サポートサイトのコンバージョンを解析するために必要な設計の考え方

はじめまして。ウェブ解析士マスターの林 邦彦と申します。現在はデジタルチャネルを活用した最適なコミュニケーション作りに尽力しています。

今回はサポートサイトのコンバージョンと、それを解析するために必要な設計についてお伝えいたします。まずは目的から考えてみましょう。

目次

サポートサイトの目的とコンバージョン

サポートサイトの目的から考えてみましょう今日、世の中のウェブサイトの多くにサポートサイトが用意されています。しかしサポートサイトの目的はサイトごとに違います。当然、サイトの目的が違えば設定するコンバージョンも違ってきますので、コンバージョンを設定する際はサポートサイトの目的を明確にする必要があります。

では、サポートサイトの目的とは何でしょうか。目的を具体的に、サポートサイトを利用する「誰に、どうなってほしいか」そのためにどうするかで考えると、サポートサイトの目的には大きく分けると2つの傾向があります。

ひとつは、「潜在・見込顧客(製品やサービスの購入を検討されている方)へ情報を提供する」。
もうひとつは、「顧客(すでに製品やサービスを購入し利用されている方)の問題を解決する」です。

前者の例としては、食品や化粧品の成分を掲載している場合になり、購入を検討されている方へ商品についての参考情報を提供することが目的です。後者は、家電機器の使い方やトラブルの対処方法を掲載している場合がそれにあたり、機器を利用しているユーザーのケアが目的です。

「潜在・見込顧客への情報提供」を目的とする場合のコンバージョン

潜在・見込顧客(製品やサービスの購入を検討されている方)への情報提供を目的とする場合は、サポートサイトで提供する情報が購入の役に立っていれば、コンバージョンといえます。

コンバージョンの設定例として、化粧品の通販サイトにあるサポートページを想定してみましょう。

まず商品の購入に至ったユーザーと、購入に至らなかったユーザーでサポートページがそれぞれどのぐらい閲覧されているかを確認します。その結果、ユーザーが商品の購入に至るまでの何回かの訪問の中でサポートページを閲覧する傾向があれば、商品を購入し、該当サポートページを閲覧したユーザーをコンバージョンとします。

このように設定したコンバージョンを継続して追っていき、サポートページへの導線改善や掲載内容の変更などの施策を打つことで、どのような影響があるかを確認することができます。

「顧客の問題解決」を目的とする場合のコンバージョン

顧客(すでに製品やサービスを購入し利用されている方)の問題解決を目的とする場合は、前述の潜在・見込顧客への情報提供の場合とは、顧客満足度とサポートコストを意識する必要があるという点で考え方が異なります。

一般的に、顧客満足度が高ければ再購入につながるため、企業はサポートを充実させ、顧客満足度を向上させるための施策を実施しています。ただサポートコストをかければ顧客満足度が上がるという単純なものではなく、ユーザーの要望に沿ったサポート提供が必要です。

サポートサイト以外のサポートチャネル

ユーザーサポートのために用意されているチャネルは、サポートサイトだけではありません。従来のチャネルである電話やメール(ウェブフォームからの問い合わせ)、チャットに加え、最近ではチャットボットを利用した自動応対も増えてきています。

いくつかの調査結果より、対象の製品やサービス、ユーザーの年齢層などによって割合に差はあるものの、多くのユーザーは利用製品やサービスに対して問題や疑問があるとき、電話やメールで問い合わせる前にサポートサイトなどで自己解決を試みる傾向があると言われています。

ユーザーは必ずしも電話での丁寧な説明を求めているわけではなく、時間や手間をかけずに問題を解決することも望んでいます。そのため企業側もサポートサイトを充実させ、ユーザーが自己解決可能な問題はできるだけウェブチャネルで、内容が難しかったり、緊急性の高い問題は電話で対応するというように、問い合わせの内容ごとに適切なチャネルで対応しようとしています。

