こんにちは! 最近YouTubeチャンネルを始めた、バンクーバー在住上級ウェブ解析士のLeoです!! チャンネル登録よろしくお願いします!
さて今回は、バンクーバーのマーケティングエージェンシーに勤める野村 晶大さんに「日本と北米(バンクーバー)のマーケティングはどのように違うのか?」というテーマでお話を伺ってきました。
話を聞いていて、僕自身勉強になるトピックがたくさんあったので、どうぞ最後までお付き合いください。
北米におけるマーケティングの特徴3つ
現在、自社(マーケティングエージェンシー)のマーケティングも担当されているとのことですが、英語圏でのマーケティング企業のマーケティングには、どのような特徴がありますか?
そうですね。従来型のコンテンツを作って、メールマーケティングをして、見込み顧客を作り、セールスに繋げるという流れに対して、コンテンツを作って、コミュニティを形成し、見込み顧客をコミュニティに留めておいて、見込み顧客側の準備ができた時に顧客側からアプローチが入るという流れがあるのかと思います。コンテンツをきっかけにしてコミュニティを作り、育てていくという流れが結構強いなと感じています。
例えばインバウンドマーケティングで有名になったHubspotがこの手法をとっています。HubSpotツールを扱う人のための資格を作り、その資格について学ぶためのコミュニティ『Hubspot Academy』を作りました。今では北米におけるカレッジの授業の一環として、その資格を取らせるという流れがあるほどです。
流れを箇条書きすると次の通り。
- ブログ『HubSpot BLOGS』で読者を獲得する
- 『Hubspot Academy』でHubSpotの資格を作り、資格保有者のコミュニティを作る
- メールマガジン登録者を増やす
- 見込み顧客を作る
- セールスをする(もしくは、必要に応じて顧客からアプローチが来る)
また、HubSpotはコミュニティを広げるために、小さなコミュニティをサポートしています。ひとつの事例が「Growth Driven Design」です。
HubspotやContent Marketing Instituteは、この方法で成功している有名な事例ですが、ローカルでしか知られていないような小さなコミュニティも数多く存在しています。例えばKimra Lunaの『Freedom Hackers』はエッジの効いた女性起業家のためのコミュニティです。
まとめると「新しい手法を考案して、その手法を扱う資格を作り、資格を学ぶコミュニティをデザインする」というのがひとつのトレンドのように感じます。
元々Hubspotは、「インバウンドマーケティング」というキーワードをマーケティング(世に周知)した会社として有名です。そのキーワードをマーケティングすることによって会社のブランディングも一緒に確立していくキーワードブランディング※という手法も、今後コンテンツマーケティングの一環として少しづつ出てくるのではないかと予想しています。
※マーケティング用語のキーメッセージとは少し異なります。ブランドと親和性が高い概念やキーワードを見つけ、あるいは生み出し、そのキーワードが世の中の人に知られて検索されるまで、マーケティングしていくのです。
他の大きな違いといえば、テキストコンテンツに比べて、ビデオコンテンツの勢いがあるということでしょうか。
ここでは個人的に好きなYouTubeチャンネルを2つご紹介します。
L2 Inc.
L2 Incの人気シリーズは『Winners & Losers』です。毎週、グローバル企業のビジネスニュース・ケーススタディをまとめ、勝者(Winners)と敗者(Losers)を紹介していくチャネルです。グローバル企業のCEOをターゲットにしたコンテンツです。
Marie TV
Marie TVは起業家をターゲットにしたYoutubeチャンネルで、人気シリーズは『Inspiring Interviews』です。普段話を聞けないようなマーケットリーダー達の話が聞けます。個人的にお気に入りの回はSeth Godin(北米のマーケター界でロックスター的な存在)のインタビューです。
こちらでよく使うマーケティングツールには、どんなものがあるんですか?
