Google マップの落とし穴!あなたが関わったウェブサイトは大丈夫?

はじめまして。上級ウェブ解析士の中村純子です。企画広告の制作と個展のプロデュースのほか、中小規模のウェブサイトの企画立案やリニューアルのサポートをしております。

今回はウェブサイト制作の初心者から中級者の方や経験数が少ないウェブ解析士のために、今後体験するかもしれない Google マップのトラブルについてお話しします。

目次

Google マップは便利だけど完璧なサービスではない

Google マップはあらゆる立場の人にとって非常に便利で使いやすいものです。地図を検索するユーザーであれば、自宅から目的地までの距離や道順を知ることができますし、ウェブサイトの運営者であれば、わざわざ地図を起こす必要もなく、埋め込みコードを取得し貼り付けるだけで地図をサイトに埋め込むことができます。

Google マップはとても便利で魅力的なツールですし、一見すると完璧なサービスにも見えます。ですが、ここ1、2年関わった案件で起こったウェブサイトのトラブルを通して、Google マップが完璧なものではないことに気づかされることがありましたので、トラブルに遭遇しても対処できるよう、事例をご紹介します。

ケース1:住所移転で起こった表示トラブル

これは Google マップに落ち度はありませんが、一般的にはよくあるケースなのでご紹介します。東京の同区内で別のビルに移転した、あるクライアントの事例です。

クライアントの公式ウェブサイトは住所の移転に伴い、画像として作画した新しい地図を貼り付け、アクセスページに新しい住所が表示されるようにしていました。

ところが、Google マップでは旧事務所の住所と地図が示されたままになっていたのです。そのため、Google マップを頼りに来館しようとした人が、旧事務所に足を運んでしまうことが起こりました。

関係者に話を聞くと、Google マップが変わっていないことに気づいたものの、何をどうすればいいのかわからなかったそうです。「社内にいる Gmail ユーザーに頼んで Google マップに変更して欲しいとメールで伝えてもらったけど、改善されなくて」という相談を受けたのは、トラブルに気づいて改善しようと試みてから半年も経った頃でした。

一般ユーザーからの情報修正依頼は反映されないことが多い

確かに Google マップには「情報の修正を提案」というメールフォームがありますが、一人の Gmail ユーザーが何回住所が違うと訴えても、Google マイビジネスのオーナーでない限り、対応には時間がかかります。

そのため、情報を修正する場合は Google マイビジネスで登録変更の手続きを行わなければなりません。今回のケースでは、「Google マイビジネスでの登録変更を行えば対応が早い」ことを説明した上で登録手続き手順をサポートし、約1日で地図、住所、外観写真も入れ替えることができました。

ユーザーは公式ウェブサイトの地図を確認するとは限りません。Google マップで完結する利用者も多いので、移転の際はウェブサイトと同時に Google マップの更新も忘れずにしておきましょう。

ケース2:情報の入力ミスで起こった表示トラブル

次は、全国に点在する施設一覧データベースに、Google マップを組み入れたウェブサイトの制作過程で起こったケースです。

国内の施設なのに住所が海外に

データベースの郵便番号と住所のカラムを Google マップに関連付けて、フレーム内に地図を表示させていたのですが、アメリカ・メイン州のとある町にピンが刺さっている施設が1件見つかりました。

ぱっと見は日本語で小学校や郵便局という表示があるため、見落としそうになりましたが、通りの名前がカタカナばかりで様子が変だということに気がつきました。

原因は郵便番号と住所の入力ミス

よくよく調べてみると、郵便番号と住所の入力ミスがあることが判明しました。この入力ミスが原因で Google マップが正しいマップを示すことができず、適当な地点を示していたわけです。

その後プログラマーに連絡し、別のカラムから地図コードを参照して埋め込む方法と、後から気づいた更新担当者が微調整できる仕組みに変更することで無事に解決することができました。「Google マップも人の子か?」と思うような出来事でした。

ケース3:新興住宅街に移転したお店が正しく表示されないトラブル

Google マップが正しく表示されなかったケースをもう1件ご紹介します。地図にはまだ最寄りの道路の名前すらない新興住宅地にお店を移転したクライアントのお話です。

私がヒアリングで訪れた頃は既に住宅街としてほぼ形はできていて、大型商業施設も近くにあり、バスも走っているベッドタウンです。お店のウェブサイトは、既に移転先の新しい住所を掲載していましたが、インラインフレームで表示されていた Google マップは、大雑把なエリア範囲で色を変えただけのものでした。

そこで、場所が住宅街の中でわかりにくいから、「地図をもっとわかりやすくしましょう」と提案したのです。そして「 Google マイビジネスに登録すれば、地図も表示できる」とお伝えして、登録作業をお手伝いすることになったのですが、予想以上に苦しめられることになります。

