SEOの解析レポートって何を書けばいいの?(外部コンサル編)

こんにちは。ウェブ解析士マスターの矢部 貴也(やべ たかや)です。

大手代理店でナショナルクライアントの SEO を経験したのち、DeNA にてインハウスでキュレーションメディアのグロースハッカーをしていました。現在はシーオーメディカルにて外部企業の SEO コンサルティングを行っております。

前回の飯川さんによるインハウスの SEO レポートに続き、外部コンサルをする際の一般的なレポートの書き方と注意点についてご紹介します。外部コンサルを行う際の参考になさってください。

目次

インハウスと外部コンサルの違い

そもそも、「インハウスで提出すべきレポート」と「外部コンサルが提出すべきレポート」は、なにが違うでしょうか。当然、コンサルティングの対象者が異なります。つまり、レポートの質が大きく違います。

内部資料なら、ある程度説明を省いても通用しますが、外部の場合はそういうわけにいきません。明確に費用が発生するため、単なる報告書ではなく、しっかりと成果を出すための設計図である必要があります。

初期提案について

「初期提案」と「月次のコンサルティング」では提示するレポートが変わってきます。なぜなら、しっかりと初期でクライアントに現状のサイトの状態とどこを目指していくかを明確に共有する必要があるからです。

月次のレポートは、施策の進捗状況の確認とその結果のフィードバック。サイトの状態を確認し追加の施策提案や、Google のアルゴリズムの変動やその他の要因から対処したほうがいい事項の共有を行います。

初期提案は現状のサイトの診断

初期提案では現状どれくらいの流入が自然検索からあるのか、どのようなキーワードがこのサイトで狙えるのか、そしてその狙うべきキーワードでどれくらい流入しているのかを調べ、クライアントと共有します。

これを行わず、ただ単純にクライアントから指示されたキーワード単位で話を進めてしまうということも少なくないようです。しかし実際に分析してみると、指示されたキーワードを獲得するよりも、他のキーワードを狙ったほうが良い場合が多々あります。

クライアントの指示を鵜呑みにして進めてしまうと、「検索結果での順位は上がったものの、思ったより流入が増えない」「流入は増えたものの、問い合わせなどのコンバージョンに結びつかない」ということが起き、お互いがっかりしてしまいます。

そのためにしなくてはいけないこと

では、どのような情報を手に入れれば、より良い初期提案を作ることができるのでしょうか。

まずすべきなのは、クライアントに「このサイトで何をしたいのか」、そして「目標は何か」を聞くことです。

「URLだけ聞けば大丈夫なのでは?」という声が聞こえてきそうですが、そんなことはありません。なぜなら「目標はないけど、とりあえずやってみたい」というクライアントは少なくなく、このままでは効果測定、つまり、キーワードのランクの獲得や流入の増加などを測定できないためです。

どんな初期提案資料を作ればいいか

では実際に初期提案を行うにあたって、どのような内容が望ましいでしょうか。

①現状のサイト分析

どのくらいのページ数があるのか、どのようなキーワードがターゲットキーワードなのか、ウェブサイトがどれくらいのボリュームなのかを正確に知りましょう。競合としているサイトに対して、サイトのボリュームが足りないのか、それとも内容が足りないのかを判断する基準となります。

②ターゲットキーワードの獲得状態

ウェブサイトに流入して欲しいキーワードを、どれだけ獲得できているかを確認しましょう。そもそも、全然獲得できていない領域があることが多く、クライアントに気づきを与えることが多々あります。

③実際競合の提示

「オフラインの競合=ウェブの競合」と考えているクライアントは多数います。実際に調査をしてみると、オフラインで顧客を取り合っている競合が、ウェブでは顧客を獲得できていないといったことも少なくありません。クライアントのサイトがターゲットとするキーワードで、上位を獲得しているサイトが「ウェブの競合」です。このサイトを分析して資料を作りましょう。

まず、ターゲットキーワードの中でもボリュームの大きいキーワードの検索結果を取得し、上位にランクインしているサイトを抽出します。そして、そのサイトがクライアントサイトでターゲットとしているキーワードで、どれくらいの順位の差がついているかを分析しましょう。これによって、クライアントサイトと競合サイトの想定流入の差などを想定することができます。

