「仕事とウェブ解析士」をテーマにお送りするウェブ解析士インタビュー。55人目は、マミオン有限会社代表、森 万見子さん。
2021年7月に教職員限定で開催された上級ウェブ解析士認定講座を受講した森さん。受講のきっかけは偶然でしたが、あらためてアウトプットの大切さを確信したそうです。ウェブ解析士協会のLMS(ラーニングマネジメントシステム)を支える森さんに、前回のインタビューに続き、学びの本質と資格の活用についてお話いただきました。
(インタビュー・編集:ライター ふじねまゆこ)
膨大なレポート×短期間集中=実力になる
――当初、上級ウェブ解析士認定講座の受講は想定していなかったそうですね。
森 万見子さん(以下、森さん):上級ウェブ解析士の友人から、「かなり大変」と聞いていたので、キャンペーンを知るまでは予定にありませんでした。教職員向け・期間限定の言葉に背中を押された感じです。ただ、講師をしている大学の期末試験対応や、他の資格試験と時期的に重なってしまい、スケジュールが厳しく、飛び込んでから苦しみました(苦笑)。
しかし、学びの面で非常に有益な機会でした。短期間に相当量の課題をこなして、「やっぱりアウトプットは大切だ」と痛感しましたね。インプットだけの状況はよくない。アウトプットが学びの全てです。
――どういうことでしょうか?
森さん:ウェブ解析士認定講座では、知識を体系的に学ぶけれど、実際に手を動かす機会はありません。今回、実務に近い課題に取り組むことで、知識という道具を使う筋肉がつきました。
受講中は大変でしたが、その経験に基づいて手を動かせば、成果がきちんと数字に出ます。実際、修了レポートを自社サイト向けに組み立てて、改善施策をしただけで成果が得られました。指標に落として、施策を実行するだけで効果が出たのは驚きです。
――たった1ヶ月半で、身につくものでしょうか?
森さん:相当量のアウトプットを短期間でこなすので、しっかり取り組めばかなり身につきます。ものすごく疲れますが、すごく楽しかった。テキストを読むだけでは、理解が浅いまま忘れてしまいがち。実際にツールを使って、数字を出し、レポートにまとめてみると、「わかったつもりになっていた部分」がきっと見えるはずです。受講生同士でお互いのレポートにコメントする課題もあり、自分にない視点をたくさん発見できますし。独学に比べて濃い経験を短期間で得られると思います。
修了レポートでは、企業の事業分析と改善施策提案を1人で作るのですが、この改善施策をたくさん考えて、数字で出す過程がすごく楽しいんです。何度も印刷して見直して、作り直したレポートを眺めていると、今でもワクワクします。
繰り返せば「できないところ」がわかる
――上級ウェブ解析士以外にも、統計検定2級などの資格試験に挑戦されているそうですね。森さんの学ぶ理由を教えてください。
森さん:1つは、人に「勉強しましょう」と言う立場にありながら、自分が勉強していないのはよくないと思うから(笑)。もう一つは、錆びないためです。学び続けていないと、全ての循環が止まってしまうような気がするんです。挑戦している間は本当にツライですが、それ以上に、老いていく自分に焦るんですよね。
――森さんの学び方は、どんな方法ですか?
森さん:私は、1人で自問自答しながらマイペースに進めるタイプです。先生に口頭で教えてもらっただけでは、私の場合サクッと忘れてしまいます。テキストを4、5回解きます。
繰り返せば、誰でも必ずできるようになります。自分に対してもそれは同じで、100回やれば誰でもです。テキストを3周問いていると、解けない問題がきまってくるんですね。この部分の理解が浅いとわかれば、教科書を見直します。忘れるたびに何度も。そうすると1つずつ、間違いなく身についたと実感できるはず。だんだん楽しくなってきますよ。
――学ぶ習慣は、どうすればできるでしょうか?
