ウェブ解析視点で見る「カーディーラーWebサイト」 ~お客様はこういう感じでWebサイトを使っている

ウェブ解析士マスターの服部です。株式会社プランオンで代表取締役をしています。
前回の「役に立つカーディーラーのWebサイトって何?」では、カーディーラーWebサイトは、「提案力を向上」させないといけないという内容を紹介しました。
今回は「利用者像からみるWebサイトの方向性」を考えてみたいと思います。

目次

カーディーラーWebサイトのお客さまを分析する

なんらかのアクセス解析ツールが導入されているWebサイトであれば、「どのページを、どのくらい見ているのか」や「性別や年代などのアクセスする人の属性」などさまざまな情報を確認できます。それらを把握することで「誰に、どのような情報」を発信すると有効かといったことを判断できるようになります。

カーディーラービジネスでメインとなる購買層は「45~64歳くらい」です。
一方で、カーディーラーWebサイトのアクセス解析データを確認すると、次のような結果でした。

  • 45~64歳からのアクセスは全体の30%程度
  • 25~45歳からのアクセスが全体の60%程度
  • 24歳以下からのアクセスが全体の10%程度

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このデータから、「ビジネスの中心層」と「Webサイト利用の中心層」が異なることが認識できます。

ビジネスの中心層(45~64歳)は、不明点などを事前にWebサイトで調べるよりも、直接来店してスタッフに聞いたり、調べてもらったりして、商品を詳しく理解していきます。

しかし、それ以外の世代では、来店前のプロセスが大きく異なります。

自分の欲しい商品やサービスを、事前にWebサイトで調べて、「購入先」や「購入する物」、「購入方法」の情報を得てから来店している傾向がデータからもうかがい知れます。

そのようなお客さまは、店頭で「販売条件の確認」と「信頼性の確認」をしているといってもおかしくありません。

このようにWebで事前に情報収集をしているお客さま層は、クルマ以外の購買において、自分自身の購買が「失敗することなく、より良くするために、どのようにしていけばいいか」を理解していますし、手段を知っています。価格の調べ方や口コミサイトでの評価確認は、当たり前に行っています。

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「来店時に求めている情報」と「Webサイトで求めている情報」はそれぞれ違います。この違いを認識して、どのお客様に、どんな情報を提供すれば満足してもらえるのか、リアルとWebの両方で最適化していかなければいけません。

カーディーラーは「STP」が得意。でもWebマーケティングでは使えていない

STPとは、自社が誰に対してどのような価値を提供するのかを明確にするマーケティング手法で「S:セグメント」「T:ターゲティング」「P:ポジショニング」の略です。

カーディーラーの本部を中心に、次のようなデータを把握して、顧客へアプローチするタイミングを設定しています。

  • クルマの購入回数
  • 年齢
  • 年間サービス来店の回数
  • メンテパック加入」
  • 任意保険加入など

リアルな現場では実によく機能しています。

しかし、これらの仕組みが「Webマーケティングでほとんど使えていない」と思っています。Webマーケティングでは、より顧客ニーズに近づいていかないといけません。
「広告」より「狭告」、さらには「個告」というように、対象を絞ってメッセージを発信しないといけません。そうしないとユーザーからの「共感」は得られないからです。

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3代目プリウスでWeb解析してみる

たいへんよく売れた「3代目プリウス」。
商品が過剰気味という話をよく聞きますが、現在では中古車市場で販売されています。では、中古車市場で3代目プリウスを販売するとき、Webではどのようなページを作って接客をすればいいか一緒に考えていきましょう。

①販売先のお客さまはどのような人か?

これはアクセス解析ではわからないので、実際の販売データが必要です。

45歳前後と60歳前後に、購買ボリュームゾーンがあるという事実がわかりました。

②どんなグレードが販売の中心か?

これも実際の販売データが必要です。

最低価格のグレートから一つ上のものが売れています。新車でこのグレードがよく販売されたため、中古車市場でも多く流通し、その結果お求め易い価格になっているからです。

③この購入層がWebサイトで閲覧しているコンテンツは何か?

これはWebサイトアクセス解析のデータをみていきます。

データからの仮説になりますが、「品質・保証」に関するページへの滞在時間が多いので、「安心や信頼の部分に興味があるのでは?」と仮説ができます。

ニーズ:燃費の良い車を、お手頃な価格で、安心できるところから、購入したい

これらの情報から、「燃費の良い車を、お手頃な価格で、安心できるところから、購入したい」というニーズが多いのではと予想ができます。
つまり、このようなカーライフがイメージできます。

  • 45歳は、子育て時期(小学校)卒業かミニバン卒業のユーザーのカーライフ
  • 60歳は、退職後の節約志向のカーライフ

店頭では、「顔を見て商談」できますが、Webサイトでは顔がわかりません。わからないからといって、ありきたりな情報を掲載するのではなく、上記のような「顧客層をイメージしたWebサイト構築」をすることで、「提案力」が向上し単なるカーディーラーサイトでなく、「提案型アプローチ」ができます。

「アクセスデータ」と「実際の販売データ」をうまく活用することで、よりよいWebマーケティングが実現できるのです。

まとめ

最後になりますが、自分は「Webは必ず成功できる手段」と考えています。
出てくる数値を「1%」でも良い方向に改善していけばいいからです。

それにはありきたりの情報でなく、お客さまにいかに「質の高い情報」を提供できるかが重要です。カーディーラーで活用するIT技術はそれほど高いものでなくても十分です。現在は情報中心の世の中ですが、これからは「情報力」だけでなく、「知識力」もどんどん求められてきます。

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Webサイトを保有することで終わることなく、自社ビジネスに役立つとことを目的にして運営をしていきましょう。
全5回のコラムを読んでいただきありがとうございました。

日刊自動車新聞社より本を出版しました

デジタルマーケティングを基礎から総合的に学ぶには

Google アナリティクスをはじめとしたGoogle系のツールは、その使い方を知ることも大切ですが、使うための戦略や設計が必要です。それは、ビジネスに成果をもたらすために必須の考え方です。

ウェブ解析士協会では、このようなデジタルマーケティングの基盤となる「ウェブ解析」を体系的に学べる環境と、知識・技術・技能に一定の評価基準を設け、あらゆるデータから事業の成果に貢献する人材を育成しています。

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この記事を書いた人

服部 淳(はっとり じゅん)株式会社プランオン 代表取締役。著書「クルマが売れる提案活動!」得意領域は、「店舗集客力向上」「商談力向上」「リピート向上」など戦略的プランでクライアントをサポート。自社で通販サイトを運営することで、webマーケティングノウハウを蓄積し、クライアントへ有効施策を提供していきます。企業パートナーとして「お客様のニーズに応え、課題を解決(=業績アップ)する」ことを大切にしています。

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