新しい住所を入力するも、マップピンが別の場所に刺さる

Google マイビジネスで住所を登録すれば変わるだろうと思い、入力するも住所表示が二重に打ち込まれたり、番地が逆順に入れ替わったりとおかしな状態になりました。強制的にマップピンを移動させて住所を認識させようと試みたものの、嫌がってよその家のところに刺さってしまいました。

そうなってしまった理由は、Google マップ側ではまだそこは空き地で住所のない場所と認識していたからです。そのお店の通り道はストリートビューの画像がありましたが、画像を見てみると更地の写真のままでした。建物は6ヶ月前から建っているというのに。手は尽くしましたが、認識されるまで待つしかありませんでした。

最終的に、時間が経てば解決することをクライアントに説明し、今の外観写真と新しく描き起こした地図を Google ストリートビューに掲載し、Google マップの誤差を補うことにしました。それから1年経過し、今では Google マップも正しい位置を示しています。

ケース4:閲覧ユーザーの地域が違うと地図が変わる現象

Google マイビジネスも既に活用しており、 Google アナリティクスの数字も気にしておられるほど熱心なクライアントのケースです。東京都内に2店舗を持つクライアントから、ホームページのリニューアルを検討するために既存ページのチェックを行って、改善点を教えて欲しいとの依頼がありました。

店舗名が似ている、他県の店舗が表示される現象

依頼のあったウェブサイトのページに貼り付けられた Google マップの地図を眺めていると、ある異変に気づきました。お店は東京しかないはずなのに、他県のとある店の地図を示していたからです。

店舗名は確かに似ていますし業務内容もまったく同じですが、他県の店舗が表示されていました。しかし、クライアントに確認すると返ってきたのは、「都内以外に支店はないし、今ホームページに入っている Google マップもまったく問題ない」という意外な回答だったのです。

閲覧ユーザーの地域から、共通点の多いお店が表示されていた

ウェブサイトのページを離れ、Google 検索から「店舗名」を検索し、確認してみると、検索結果ではクライアントの東京店のURLがトップに表示されていました。ですが、画面右側に表示されている Google マップは微妙に名前の似た他県の店舗のものでした。

つまり、 Google 検索は私の住む関西から最も近くにある、業種、店名に共通点の多い名前のお店の地図を引っ張ってきていたのです。気を利かせたつもりでしょうが、やりすぎですよ Google(笑)

そこで「地域+店舗名」の複合キーワードで検索すると、ようやく上位に東京の店舗のURLと Google マップが揃いました。お店のウェブサイトのページに埋め込まれた Google マップの画面のスクリーンショットをクライアントにメールで送ると、今回の現象をご理解いただけました。

Web技術担当者にコードの修正をしてもらい、ウェブサイトページに埋め込まれた Google マップは正確な地図に切り替えることができました。

まとめ

Google マップに関わる人や環境の要因から生じたトラブルをご紹介してきました。ずっとウェブに携わっておられる方なら、もっとユニークで複雑なケースも体験していらっしゃるかもしれません。

今回ご紹介したトラブルのように、このような事態に気づかないまま制作や運用していると、サイトの信頼と価値の低下を招き、クライアントの利益を損ねることになりかねません。

流入が少ない、離脱が多いと感じるページをパーツごとによく見てみると、 Google マップに限らず、便利であるはずの機能が足を引っ張っていることも考えられます。

私は分析する際、ウェブサイトを見て気づいた箇所があればスクリーンショットを撮り、クライアントや技術者、制作者に共有し、早期に解決できるよう心がけていますが、場数はまだまだこなしておりません。

これから活躍されるウェブ解析士の方には、分析の視野を広げるきっかけになればと思い、 Google マップにまつわる出来事を書かせていただきました。この拙稿がウェブサイトを見直す時の参考になれば幸いです。

補足

なお、このトラブルは2016年11月から2018年4月までに起こったものばかりです。2018年7月16日より Google マップの機能が一部有料になったことで生じたトラブルではございません。

有料に切り替えか、それとも無料のままで利用が可能かどうかを確認したい場合は、Google Maps Platform API Checkerを Google Chrome に追加して、ウェブサイトの Google マップ表示のあるページをチェックしてみてください。

デジタルマーケティングを基礎から総合的に学ぶには

Google アナリティクスをはじめとしたGoogle系のツールは、その使い方を知ることも大切ですが、使うための戦略や設計が必要です。それは、ビジネスに成果をもたらすために必須の考え方です。

ウェブ解析士協会では、このようなデジタルマーケティングの基盤となる「ウェブ解析」を体系的に学べる環境と、知識・技術・技能に一定の評価基準を設け、あらゆるデータから事業の成果に貢献する人材を育成しています。

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この記事を書いた人

個人事業主。紙媒体の広告制作の他、既存ウェブサイトの改善提案、制作会社への要件依頼書の作成代行、コンペ代行、折衝、制作進行管理も担う。
個人商店から中小企業を中心にアクセス解析を利用し、予算と規模に適したサイト作りを提案。クライアントにわかりやすく伝えることを心がけている。

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