④現状サイトのペナルティ要素を把握

初期資料でもっとも大事なパートが、ペナルティ要素の把握です。

SEO を実施する上でどんなにいい施策を実施したり、コンテンツを追加したりしたとしても、ペナルティ要素によってある日突然、検索結果がランク外になることもあるからです。また、最近ではペナルティ要素があると、どのようなことを実施しても、ランクが動かないということがわかっています。

ペナルティの排除については確実に実施していただきたいので、クライアントが施策の意図をしっかりと理解しているか、またいつ施策が実施されるのかを把握しておきましょう。

(注:Google の公式では「ペナルティ」という言葉は使われておらず、アルゴリズムの変更によって「ペナルティを受けたように見える」ことはあります)

月次提案について

さて、ここまでは初期提案について語ってきましたが、ここから先は定例訪問の際に行う月次提案について語っていきます。

SEO のレポートは1回出して終わりということはありません。なぜなら Google のアルゴリズムは変化しますし、その影響でサイトの扱いが変わる可能性があるからです。先月の時点では最良の提案だったとしても、今月は変えなければならないということもあり得ます。

また、施策が進んでいないこともあるでしょう。コンサルの資料は眺めているだけでランクが上がったり流入が増えたりすることはありません。あくまでも、実行してもらうことで成果が発生します。ですから、施策の進捗の確認などもする必要があるのです。

月次提案は施策の進捗チェック

先述のとおり月次の提案には必ず、少なくとも以下の3つの項目で進捗をチェックしてください。

・どんな施策をいつ提案したか?
・現在の施策進捗状況はどうか?
・誰がどのように進めているのか?もしくは進んでいないのか?

もし予定通りに進んでいない場合は、スケジュールの確認をしましょう。なぜなら、施策を実行していただくことにこそ、意味があるからです。絵に描いた餅は食べられません。

リスクヘッジするための施策

リスクとは何でしょう?それは Google のアルゴリズムアップデートに対して、クライアントが違反を犯していないかということです。月次の頻度で確認することなんて特にないと思われるかもしれませんが、Google は毎月、大小多くのアップデートを行っています。

そのアップデートの中には、短期間での対応が難しいものもあるかもしれません。しかし Google としても重要と判断しているものは、確実に実施させることを意図して情報をこまめに出しています。

サイトを成長させるための施策

SEO コンサルタントとして仕事をしている以上、サイトへの流入を増やし、コンバージョンを獲得できるように成長させなくてはなりません。成長を促すためには、改善が難しすぎず、インパクトの大きく施策がオススメです。

そこで、サイトの状態を Google や検索ランクチェックツールで確認し、「惜しい」キーワードやページを探します。あと少しで1ページ目に入るのに、今2ページ目の前半にあるページを探しましょう。1ページ目の1番下(10位)と2ページ目の1番上(11位)では、クリック率に大きな差が出ます。クリックに差があるということは、流入にも影響があるということです。

しっかりとこの「惜しい」ページを見極めて、施策を考えましょう。

まとめ

インハウスとの違いを序盤でお伝えしましたが、やはり大きな違いは「クライアントとの接触の回数」です。インハウスなら同じ社内で質問もしやすいですし、わからないところを気軽に相談できます。反面、外部コンサルが提案する資料は、クライアントと目標をしっかりと共有し、その目標に向けてクライアントを導くものです。施策のスケジュールも共有し、提案と合わせて進捗を確認するのも外部コンサルの仕事です。

SEO はそこまで難しいものではありません。クライアントの目標を達成するためにサイトを良くするには何をすべきか?と真剣に向き合うことができれば、必然的により良い施策を提案できるようになります。

あまり外部の会社のコンサルティングを行う機会はないかもしれませんが、1度やってみるとインハウスよりオモシロイかもしれません。まずは知り合いの会社に相談してみてはいかがでしょうか。頑張ってください。

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この記事を書いた人

株式会社シーオーメディカル 上席コンサルタント。大手広告代理店にて多くの大規模サイトのコンサルを実施をしたのち、株式会社DeNAでグロースハッカーとしてサービスの成長を実現させ現在に至る。中小からメガクライアント、業種業態、サイトの形態を問わずSEO対策を実施し成功に導いた実績多数。ウェブ解析士マスター。GAIQ。Yahoo!プロモーション広告プロフェッショナル。AdWords公認プロフェッショナル。

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