こんにちは、ウェブ解析士マスターの八木です。
先日「初級SNSマネージャー養成講座」を受講して、無事初級SNSマネージャーに認定されました。
2020年6月に誕生したこの資格。
- 一体どのような資格なの?
- 実際の講座内容はどのようなものなの?
- ウェブ解析士の講座でもSNSについて学ぶけれどどこが違うの?
などウェブ解析士の方の中でも気になる方は多いと思います(私もその一人でした)。また、「私はSNSを普段やらないからあまり関係ないかな」と思っている方、そんなことはありません。SNSマネージャーの必要性やウェブ解析士とは違う点を中心にお伝えします。
そもそもSNSマネージャーとは
公式サイトには以下のように記載されています。
企業でSNSを運用することそのものは、目的ではありません。何らかの成果を期待して目標を設定し、運用を開始し、目標に対する進捗を確認し、必要に応じて軌道修正しながら日々運用するものです。
本講座は、企業のSNSを運用から危機管理まで包括的にマネジメントし、組織に成果をあげる能力を持つ人材の育成を目的として創設しました。講座概要 | SNSマネージャー養成講座 より
つまりSNSマネージャーとは、ただ単にSNSを使えるだけでなく、「企業の顔としてSNSを運用し、社会的なデジタル活動においてビジネスに成果をもたらすことのできる人材」と言えるでしょう。
そして、SNSマネージャー養成講座には3つのグレードがあります。
- 初級SNSマネージャー養成講座
SNSの操作や各SNSの特徴、リスク対策など基礎知識を学ぶ講座。この初級講座を受けないと、上級以上を受けることができません。 - 上級SNSマネージャー養成講座
座学だけではなく実際に手を動かして、SNSの管理者としてやるべきことを体得するための講座。講座内で実際に使える資料を作成するので、企業のSNS担当だけでなく、クライアントのSNS運用をサポートしている方にも。 - チーフSNSマネージャー
「初級SNSマネージャー養成講座」「上級SNSマネージャー養成講座」を合格したのち、講師として講座を開催できる資格。SNSマネージャー養成講座の運営側になるものです。
なお、もともとはウェブ解析士協会活動の一環だったSMM研究会から派生したものなので、ウェブ解析士のシステムにかなり似ています。
受講したきっかけ
私自身、ウェブ解析士マスターとしてウェブマーケティングの仕事をしていることもあり、「ウェブに詳しい人」として社内からSNSについて相談されることがあります。
ただ、SNSは進化が早いので、普段使っていなかったりキャッチアップできていないサービスについてはわからないことも多いです。また、テレビで話題にもなるSNSの炎上対策について相談されることもあります。
従業員の何気ないプライベート投稿から会社が窮地に追いやられることは、テレビニュースでも多く取り上げられています。今や一人ひとりがスマートフォンを持ち、誰でも簡単に情報発信ができるようになりました。企業の顔としてのSNS運用はもちろん、従業員個人が発信するSNSのガイドラインについても適切に啓蒙できるマネージャーとしての役割は必要不可欠なものになるでしょう。
今回の受講には、そのような経緯がありました。
目標設定を重視した養成講座
今回の講師は小杉さん。ウェブ解析士マスターでウェブ解析士協会の活動の中でも広報を担うトリプルメディア委員会のリーダーを務められています。講座ではウェブ解析士協会のSNSアカウントの運用ノウハウや事例など、裏話も含めて豊富な知識をわかりやすく説明していただきました。
また、講座を始める前の自己紹介が特徴的でした。通常の自己紹介というと、名前以外に会社の紹介や、自分の事業のことを紹介することが一般的だと思います。今回は「受講後にやりたいことやSNS運用に対する現在の点数を考えましょう。それを90点にするには何が必要?」と、受講のゴールを宣言するような自己紹介でした。
これは後から気づいたのですが、最初に自分の課題や目標を設定すると、自然と試験合格を目的として受講していないんですよね。私は自己紹介時に「会社やクライアントのSNSを消極的な使い方ではなく、積極的に使える運用をしていきたい、そのための知識やノウハウを身につけたい」を受講後のやりたいこととして宣言したので、どのようにSNSを活用することができるかを考えながら受講していました。
もしこの変わった自己紹介をしていなければ、SNSマネージャー認定試験合格だけを目的として受講していたかもしれません。合格させることを目的とするのではなく、「SNSの基本知識を持ち、運用できること」を目的とした講座だったんたんだなぁと改めて感動した次第です。
講座は試験対策も見越した演習中心、休憩時にはツイートタイム
講座も試験もすべてオンラインで完結しました。講座は、演習問題に回答していきながら理解を深めていく、ウェブ解析士の認定講座と同様の形式です。試験は60分50問の4択問題。合格率はとても高いとのことでしたが、合格ラインは非公開で公式問題集もありません。
しかし、講座で説明される設問数は40問以上!受験の不安を吹き飛ばす量の演習があったおかげで、各章ごとの自分の理解度が鮮明になり、あまり覚えていない、苦手な章は復習もしやすかったです。間違えた時はきちんと解説していただけるので、その場で理解が深まります。
