「仕事とウェブ解析士」をテーマにお送りするインタビューの54人目は、佐々木円(ささき・まどか)さんです。
佐々木さんは、テクニカルライターを経てマーケティング業務に携わり、2回の転職経験でご自身のキャリアを開発され、現在は育休から復帰してWeb広告代理店で活躍されています。今回は、「マーケティングやウェブ解析のキャリアをどう積めばいいのか分からない」「ウェブ解析士の資格や転職を迷っている」「育休からの復帰が不安」といった方に向けて、佐々木さんのご経験や、今後の目標について伺いました。
(インタビュー・編集:上級ウェブ解析士 佐藤佳)
仕事の原点は、学祭のチアリーディング
――佐々木さん、こんにちは! 自己紹介も兼ねて、今のお仕事について教えてください。
佐々木円さん(以下、佐々木さん):Web広告運用代行とWeb制作を手掛けている、ASUE株式会社の名古屋本社で働いています。2018年に中途採用で入社後、Web広告を担当しています。今は育休から復帰したばかりなので担当顧客は数件しか持っていませんが、社内担当者の相談に乗ることでお客様の戦略立案や課題解決をサポートしています。
――育休から復帰して、どんな変化を感じましたか?
佐々木さん:社内の雰囲気はあまり変わっていませんでしたが、Web業界は変わっていることがたくさんあるなと感じました。復帰するまでの1年間は育児に専念していたので、知らない情報や知識に出会うことも多く、「このギャップを埋めていかなければ!」と必死になっているところです。
――広告代理店の仕事がしたい、と思うようになった背景やきっかけは?
佐々木さん:原点は、大学時代のチアリーディング部での経験だと思います。いわゆるかわいい系ではなく、体育会系の競技チアリーディングだったのですが、学祭のパフォーマンスを初めて見たときから心惹かれてしまい、私は幼いころからクラッシックバレエを続けていて、ダンスが好きだったので入部を決めました。入部後は自分自身も観客を魅了するパフォーマンスを作ってみたいと考え、学祭や外部イベントの際にはプレイヤー兼で、構成や音楽編集などの企画にも積極的に携わるようになりました。
その際、演者としての視点や経験を活かして「こういう風に見せるとお客様に感動を与えられるのではないか」と提案したところ、実際に観客が楽しんでいる顔を見られたり、演出の盛り上がるタイミングで歓声が上がったりして、それが「嬉しい!」と感じたんです。これを仕事に生かせないかと考えたところ、プロモーションの仕事や広告代理店のことを知り、やってみたいと思うようになりました。
資格の取得で、やりたい仕事を認知してもらう
――ウェブ解析士の資格はいつごろ取得されたんですか?
佐々木さん:新卒で入社した印刷会社の時ですね。最初はメーカーの取扱説明書を制作する部署でテクニカルライターをしていたのですが、5年目に希望していたマーケティング企画の部署に異動することができて、Webサイトを使ったプロモーションの提案をすることになりました。
しかし、デザインなどの見た目に関する企画だけでは伝わりにくさを感じていて……。その時にGoogle アナリティクスというツールを知ったのですが、そこから得られる数値や情報も織り交ぜながら提案したところ、お客様の反応がとても良かったんです。そこで、「ここを強みにして仕事をどんどん取っていこう!そのために勉強しよう!」と思いました。
――他にも資格がある中で、ウェブ解析士を選んだ理由は?
佐々木さん:自分が学びたいと思っていたことに一番近い資格だと思ったからです。具体的には、Google アナリティクスなどのツールを学ぶような検定よりも、プロモーション全体のことや、思考の仕方を学べる方法を探していました。また、資格を通じて「ウェブ解析士」という名前を手に入れられたことで、社内外から「そういう人」だという認知が広まって、やりたい仕事を掴めたのはとても良い経験でした。
――自分にとって良い肩書があると、好きな仕事が集まってきますよね。
佐々木さん:そうですね。社内でも解析関係の仕事については佐々木さんに聞こう、という流れを作れたのは良かったです。また、実務を行う上で知識が足りない部分もありましたが、聞かれることで自分を追い込めるので、調べて伝えることで学びを深めていきました。そうして働くうちに、自分が顧客側=インハウス担当になって、「マーケティング全部に関わってみたい」「自分の実力を試してみたい」と思うようになり、転職を決意しました。
一番苦労したリスティング広告を極めてみたい
――2社目ではどんなお仕事をされていたんですか?
