「仕事とウェブ解析士」をテーマにお送りするウェブ解析士インタビュー。31人目は株式会社アスコンのウェブ解析士マスター、桃谷 雅美さんです。
普段はマーケティング部の課長として、お客様の売上向上の支援や社内のマネジメントもされている桃谷さん。その活躍はめざましく、2019年度のウェブ解析士アワードも受賞されましたが、実はウェブに対してコンプレックスをお持ちだったとのこと……どんなことがあって今に至るのでしょうか?お話を伺いました。
(インタビュー・編集:ウェブ解析士マスター 稲葉 修久)
肉体労働からのウェブマーケティング
ウェブ解析士になったのは何がきっかけだったのでしょうか?
別会社の担当者さんと交換した名刺に「ウェブ解析士」のロゴが入っていたのをきっかけに、初めて知りました。
ウェブに携わる際に「何から学んだらいいんだろう?」といった疑問があったので、それを解決する目的で受けました。
ずっとウェブに携わるお仕事をされていたんでしょうか?
今のお仕事に携わるまでの期間が長かったんです。最初はアパレル会社で働いていて、店員から店長になってバイヤーもしてました。その後に、パチンコ店でホール全体を見たり、パチンコ玉を運ぶ仕事をしていました。走り回っていて、かなりの肉体労働でした。
確かにウェブとは違った分野ですね。
そうなんです。時給も良かったですし、やってみたらすごい自分にあってるなと感じて。本当に走り回ってたんですよね。しかも私、人と話すのがとても苦手なので、ちょうど良かったんです(笑)
でもアパレルって話すことが必須じゃないですか……プライベートで人とも話したりご飯に行ったりも積極的にしていなかったんです。そんなアパレルに比べたらパチンコ屋さんってよかったんですよね、人と適度なコミュニケーションだけで済みますし。このままこの仕事を続けたかったんですけど、体力的にやっぱり限界かなと思って転職しました。
なので、これからウェブ解析士の取得を考えられている方は自信を持って受けてもらいたいんですよね。「コミュニケーションが苦手でも、肉体労働やっていても、ウェブ解析士になれるんだ」って思ってもらえたら嬉しいです。
会話苦手・「ググる」も知らなかった
コミュニケーションが苦手という印象は全然ありませんでした。でもウェブ解析士マスターの講座は、大勢の前で喋ったりしないといけませんよね?
はい、ウェブ解析士マスター講座の時は緊張しました。正直初日で「あっ、これは無理だな(笑)」と思ったんですけど、テストが始まった瞬間からは緊張がスッと無くなってクリアできましたね。
でも私はもともと解析などが得意じゃなかったので、マクロやミクロのレポートにとても苦戦しました。
まったく畑違いなことをされていて、かつ苦手意識もあった中で、ウェブ解析士マスターにまで至った経緯って何でしょうか?
転職先がECサイトを運用していて、その会社のECサイトの社内担当になったんです。もともとコールセンター希望で行ったんですけど、アパレル経験があるってことで配属されました。
でも実は、パソコンにさわったのはその時が初めてだったんですよね(笑)
「PCの電源どこ?」くらいのレベルでした。そんな私に「ECサイト」って言われても「えっ、ECってなに??」「ググるって??」という感じだったんです。
周りに聞く人もいなかったことと、もともとのコミュニケーションが苦手な性格もあって、これは自分で調べていかないとなんともならないなと思って調べていったらウェブ解析士にたどり着いたんですよね。その時にHTML、CSS、エクセルも実務で必要だなと思って、近くのスクールに通って勉強しました。
その時に色々勉強されたんですね。
はい、もう目の前にあるものを片っ端から学んでしまおう!と思ってましたね。
当時はよくわからないままやっていて、聞ける人もいなかったので、ずっと自己流で進めていきました。しばらく続けていると、周りから少しずつウェブで困ったことがあったら相談が来るようになったりして、うっすら自分の役割?みたいなものが見えてきたんです。
でも同時に、自分流で進めていく怖さも感じていました。本当にこのやり方でいいのかなって……。
そのタイミングでお会いした方の名刺に「ウェブ解析士」と書いてあって、そのまますぐに「ウェブ解析士 受講」と検索して申し込みました。
すぐに申し込まれたんですね。
スグでしたね(笑)
その時から、ウェブ解析士が取得できたら、上級ウェブ解析士も受けるつもりでした。
ウェブ解析士マスターはどんなタイミングで?
