口だけでなく、書き込みも災いの元

こんにちは。ウェブ解析士マスターの関原雅人です。

4月もはじまり、皆様のところは新入社員が配属されてきましたでしょうか?
私が初々しいと感じるのは、営業電話ですね。
新人さんが緊張して、電話マニュアルの棒読みで、なかなか慣れず、必死なんだろうなぁというのがよく伝わります。

目次

秘密保持契約[守秘義務契約、CA(Confidential Agreement)NDA(Non-Disclosure Agreement)]について

配属されてきた新人さんたちが、慣れないながらも熱心に仕事をしているのではないでしょうか。
はじめての仕事で、成功したり、失敗したり、試行錯誤をしていることでしょう。

ここで気をつけてあげたいのが、彼らの仕事の成功と好奇心。

もう嬉しくて、同僚や学生時代の友人に、
「俺、今、○○メーカーのこんなデザインはじめたよ。」
「○○っていうまだ発売されていない商品のプロモーションの仕事で、ウェ
ブ施策とどう連動させようかいろいろ調べてるの、A君そんなの詳しかったよね、いい情報ない?」
「わたしの入った会社って、○○ブランドの製品も下請けで縫製してたって初めて知った!」
なんて、業務内容や社内で見聞きしたことを好き勝手に外部の人に話してくれそうです。取引停止になるような恐ろしい話です。

この週末、学生のノリのまま、一週間お疲れ会と称して「ここだけの話」で公言。SNSへの書き込みで、友達に見栄を張り拡散。
そんなことが現実にも起こる予感もなきにしもあらず・・・です。

従業員の方はたいてい秘密保持契約といったものを、雇用先の企業と契約を交わし、職務上知り得た情報を公言しないとしております。
これは業務中のみ意識しており、社外では無防備になっている場合が多くないでしょうか。例えば、

○喫茶店や居酒屋で社内業務の話をしていませんか?
 となりの席はあなたの会社の別部署の上役かもしれません。

○電車内でPCやタブレットで、会社の資料を作成していませんか?
 横に座っている方はあなたの会社の競合企業の社員かもしれません。

○携帯電話で企業名を名指しで話していませんか?
 取引先の関係者がたまたま聞いているかもしれません。

社内にいるときは、企業情報がもれるリスクは少ないですが、社内だからこそ、通常の会話の中で触れていることが多いので、機密情報と気づけない場合があります。社外にでると利害関係者はあなたが知らないだけで、思いがけないところにいるのです。

安易な行動や言動で、雇用先の企業に損害を与えた場合は、損倍賠償請求を受けるということもあります。契約書の書面に損害賠償の項目もありましたよね。

また、不正競争防止法での営業秘密に該当する3つの要件、
(1)秘密として管理されていること(秘密管理性)
(2)事業活動に有用な情報であること(有用性)
(3)公然と知られていないこと(非公知性)
を充たすものは、同法の営業秘密として保護されています。

不正競争防止法違反(営業秘密開示)で、個人では10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金(又はこれを併科)という犯罪になります。

今週末に必要なことは、新入社員の部下に対して
「業務の情報を公言しない」という念押しかもしれません。

また、上司も新入社員に苦労話や功績の話の中で、秘密保持契約に抵触するようなことは避けないといけません。

「私の先輩ってすごい!あの有名な○○の開発をされていたなんて!」という、企業に勤める人材の能力情報を、ポロッとSNSに書き込んでくれます・・・

SNS教育や、コンプライアンス教育がされていても、心の動きでポロッとでてしまうのは、注意していきたいところです。

営業秘密については、経済産業省「営業秘密 〜営業秘密を守り活用する〜」もご参考に。
http://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/trade-secret.html

SNSの不祥事について

数年来の不祥事については、以下の傾向が多く、メディアで目に触れない日はありません。ここ数日は関西のアトラクション施設で学生の不適切行動ですね。

○従業員が特定のお客様の来店について発信
○従業員が業務情報について発信
○被災者の心情に差し障る不適切な発言を発信
○専門性高い業界の利害関係者が不適切な発言を発信

多くは「情報漏洩」と「不適切発言」に傾向が分かれます。発言だけでなく、写真での画像情報の発信も含まれます。

「芸能人の○○と○○が来ている」「食べきれないぐらい具材を器に盛ってみた」
など、従業員のちょっとした興奮、遊び感覚を、友人と会話するような感覚でSNSにポロッと書き込んでしまう。

そういったところから拡散していきます。

それを目にした関係者やネットユーザーからの反発を受け、従業員が所属する企業の信頼を損ねることもあります。一度「炎上」してしまうと、企業名を検索サイトに入力しただけで、その不祥事が検索結果に表示されてしまうことになります。ブラックな情報はなかなか消えないものです。

発言した個人に対しては、情報をプロファイルされ、個人情報が暴露されるということまで起きています。

SNS利用者のリテラシーを上げていくことの大切さを感じます。

企業側はSNSの不祥事の予防に取り組み、「ソーシャルメディアの利用について」という行動指針をあげている企業も増えて来ました。

私は写真が好きですので、今回キヤノン様を取り上げますが、
「キヤノンマーケティングジャパングループ各社の社員ならびに協力社員に向けて作成」という行動指針がございます。

○キヤノン(ソーシャルメディアの利用に関する行動指針)
http://cweb.canon.jp/csr/management/socialmedia/guideline.html

指針には社員教育に取り組む姿勢が感じられ、とても好印象です。
こういったページも、エンドユーザーが見つけて読むと好印象を持つのでしょう。

次に日本コカ・コーラ様
○コカ・コーラシステム(ソーシャルメディアの利用に関する行動指針)
www.cocacola.co.jp/info/social_guide02.html

2010年8月作成で早期段階から取り組みが行われております。
「ローカルでの投稿が、世界的影響を及ぼし得ることを忘れない。」「インターネットの恒久性を認識する。」という的確なメッセージを伝えています。

皆様の企業でも、SNSの利用を含めた教育・研修、社内規定を見直す必要性を感じ始めているのではないでしょうか。

新入社員もしばらくすると会社に慣れてきます。
慣れた頃には、社内で仕事ぶりを自分撮り「カシャ!」、同期が集まって「カシャ!」その写真の背景には、見せては行けない社外秘書類・・・

SNSにアップされた写真をモニタサイズでみると、しっかり見えていることもありますので、発言だけでなく、写真にも配慮が大切です。

問題が起こる前に、企業内でしっかり教育できる仕組みを作っていきましょう。

デジタルマーケティングを基礎から総合的に学ぶには

Google アナリティクスをはじめとしたGoogle系のツールは、その使い方を知ることも大切ですが、使うための戦略や設計が必要です。それは、ビジネスに成果をもたらすために必須の考え方です。

ウェブ解析士協会では、このようなデジタルマーケティングの基盤となる「ウェブ解析」を体系的に学べる環境と、知識・技術・技能に一定の評価基準を設け、あらゆるデータから事業の成果に貢献する人材を育成しています。

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この記事を書いた人

フードドラマ研究所所長。神戸芸術工科大学芸術工学部卒業後、広告代理店、食品メーカーにて販促計画策定、グラフィック、ウェブ、パッケージデザインの制作・ディレクション業務に携わる。フードコーディネーターとして食シーンを想起させる商品開発、マーケティング、販促提案、撮影指導を得意とし、主に食品関連事業者の経営相談、コンサルティングを行う。日本フードコーディネーター協会理事。ITコーディネーター、ISO22000(食品安全)・ISO9001(品質)審査員補、JGAP審査員補。愛媛県知財総合支援窓口 知財専門家。愛媛6次産業化プランナー。

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