みなさんこんにちは。私は、上級ウェブ解析士兼マインドマップのインストラクターの後藤晃です。今日は、ウェブ解析を行う際に有効なマインドマップの使い方について考えてみます。
ウェブ解析はマーケティングの戦略立案から、Webの細かい施策まで多くのやるべきプロセスがあります。
上級ウェブ解析士では、下記を学びます。(※執筆時当時)
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ペルソナ設計→コミュニケーションデザイン→コンセプトダイヤグラム
→フレームワークを使った戦略→KPI設計→収益計画→Web施策・・・
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上記のプロセスを行うだけでは、単純に学んだだけになってしまい、現場ではうまくいきません。現場で必要となってくるのは、各施策を掴みつつ、全体の整合性をとることです。ここで有効なのが「マインドマップ」です。
マインドマップでより早く情報を整理できる
マインドマップとは、トニー・ブザンが提唱した、自分の考えを絵で整理する表現方法です。
脳の思考を開放するといわれている「放射思考」に基づいて考案された、従来とは全く違うノート術・発想術のことです。
1枚の紙の上に、表現したい概念(テーマ)をキーワードやイメージで中央に描き、そこから放射状に連想するキーワードやイメージを繋げていき、発想を広げていきます。
マインドマップは、人間の脳の構造によく適合し、その仕組みを最大限に生かすツールなので、より早く情報を整理し、理解・記憶することができます。
ウェブ解析におけるマインドマップ使用のメリット
ウェブ解析のプロセスにおいて、マインドマップを使用することによる、いくつかのメリットがあります。
- 全体像が把握しやすい。
- 素早くアクションアイテムを抽出できる
- メンバーとの共有が簡単
では、具体的にどのように使っていくか、実際にマインドマップを使って行ってみましょう。
マインドマップを使った「ペルソナ設計」
ペルソナ設計では、基本属性や心理属性、行動属性をできるだけ細かく見る必要があります。量が多く粒度が細かい方が、ペルソナを詳細まで定義できるのでどれだけ詳細まで考えられるかが勝負となってきます。そういう時はマインドマップが有効です。
素早くペルソナの属性をピックアップすることができ、全体像も整理できます。
まずは、図のように、真ん中に決めたいテーマ(今回は「ペルソナ設計」)を書きます。次に、中央のテーマから出た最初の大きな枝に、「既存属性」「心理属性」「行動属性」を記入し、その次の枝からどんどん記載していくことになります。枝の色は自由です。カラフルな方がいいです。そして左下には、「結果」という枝を出して最後に残しておきます。
下記の図は、例として「ウェブ解析士の資格を取得したい人」のペルソナについて考えたマインドマップです。
属性に沿って詳細をどんどん記載していきます。「属性行動」だと、「ウェブ解析士の生活パターンって?」「なぜ試験を受けたいのだろうか。動機は?」ということを思い浮かべば、その単語を記載して枝(ブランチ)を伸ばし、次々連想されることを記載していきます。
「基本属性」「心理属性」も同様に進めていきます。
3つの属性を描ききったら、最後にこれらから言える意味を抽出し、「結果」の枝を伸ばし記載していきます。
描き上がると、マインドマップはパッと見て全体的に何が書かれているかをざっくりつかむことができ、また全体観を眺めて見ることも有効です。(あえて「描く」としています。マインドマップは「書く」のではなく絵を描くようにということもありますので「描く」としました)
このマインドマップからは、
「20代後半から30代のビジネスパーソン。ウェブをやらざる得ない状況だが周りに教えてくれる人もいなくて、独学でやっている」
ということが抽出できそうです。このような方法でマインドマップを使い、ペルソナ設計を実施します。
ペルソナ検討する際は、頭の中で悩み、手が止まりがちですが、この方法だとどんどん発散していくことが可能です。そして、マインドマップでは、素早くアイテムを抽出したり、全体像をつかむことに向いています。全体像の中で、後のプロセスにつながる、キーメッセージの抽出が可能です。キーメッセージは、全体の整合性を図る上でとても重要です。
マインドマップを使った「KPI設計」
さて次はKPI設計で試してみましょう。
みなさんKPI設計する際は、例えばフレームワークのKPIツリーなどで考えているのではないでしょうか。それでははっきり言って時間がかかりすぎます。KPIツリーだと、漏れなくダブりなく作る必要があります。最初のうちはなかなか迷いながら作っていくのではないでしょうか。
これらも、マインドマップを使うと有効です。
まずは、KGIを何に定義するか。また補足情報を左の枝を出して記入していきます。今回は、「サービス全体の利益の向上」とします。
これは、KPIツリーを作る前の前提条件です。KPIツリーを作る上での前提は先に書き出しておきます。
KGIを「サービス全体の利益向上」としたので、右の枝(ブランチ)は「利益」とし、どんどん利益に関することを書いていきます。そしてある程度書き出したらそのあとに、「売上」「支出」のように利益を支えるように、ツリーを作っていきます。
ここで大きいポイントは、最初から利益を支えるように作りこもうと考えないことです。考えているうちに手が止まってしまいます。まずは頭の中を一旦全部出してからカテゴリー分けし、そこからKPIツリーを構成していく方が圧倒的に素早く KPIツリーを構成できます。
マインドマップは、素早くアクションアイテムを抽出できる特徴が、特にKPIツリーの構築と親和性が高いツールとなっています。
さらに最終的にペルソナやKPIなど検討したことをメンバーと共有するときもマインドマップは有効です。そして「全体像が把握しやすい」という特徴から、共有したメンバーが全体像を直感的に理解できます。
今回はiMindMapというソフトウェアを使っています。これは、マイクロソフトのPowerPoint、WordやExcel、そしてPDFへの展開ができます。
いかがでしたでしょうか。
ウェブ解析士は様々なタスクを素早く処理し、わかりやすく説明する能力が必要です。マインドマップを使うとウェブ解析の仕事を手助けしてくれます。
ぜひチャレンジしてみてください。