大阪でウェブ解析士マスターの講座があることを知って、その時に「とりあえず」申し込んだ感じです(笑)
正直なところ、上級ウェブ解析士を取得した時に、まだ足りないなって思ったんです。自分がもっとウェブを理解するためにはマスターまで受けないとダメだなと思って申し込みました。
ウェブ解析士マスターを取得してよかったですか?
はい、受けて良かったと思っています。
レポートも大変でとてもハードだったんですが、内容が濃かったので無事取得できた時、実力がついたなと実感できました。
私はそもそも「なんで解析が必要なの?」というところから疑問に思っていたので、その点も整理ができたので良かったです。
根本的な問いですね。どんなふうに整理できたか少し教えていただけますか?
元々「勘頼り」だったんです。
データもざっと見て、勘だけで実施していたんですが、それって解析じゃないなと心の底では思っていて。そもそも解析が何なのかが分かってなかったんです。
データから見える課題を理解することがウェブ解析だと気づくことができました。
ウェブ解析士マスターは相当ハードだと思いますが、仲間ができるのがいいですよね。その点はいかがでした?
それぞれ得意分野があって、教えあって寄り添い合う事を学びました。
自分も人に寄り添えるんだと思えましたし、その恩返しは仲間にも、これからウェブの世界にビクビクしながら入ってくる人にも少しづつ返して行けたら嬉しいです。
わからなくてもまずはチャレンジしてほしい
ウェブ解析士協会の委員会活動もされていますか?
はい、カリキュラム委員会として来年度のテキスト作成に携わっています。
私の場合は仕事があるので講師業はあまりできないと考えていて、委員会に入ることで知識のアップデートができたらいいなと思って参加しています。
たしかに、そういった関わり方も一つの方法ですね。
委員会活動をすると、色々なウェブ解析士と関わるので、その点もおすすめですね。
ウェブ解析士マスターの講座でも同じタイミングで全国にいる方々と一緒に課題を進めるので、その時の同期は今でもよく連絡をとったりしています。
日々の仕事やウェブ解析士取得の過程で色々な人と関わりを持って、コミュニケーションに対する苦手意識が減ってきました。
それは素晴らしいですね!
特に、ウェブ解析士協会に関わることで、たくさんの人脈ができたことは受験して良かったなと感じます。委員会活動はウェブ解析士でも参加できますが、マスターを受講すると今までより同期や講師と近くなれるメリットはありますね。
まぁ、他に思うことは多々ありますが(笑)
逆に、ウェブ解析士マスターまで取っていかないとそういった深い接点を築く機会が少ないので、ウェブ解析士の方でも深い関わりができるようなコミュニティがあったら良いなと思います。
たしかにとても積極的に関わる必要がありますよね。
私がそうだったのでわかるんですが、ウェブで悩んでいる方々のレベルは全然違うんですよね。
同じウェブ解析士でもウェブに関する知識にも幅があって、そんな方々でも気軽に関われる環境があれば良いですね。
そのご経験は、ご自身の経験がチームの育成でも生かされている印象ですね。
「わからない人の気持ちがわかる」というのは大切だなと思います。
わかっていることありきで話をされると、話された側は「きっと、すごいことを言ってるんだろうな……でも、結局これってどうしたらいいんだろう……」ってなってしまうんですよね。
私よりも絶対にチームのみんなのほうが素晴らしいと思っていますし、お話したとおり、私はリテラシーが全然ない状態からのスタートだったので「みんなのほうが断然すごいよ!だから自信を持って行動して!」って思います。
これからウェブ解析士を取得される方にメッセージをおねがいします。
まったくウェブに関する知識がなくても大丈夫!!
「わからないこと」を恥ずかしいと思わないでほしいです。
周りの環境にもよると思うんですが、「こういうことを聞いたら恥ずかしい」とか「バカにされるんじゃないか」とか思ってしまうような方でも、一切気にすることはないです。
ウェブ解析士の資格を取得したい、でもまったく何もわかってなくても大丈夫かな?と思う方でも、ぜひチャレンジしてほしいです。
「ググる」がわからなかった私でもしっかり学べたので(笑)
あとがき
まったくの異業種、知識もゼロの状態から自らチャレンジし、ウェブ解析士マスターを取得されたこともそうですが、「自身の探究心」から実直に学ぶ場に飛び込んでいった桃谷さん。
普段お話しする印象では、とてもコミュニケーションが苦手で「ググる」も知らなかった方だとは思えませんでしたが、意外な過去を知ることができました。
ウェブ解析士の資格を取得したいな……でも……と思っている方にはぜひこの記事を読んでいただき、一歩を踏み出してもらいたいなと思います。
桃谷さんのSNS
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