森さん:何も考えずやるだけ。とにかくやるんです。やる気は、あとから湧いてきます。教科書を開いて、問題を解くだけです。がんばろうとか、何も考えなくていいと思います。私も、朝の30分間は勉強すると決めて、月にノート1冊くらい消費しています。
わからなかったことがひとつでも理解できたら嬉しいですよね。わからない間はつらさのほうが増してしまうけれど、わかるまでは無心でかじりついてみてください。そうしていると、自分の足りないところが見えてきます。私の場合はさらに特殊かもしれませんが……、自分が全くできてないと知るのが楽しい。「まだまだ知らないことが多すぎる。もっと学びたい」。それが生きる原動力です。知らないことを知るのも楽しいし、知らないことがまだたくさんあると思ったらワクワクしてきませんか?
不合格でも、その経験が役に立つ
――上級ウェブ解析士を受講する前に、独学で触れたほうが良いものはありますか?
森さん:Google アナリティクスは、普段から触れておくと良いかもしれません。講座で実践を学ぶ時、より深い気づきが得られるはずです。このとき、漠然とデータを眺めるのではなく、ウェブ解析士テキストやネット上の事例で学び、実際に手を動かして、「もっと体系的に知りたい」と思えていると、知識がより活きると思います。
「足りてない」と思ったら「じゃあ、学ぼう」と動き始めますよね。スキルとか知識で、足りないところを埋めようと思うから学べる。仕事・プライベートどちらでもいいので情報発信をしてみて、Google アナリティクスで数値を計測し、指標を出すまで触れると、もっと学びたいと思えるはずです。例えるなら、沼にハマる感じ。もうちょっと深く知りたいなと思った時、上級ウェブ解析士認定講座はすごくいいと思います。ウェブ解析士で得た知識のうち、実務で役立つものを短期集中で深めるイメージ。すぐに役立つはずです。
――合格後も資格を活かすには、どうしたらよいと思いますか?
森さん:学んだことを共有できる人がいると、楽しいですよ。コロナ禍で直接会うのは難しいけれど、視野を広げてくれますから。私も、友人でウェブ解析士マスターの方と、自社のウェブ解析について話していると楽しいです。自分の知らない業界、指標の見方に触れるきっかけになりますしね。なにより、数字で語りあえるのは楽しいです。
――上級ウェブ解析士をどんな方に勧めたいですか?
森さん:漠然と、勉強しなくちゃと思う方にはぴったりだと思います。日本人の成人のうち、3割しか日常的に勉強していないんだそうです。学びたいと思い立った時、無駄にならない分野の1つに間違いないでしょう。役に立つことを学びたいけど、あれこれ資格に手を出してしまう人におすすめです。たとえ不合格でも、経験が役に立ちますから。
個人的には、役に立つかどうかではなく「学びたいかどうか」で選んだっていいと思います。でも、役に立たないとやる気がでない人にも、満足度が高い資格だと思いますよ。
あとがき
「自分は全くわかっていないと、思えるのが好き」という言葉は、本当に学びが好きな方でなければ出てこないと思います。上級ウェブ解析士の資格は、合格後のほうが大変かもしれません。1ヶ月半の間、仕事と課題をこなしながら、自分の伸びしろを知り、鍛えてみてはいかがでしょうか? 今回も、学びたい気持ちに火がついたインタビューでした。
ウェブ担当者向けの基礎数学講座 大人塾
森さんの事業「大人塾」で開講されている、ウェブ担当者に必要な基礎的な数字の読み方を学べる講座です。通塾と、Eラーニングから選ぶことができ、自分にあったスタイルで受講することができます。「Google アナリティクスや、プレゼン資料のグラフを見て、よくわからないときがある」「実は、統計が苦手」といった方にオススメです。
「普通」にくくられない やさしい社会へ
マミオン有限会社さんでは大人塾をはじめ、大人向けの各種教育事業を展開されています。
企業における教育・研修に関することなど、よい学びについて悩みがある方は、ぜひお問い合わせを。