皆さんこんにちは、田村です。野球とネットとソーシャルメディアを研究しています。ウェブ解析士協会ではソーシャルメディアマネジメント研究会(SMM研究会)の代表をしており、毎月(データ的に)赤裸々な内容をFacebookでライブ放送していますので、どうぞご覧ください。
さて、今回はソーシャルメディアの基本である、「リーチ」についてご説明します。「ここってどうなの?」という疑問があれば、ぜひ私のFacebookやTwitterに声をかけてくださいね。
リーチとインプレッション
ソーシャルメディア運用における最も重要な指標のひとつが「リーチ」です。「リーチ」は文字通り、情報がユーザーへ到達した数値を示すものです。メディアによっても呼称は異なり、FacebokやInstagramの場合はリーチ、Twitterはインプレッションとして解析画面に表示されます。
FacebookやInstagramでは「リーチ」「インプレッション」と、閲覧数に関する項目が複数存在し混乱するケースがありますので、明確な定義を確認しておきましょう。
「リーチ」は情報が到達したユーザー数、Web解析で言うところの「UU(ユニークユーザー数)」です。
「インプレッション」はコンテンツがユーザーの画面に表示されたトータル数、Web解析で言うところの「PV(ページビュー数)」です。
エンゲージメント率を計測する場合、そのメディアの「ファン数」を分母にするケースと、「リーチ数」を分母にするケースがあります。「獲得したファン(フォロワー)の中から、どのぐらいのユーザーが反応してくれたかをチェックしたい」という明確な意図がある場合は、ファン数を母数にするという選択肢もあります。
しかし、数年間にわたるソーシャルメディアの普及のなかで、ログイン頻度が極めて少なくなっているユーザーも存在します。つまりすべてのファンが常時ログインしているとは限らず、分母をファン数に設定すると、エンゲージメント率の数値が実情より低くなるケースが散見されます。
そのため、現状ではリーチ数を母数に設定しエンゲージメント率を計測することが、より実態に近い数値を確認できると考えられることから、一般的には「リーチ」を分母として算出するケースがほとんどです。
同様に、Twitterアナリティクスの画面に表記されている「インプレッション」はユーザーの画面に表示された回数をカウントしているものであるため、「PV」と同義です。Twitterのエンゲージメント率はフォロワーではなく、このインプレッションが分母になっています。
まずは各メディアでのリーチ数の確認手順を知っておきましょう。
Facebookページから発信された情報は、Facebookページのファンを起点に他のユーザーにも伝播します。このとき、情報が画面に表示された状態を以て「リーチ」としてカウントされます。多くのユーザーから反応を得た投稿ほど比例してリーチ数も伸びます。また、近年のアルゴリズムの改定により、広告を活用したリーチ獲得も有効な手段となっています。
- インサイト画面で「リーチ」を選択します。Facebookページ全体のデイリーリーチ数と推移が確認できます。
- インサイト画面で「投稿」を選択します。投稿ごとのリーチ数を確認することができます。
なお、「リーチ」のすぐ右の項目が「エンゲージメント」となっています。「エンゲージ」を分子に「リーチ」を分母にして、「エンゲージメント率」を算出することが可能です。上記「リーチ」のグラフから5月30日、6月19日の投稿でリーチが伸びていること、13日の投稿リーチが緩やかに上昇していて、何がリーチを伸ばしたのか原因を知る必要がありそうです。下に掲載した投稿ごとのグラフを見ると、投稿した記事が稼いだリーチやエンゲージメントから人気のある投稿内容を見分けることができます。
Facebook広告によるリーチ獲得
Facebookページの投稿をユーザーに届かせ、リーチを獲得するために最も有効な手段は広告です。2018年初頭のアルゴリズム変更により、広告を併用していない投稿はユーザーにリーチすることが極めて難しくなっています。逆に、広告を利用すると一定数のユーザーに確実にリーチすることが可能であるとも言えます。