そのため、目的に沿ったコンバージョン設定が必要になるのです。

サポートチャネルの最適化

ユーザーの自己解決を助けるコンテンツに改善しましょうサポートチャネルを最適化するためには、電話やメールの問い合わせ傾向を分析し、サポートサイトに不足している情報・コンテンツを追加します。例えば、製品のある問題について多くの問い合わせが電話やメールで入ってきているのに、サポートサイトにはその問題に対応する情報が掲載されていない場合、対応するコンテンツが必要になりますよね。

ここで重要なポイントは、サポートサイトに掲載されているそれぞれのコンテンツは、電話やメールで入ってくる問い合わせのうち、どの内容の問い合わせに対応するコンテンツなのかを把握し、紐づけて管理しておく必要があるということです。そうすることで、解決用のコンテンツを閲覧した訪問数と問い合わせ数の相関関係を確認できるようになるからです。

例えば、サポートサイトを見ればユーザーが自己解決できるような問題にもかかわらず、問い合わせが絶えない場合を考えてみましょう。

「サポートサイトの該当コンテンツを閲覧した訪問数」をコンバージョンと設定します。問い合わせ数よりこのコンバージョンが高まる、つまり「問い合わせなくても自己解決できる割合が高まる」ことを見込む施策を実施して確認していけば、サポートチャネルの最適化が見込めたと言えるでしょう。

サポートサイトでは、求めるコンテンツが掲載されていてもそれを「見つけられない」「見つけたが内容が不十分」ということがあります。

「見つけられない」については、該当コンテンツへの流入や遷移を確認し、導線を見直しましょう。

「見つけたが内容が不十分」については、コンテンツの修正を検討します。コールセンターの電話番号が掲載されているページや、メールの問い合わせフォームページに遷移しているかどうかを確認してみましょう。この場合、該当コンテンツを閲覧した訪問の内、問い合わせへの遷移を除外した訪問をコンバージョンとするとわかりやすいですね。つまり「サポートコンテンツのみで自己解決できた訪問」です。

また、コンテンツが役に立っているか判断する指標として、「この FAQ は役に立ちましたか?はい/いいえ」というようなアンケートを取っている場合もありますが、クリックする母数が少なく、回答もネガティブになる傾向があります。そのため、アンケート結果は補助的指標として扱う場合が多いです。

その他、コンテンツを見て解決したかどうかまで判断することはできませんが、基準を設けてページの滞在時間やヒートマップツールでの精読率をコンバージョンとして扱う場合もあります。最近はテキストと画像での説明では難しかった内容を、動画を使って説明することが多くなっていますので、動画の再生時間や完了数をコンバージョンとすることも検討してください。

まとめ

  • サポートサイトによって目的が違い、設定するコンバージョンも違う。
  • サポートサイトの目的は大きく分けると、「潜在・見込顧客への情報提供」「顧客の問題解決」がある。それぞれの目的に合わせてコンバージョンを設定する。
  • サポートチャネルの最適化が求められている。「顧客の問題解決」を目的とする場合、サポートサイトではユーザーが自己解決できたことをコンバージョンとする。
  • ユーザーが自己解決できたかどうかを確実に判断できる指標はないが、類推できる指標をコンバージョンとし、他チャネルの指標とあわせて推移を確認していく。

以上、皆さまのサポートサイトの改善に活かしてみてください。

デジタルマーケティングを基礎から総合的に学ぶには

Google アナリティクスをはじめとしたGoogle系のツールは、その使い方を知ることも大切ですが、使うための戦略や設計が必要です。それは、ビジネスに成果をもたらすために必須の考え方です。

ウェブ解析士協会では、このようなデジタルマーケティングの基盤となる「ウェブ解析」を体系的に学べる環境と、知識・技術・技能に一定の評価基準を設け、あらゆるデータから事業の成果に貢献する人材を育成しています。

サポートサイトの目的から考えてみましょう

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

ウェブ解析士マスター
SCSKサービスウェア株式会社
マーケティング、デジタルサービスの部門でウェブサイト運用やデータ分析、サービス企画に従事。
デジタルチャネルを活用した最適なコミュニケーション作りに尽力中。

目次