ちやすい。そこはITコーディネータに近いところがあります。

どちらもわかると、取得したデータを活用しやすいですよね。

企業の担当者であれば、外部との会話がスムーズになるし、
代理店・制作会社の人であれば、追加提案もしやすくなると思っています。

あとがき

小坂さんとは、6年前に一度お会いしたことがあります。それはまだ小坂さんが東京にいた頃、私が協会を訪問したときでした。

特に用事があるわけでもなく、ただ訪問したかったという私を、小坂さんは快く迎えてくれました。

zoomで再会した、この日の小坂さんが着ていた服は、WACAのロゴが書かれたTシャツ。面白くて、笑ってしまいました。

明るくて楽しい人、というイメージがありましたが、実際にインタビューすると、仕事へのモチベーションと解析に対する熱意が、すごく伝わってきました。

解析結果から、商品やサービスまで踏み込んで、ビジネスを一緒にやっていく。そんなスタンスで私も業務に取り組んでいけたら、と思いました。

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小坂さん

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