佐々木さん:2社目はECカートシステムを開発している会社で、販促全般を任せていただきました。私が初めての社内マーケティング担当者という状況だったので、メールマガジンの運営、プレスリリースの配信、リスティング広告、アフィリエイト広告など、売上に貢献できそうなことは何でもやってみよう!と幅広く挑戦しました。
――うまくいったことや苦労したことは?
佐々木さん:うまくいったことは、マーケティングの大切さを社内に認知してもらったり、必要性を伝えたりできた点ですね。苦労したことは、担当が自分一人だったので社内の人に相談しにくかったことや、セミナーに足を運んでも思うような情報が得られず、次の打ち手に悩むことが多かった点です。特にリスティング広告は全然うまくいきませんでした。
――なぜリスティング広告会社(今の勤め先)に転職したんですか?
佐々木さん:マーケティング担当者として良い経験ができた一方で、人と話すことが好きな私にとって、成功や失敗体験を共有できる仲間がいなかったのは悩みの一つでした。また、マーケティング全般に携わってみたからこそ、どこかの分野で専門性を持ちたいと思ったのも理由の一つです。
その点、リスティング広告は売上にどう直結したか結果も見やすいですし、一番苦労した分野だったので極めてみたい!と思ったからです。もともとライターの経験もあったので、ユーザーにより分かりやすく伝わるような表現を考えるのも好きですし、自分の力を生かせると思って転職しました。
1つ上のことに挑戦して、自分を高める
――専門分野を作ろうと入社して、実際どうでしたか?
佐々木さん:思った通り、リスティング広告を極めるのはおもしろいなと思いました。私はインハウスでプロモーションをするよりも、お客様の戦略担当として複数のサービスや商品のプロモーションをする方がおもしろいと思ったので、今の仕事はあっていると思います。また、さまざまな業種に携われるのもおもしろいですね。最近では、子育て中のママがユーザーになるような、自分の体験を生かして戦略を考えられる広告運用もやってみたいと思っています。
――お話を伺っていて、ダンスで得た演者の視点や、子育て中のママといったプライベートでのユーザー体験を、プロモーションという演出側の仕事に生かすことで、うまく成果を出されているように感じました。佐々木さんは演者と演出、どちらが好きですか?
佐々木さん:どちらかと言われたら演者ですね。自分を表現することが好きですし、舞台に立った時のあの高揚感は忘れられなくて、自分の原点だと思います。それに、演者としての視点や経験があるからこそ、どうしたらお客様の会社や商品が目立てるかも分かると思っています。言われてみて気づきましたが、この2つがあることが自分の軸かもしれませんね。演者も演出も目指す目標は一緒、どちらもやっていきたいと思っています。
――今後、学びを深めていきたい分野や、目指したい自分は?
佐々木さん:経営とマネジメントです。経営視点はお客様の仕事を請け負う上で必要不可欠ですし、メンバーが楽しく働けるようにサポートしながら、会社をつくる立場も目指したいと思っています。また、育児をしながら働いている女性が社員では私だけなので、自分自身がロールモデルとなって、新しい道を開拓していく第一人者にもなりたいですね。何よりも、子どもを預けて働いている以上、仕事をやっていてよかったと思えるような自分になりたいですし、カッコいいママでありたいです。
――最後に、ウェブ解析士の資格を検討されている方へメッセージをお願いします。
佐々木さん:迷っているなら挑戦しよう。これが一番お伝えしたいことです。ウェブ解析士という名前を手にしたことによって、自分に仕事が舞い込んできたり、人からの見られ方が変わったりするので、スキルを磨くきっかけが作れます。また、ウェブ解析士のつながりを生かすことで、さまざまな人と出会い、価値観を広げることもできます。今の自分より1つ上のことに挑戦して、自分を高めてみませんか?