「仕事とウェブ解析士」をテーマにお送りするウェブ解析士インタビュー。65人目は、大学に通いながらマーケターとしてご活躍中の鈴木晴勝さん。
コロナ禍のさなか大学生活をスタートした鈴木さん。外へ出られず家で過ごす時間を情報収集と自分を見つめ直すことに活用し、実績を積むためインターンに参加。そこで得た経験を土台に個人事業を始め、学業と両立させています。大学生がアルバイトではなくフリーランスを選択したお話に、コロナ禍によるパラダイムシフトを感じたインタビューでした。
(インタビュー・編集:ウェブ解析士 ふじねまゆこ)
大学生はインターンで実績を積もう
――大学で生物学を専攻しながらフリーランスとしてご活躍中とのこと。どういったきっかけで個人事業をスタートしたのでしょうか。
鈴木晴勝さん(以下、鈴木さん):2020年に大学へ入学したとき、コロナ禍によって大学にもアルバイトにも行けない状況だったので、家の中では将来のことを考えながら情報収集をして過ごしていました。そこでプログラミングに興味を持ち、勉強し始めたことが出発点です。
Pythonの知識がついたところでクラウドソーシングに挑戦しましたが、実績が無く思うような結果が得られませんでした。模索する中で大学生向けのインターン募集サイトにエントリーし、1年ごとに違う企業で経験と実績を積むことができました。
現時点では、インターン先だった企業から業務委託のお仕事をいただきつつ、別の企業からもご依頼をいただきながら、フリーランスとして事業を展開しています。
――生物学とウェブマーケティングは分野が違いますが、将来のキャリアはどのように考えていますか。
鈴木さん:今は可能性を広げるために並行して学びたいと考えています。ウェブマーケティングはどんな業種にも関わる分野です。バイオ系企業のマーケティング戦略など、掛け算の仕方でどこでも活かせると思っています。
――フリーランスと学業との両立は可能なのでしょうか。
鈴木さん:私の場合、大学の研究が午後1時から8時まであるので、午前中に仕事をすることが多いです。それに、インターン生として学業に専念しながら社会経験を積めるのは、大学生の間だけです。深夜バイトなどで疲弊しながら学問に臨むよりも余裕ができますし、キャリアを見越した経験も積むことができます。インターン先で培った実績とともに個人事業を始めれば使う時間も自分次第ですし、時間あたりの自分の価値も最大化できるはずです。
3社目のインターンでSEOライティングの経験を積み、プログラミングの知識を活かして記事の構成から発信を仕組み化することができました。仕組み化したことで他のパートナーへ仕事をお願いし、マーケターとしてやりたいことを業務委託の形で受注。結果、フリーランスになったという経緯があります。インターン先以外の企業から受注を得るための工夫はもちろん必要ですが、実績を重ねることで信頼も深まり、立場も変わっていったように思います。
大学生がウェブマーケティングを学ぶべき理由
――学生がウェブマーケティングを学ぶメリットは何でしょうか。
鈴木さん:まず自信につながることです。周りを見渡すと「自分に強みがない」と悩む方を多く見かけます。ウェブマーケティングの知識があれば、自分の興味関心を土台に実績を積むことができます。
体を動かすことが好きならば、自分の好きなアクティビティについてブログやSNSで発信し、アフィリエイトなどで収益モデルを作ってみたり。自分が所属する研究室やボランティアなどの認知拡大を目的に発信して検索順位を上げたり。自分が時間を忘れて取り組めることとウェブマーケティングをかけ合わせ、その結果を実績として記録しておけば自信につながるでしょう。
――今はさまざまなことを手軽にできるサービスがあって、以前と比べて始めやすいのも後押しになりそうですね。
鈴木さん:そうなんです。ウェブマーケティングは生活の身近なところにあるので、プログラミングよりも取り組みやすいのもメリットです。これはウェブ解析士の資格取得でも学んだことですが、さまざまな活動のウェブマーケティングに携わっていると、ウェブ以外の分野、業界情報も知識として必要になるので、最終的に社会・経済活動全体を俯瞰できることも大きなメリットです。どんな企業にも土台には経営戦略があるわけですから、就職、起業どちらを目指したとしても役に立つ知識だと思います。
――上級ウェブ解析士まで取得した理由は?