英語圏で使える便利なツールは、結構色々とあります。
私が最も使うのは『Buzzsumo』です。キーワードごとでバズった記事、被リンクが多い記事がひと目でわかるツールで、素晴らしく使い勝手がいいです。
後はプラットフォームですが、LinkedInのコミュニティが根付いています。専門家達が活発に議論をするコミュニティがあることは、BtoBマーケターとしてはかなり嬉しいポイントです。
まだ完全にコツをつかみきれていませんが、実際に私が書いたいくつかの記事が、これらの専門家によるコミュニティを通して上手く拡散され、結果も出ました。詳しくは自分のブログの『LinkedInで英語BtoBマーケティング | たった2記事でWhite Paperダウンロード178件獲得した話』でまとめたので、もし海外でのマーケティングに興味があればご覧ください。
逆にバンクーバーでマーケティングをしていて、「これは日本とそんなに変わらない」というようなことがあれば教えてください。
僕の見てきた範囲だと、基本的な部分は日本も北米もそこまで変わらないという印象ですね。かなり細部の話ですが、長文コンテンツは英語圏でもSEOに効きますね(笑)
あと個人的に試してみたい日本のコンテンツマーケティングの手法としては、漫画コンテンツを使ったマーケティングがあります。北米にも似たような物がありますが、日本の漫画コンテンツほど手間をかけて作っているものは見たことがありません。
例えば京都のウェブライダーさんが制作された『沈黙のWebマーケティング』レベルの物は今まで見たことがないです。
日本と北米のマーケティング両方を学ぶ
北米に行く前は、日本でマーケティングをしていたんですよね? 日本での経歴を教えてもらえますか。
日本にいた時は主に、SEO関連サービスの開発と販売、チームメンバーの採用からプロジェクトのディレクション、マネジメントまで結構幅広くやっていました。小さい会社にありがちの「なんでもやります」な感じです。
その会社には当初、デジタルアドのセールスとして入ったんですが、周りと比べてセールスの成績が良かったため、SEO関連サービスの開発を任されました。「サービスを自分で作って、自分で売る」というような形で始めて、最終的には4~5人規模のチームで制作&運用を行っていました。
その後、お金を貯めて海外に出るために会社を離れて、フリーランスとして4ヶ月ほど活動しつつ、前職では経験したことのなかったECサイトとチームの構築、マネジメント、コンテンツの制作チームづくりのお手伝いなどを経験しました。
現在のお仕事について簡単に教えてください
現在は、バンクーバーのマーケティング企業 My Loud Speaker Marketingに勤める傍ら、バンクーバーでマーケティングしている人のブログも不定期で更新しています。
今の企業では、「クライアント向けの仕事」と「社内用のプロジェクト」の大きく分けて2つの仕事をしています。
クライアント向けに行っているのは、Googleアドワーズ広告の運用から、ランディングページのプランニング、ワイヤーフレームの設計、A / Bテストと簡単なレポーティングまで、とにかく業務は多岐にわたります。
他にも、サイト移転時の簡単なSEOセットアップやリダイレクト処理、ロングテールのクエリを取りにいくような簡単なSEOの施策もやります。
社内用のプロジェクトでも本当に色んなことをやっています。特に、自社の見込み客獲得と育成に関することはほぼ全て行っています。
Googleアドワーズの運用、コンテンツの制作と拡散、マーケティングオートメーションツールの導入と設計、Emailマーケティングの設計、そしてウェビナーやセミナーの設計などもしています。セミナーでのプレゼンテーションはCEOにさせています(笑)
自社サイトのSEOのためには、がっつりとサイトの中身を改修したいところですが、自社のマーケティングに割けるリソースが限られていることもあり、まだ取り掛かることができていません。とはいえ、なんだかんだとコツコツ頑張ってきたおかげで、もともと月2~3件くらいしかなかったリードの数が月に20件程度になりました。
後は、セールス面に関わることも多く、セールスフォースを使うこともあります。フォローアップの設計や提案のマネジメントなども行っています。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
全部面白かったんですけど、僕個人としては特に資格づくりとコミュニティ化というところは事例付きで教えてもらってとても勉強になりました。
教えてもらったふたつのYouTubeチャンネルも、これからちょこちょこ追っていきたいなと思って早速登録しました! みなさんも、英語の勉強にもなるでしょうし、是非ご登録ください!
そうそう、実は野村さんと僕で日本酒の世界コミュニティ『Japanese Sake Lovers』もしています。(※Facebookページへリンクします)もし読者の方の中に日本酒好きがいらっしゃれば、是非一緒に日本酒話で盛り上がりましょう!
では!
取材・文・写真:遠山怜欧