企業によっては、投稿のリーチ数が伸びないという原因を、投稿する画像やテキストに問題があると判断し、費用や労力をかけて投稿コンテンツを精査されているケースがあります。しかし、そもそも企業からの情報は、現状ではアルゴリズムによりリーチが抑制されているということをまず認識してください。そして、リーチ数の獲得については少額の広告を配信することで解決することがほとんどであることも知っておいてください。
Facebook広告ではリーチさせたいユーザーをターゲットと設定し配信します。興味関心・男女・年代・居住地など細かくターゲットすることが可能です。しかし、不特定多数に届けたいプロモーション色の強い投稿でなければターゲットを「ファンとその友達」に設定することをお勧めします。「ファンとその友達」にターゲット設定する理由は、獲得したファンへ確実に情報を届け、ファンを起点に口コミを生むのに最適な設定だからです。
Twitterのインプレッションは、まず自社アカウントのフォロワーのタイムラインから始まります。自社アカウントのフォロワーがリツイートや「いいね」などのいわゆる「エンゲージメント行動」をとった場合、情報はさらに多くのユーザーに到達します。1次発信元のフォロワーが少なくても、影響力のあるフォロワーによるエンゲージメント行動により、思わぬ大規模情報拡散を生むこともあります。
- Twitterアナリティクスの「ツイート」タブを選択します。Twitterアカウント全体のデイリーインプレッションと推移を確認することができます。
- そのまま画面を下にスクロールすると、ツイートごとのインプレッションとエンゲージメント数、エンゲージメント率が表示されます。ツイートの内容ごとに効果を比較検証することができます。
Twitter広告によるインプレッション獲得
Twitterでは広告を使ってツイートのインプレッション数を増加させることができます。Facebook広告同様、男女別・年齢別・居住地別にターゲットを設定できます。Twitter広告が特徴的なのは、類似ユーザーのフォロワーをターゲットとすることが可能な点です。同業種や類似業種のアカウントをフォローしているユーザーをターゲットとして設定し、効果UPを図りましょう。
Twitterのオーガニック運用でインプレッションを伸ばすには
他のSNSでは広告を活用してインプレッション(リーチ)を獲得することが主流となっていますが、Twitterではオーガニック運用の量と質を最適化することにより、インプレッションを伸ばすことが可能です。インプレッション数の増加策として、以下の施策を試みてはいかがでしょうか。
- 他のユーザーへのリプライ・引用ツイート・「いいね」などのエンゲージアクション。
- トレンドハッシュタグを活用したツイートの発信。
- ツイート頻度の確保(1日15ツイート程度は問題ありません)。
- エゴサーチ(自社名や商品名を検索)によって抽出したツイートへのエンゲージ。
他のSNS同様、Instagramで発信された情報についても、一次的にはそのアカウントのフォロワーに情報がリーチします。ただしInstagramの場合は、Facebookで言うところのシェアやTwitterでのリツイートなどに類した機能はなく、情報そのものが拡散されてフォロワー以外のユーザーに届くことはありません。発信した情報を多くのユーザーに届けるためには、添付テキスト内に記載するハッシュタグの精査・投稿の影響度による検索結果への優先表示・他のメディアや広告での露出等の対策が必要です。
- Instagramでのリーチ数チェックはスマートフォンからの操作が必要です。スマートフォンでインサイト画面を開くと、アカウント全体でのリーチ数が表示されます。
- コンテンツタブを選択すると、投稿ごとのリーチ数が表示されます。
Instagram広告によるリーチ獲得
Instagramの広告配信は、連携したFacebookページ広告の管理画面を利用します。ターゲットの設定等もFacebookと同様に、興味関心・男女・年代・居住地などの設定が可能です。
ということで、主要なSNSのリーチについてご紹介いたしました。
SNSはただ増減を確認するだけでなく、その根拠に当たりをつけて次に活かすことがやりやすいメディアです。広告を使うことを躊躇する企業は少なくありませんが、そんな企業が多いからこそチャンスであるとも言えます。ぜひ広告を併用しながらのSNS運用を試してみてください。