鈴木さん:ウェブ解析士はインプットが、上級ウェブ解析士はアウトプットが主になる資格です。ウェブ解析士認定試験を受けた時点で、もっと実力をつけるためには上級ウェブ解析士も必要だと思いました。実際に受講してとても満足しています。SEO案件の経験は多かったのですが、企業向けのレポート作成は苦手意識があって。講座の中で「見やすく、簡潔にレポートを作るよう意識してください」と教えていただきました。受講生同士でレポートを評価しあう課題では、自分になかった視点をたくさん得ることができました。インターン先でも経験をすぐ実践に活かせそうです。
うどん店を経営する父母への恩返し
――香川県にある、ご実家のうどん屋さんのウェブマーケティングもサポートされているそうで、家族をとても大切に思っていらっしゃるのですね。
鈴木さん:高校時代に私が病気で3ヶ月ほど入院した際、父・母・家族みんなが寄り添ってくれて、家族のやさしさが身にしみました。これまで温かく見守ってくれた恩返しとともに、いずれは実家へ戻りたいと考えています。
これは祖母から聞いた話ですが、父はもともと会社員で、中国へ転勤の話が来た時に脱サラしてうどん屋を始めたそうです。父親として子どものそばにいるために開業したと聞いて、すごくかっこいいなと。家族を最優先に決断した父の背中から、会社員よりも事業者になるイメージはもともと持っていたと思います。
――ウェブサイトの実績はいかがですか。
鈴木さん:両親からは良い反応をもらっています。ネット通販の数字も上がってきていて、「自分たちの知らない、いろんな世界を見せてくれてありがとう」と言ってもらえたときは本当に嬉しかったです。今後は実店舗への来客増を目指した戦略をとることで、両親に喜んでもらえる成果が得られそうです。「地元に愛されるうどん屋」を目指して二十数年、地元の方々にも好評をいただいている自慢のお店です。県外だけでなく海外の方にもぜひ訪れてほしいです。
働き方のパラダイムシフト
――大学生でフリーランスを選択する方はまだ少なそうですが、今後増えるのではと思います。そのとき必要なのは何だと思いますか。
鈴木さん:まず、「やるべき」よりも「やりたい」を大切にできたら、きっと幸せになれると思います。ユーチューバーもブロガーも、自分の好きな思いから極められるのではないでしょうか。ご自身の「やりたい」を見つけてみてほしいです。
私も、大学に通いながら視野を広げるなかで、もっとできることを増やして、いろいろな業界で自分を活かしたいと考えています。在学中に起業する選択肢もあるけれど、新卒の就活は人生で一度きり。自分の実績を企業から客観的に評価される機会は、おそらく中途採用では経験できないと思うんですね。いろいろな可能性を模索したいと思います。
――今後が楽しみですね。将来の夢はありますか?
鈴木さん:東京で経験を積んだ後は実家に戻り、自然に囲まれながらまったり過ごしたいです。次に、海外に移住もしてみたいですね。どちらにしても田舎でまったり暮らしたい(笑)。両親との時間を大切にして、今はあまり考えたくないけれど、いつか両親が亡くなったときに海外へ行く選択肢も持っておきたい。時間と場所にとらわれないワークスタイルは今後も意識していくでしょうね。
あとがき
これまでの大学生のイメージが、コロナ禍をきっかけに大きく変化したと感じました。どの世代も働き方に多様性が求められる時代です。大学生の働き方、キャリア戦略、就職活動も多様化しています。そのとき、ウェブ解析士を含む学びを活かす資格が、重要度を増していくように思うインタビューでした。
ウェブ解析士インタビューでは他にも、コロナ禍中に大学生でフリーランスの働き方を選んだ暈凜太郎さん、大学卒業後すぐウェブデザイナーとして独立した女屋 貴幸さんの記事を掲載しています。お二人の話もキャリア戦略の参考になるはず!ぜひご一読ください。
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