講座中に小杉さんが話していた「いま間違えたことを今日きちんと覚えれば、明日から間違えなくなる」は本当にその通りですし、この講座のみならず様々なところでも活かせる言葉だと思いました。
また、回答が絞れない時のために「まずは選択肢の間違っているところを指摘して理由とともに消去法で答えましょう」と教えていただきました。例えば、4択の回答で悩んだ時に「AとDで悩んでいます」と伝えると「じゃあ、BとCはどこが違うと判断しましたか?」と対話形式で回答を絞っていきます。
これによって改めて冷静な判断ができ、見落としに気づけることを実感できると、「迷った時はこのように解けば良いんだ」とわかります。受講生に「SNSの基本知識を持ち、運用できることを目的」としながらもきちんと試験対策もしていただきました。
講座中には何回か休憩を兼ね、「#SNSマネージャー」をつけてツイートするお題がありました。初級は座学中心の講座ですが、インプットタイムとアウトプットタイムをきちんと設けているのはSNS講座ならではですし、ツイートすることで理解も深まります。
4時間にわたる長丁場の講座ですが、休憩時間にツイートしていればある意味「休みなしの濃密な4時間」だと思います。また、このハッシュタグツイートを拾っていくことで、その日学んだ備忘録が実際にできあがります。休憩時間も雑談に付き合っていただき、あっという間に終わる楽しい4時間でした。
SNSにおける炎上の正体
企業の担当者、管理者が一番気になるのはおそらく、SNSの炎上ではないでしょうか。同じような事件があったときに、ネットニュースで終わるものがあれば、毎日のように繰り返し報道されるものもあります。誰もが炎上したらすぐに鎮火して欲しいと願ってやまないはずなのに、なぜすぐ鎮火できるものと炎上するものがあるのでしょうか。それらを炎上のメカニズムから解説していただけました。
SNSで何らかのトラブルにあったという回答のうち、一番多い項目が「自分の発言が自分の意図とは異なる意味で他人に受け取られてしまった(誤解)」です。
つまり、相手に誤解を与えないよう気をつければ炎上は起きないどころか、きちんと対応をする企業として賞賛される場合もあるわけです。炎上につながりそうな火種がうまれたときに、その内容の詳細よりもその後の対応で明暗をわけた事例をふまえながら説明をしていただきました。
一度炎上してしまうと、鎮火するまでに何日もかかります。企業がSNSアカウントを持って運用できていれば、初動が遅れることもなかったでしょう。炎上をきっかけに大損害を被った例もあります。良くも悪くも、たった1つの投稿が起こす影響度は私たちが意識している以上に大きいからこそ、適切な運用が求められるのです。
SNSマネージャーとウェブ解析士の違い
ウェブ解析士認定試験公式テキストによると、ウェブ解析は “ウェブサイトやスマートフォンアプリを軸として、定量的または定性的なあらゆるデータをもとにユーザーを理解し、その満足度を高める改善を促していくことで事業の成果に貢献する技術” とされています。アクセス解析を中心としながらも、範囲はウェブマーケティング、ビジネス解析と幅広いのが特徴です。そのため、多くの方が「ウェブ解析士×〇〇(自分の得意分野)」でウェブ解析士で学んだことを活かしながら、本業の専門職で活躍されていると思います。
一方SNSマネージャーは冒頭でも記載の通り、日本の企業担当者がSNSの基本知識を持ち、運用できることを目的として創設されています。運用する上で各SNSの特徴や基礎知識はもちろんのこと、管理者としての戦略構築、運用体制の確保、内製外注の振り分け、効果検証、運用レポート、炎上防止対策、ソーシャルメディアポリシーと、SNSにまつわる一連の流れをすべて学んでいきます。
そのため、ビジネスモデルやコンバージョンまでの全体像など、ウェブ解析士として学んだ内容が求められる場面もありました。SNSをマネジメントできる人材を育てるという点で、ウェブ解析士よりも専門性を求められるところが大きな違いではないでしょうか。
SNSの魅力は「人と人とのつながり」
講座の終わりに小杉さんは、「SNSは人と人とのつながりによりコンテンツが生まれて共有されるメディア」だと伝えてくれました。だからこそ、SNSの魅力は「人と人とのつながり」にあるのだと。その1つの事例として、こんなエピソードがあります。
今回のこの講座のテキストが誕生する少し前に、小杉さんと同様にチーフSNSマネージャーである井水大輔さんが、TwitterでSNSマネージャー認定試験の公式テキストの校正をお手伝いしてくれる方を募集しました。
井水さんもウェブ解析士協会活動に関わっていらっしゃいますが、セミナー講師としても著者としても有名なので顔が広く、Twitterでも校正に協力してくれる方からの返信が相次いでいたのですが、その中には、井水さんとはまだ面識のない方からも「初めまして、校正に協力します」と返信がありました。
このような依頼に初対面の方が気軽に協力することは、SNS以前だったら想像もつかなかったことです。SNSが誕生してからは「力を貸すよ」「協力するよ」という声が簡単に生まれるようにもなりました。これは井水さんや応募してくれた方の人柄でもありますが、このような機会を簡単に作れるメディアでもあるのがSNSの魅力であるともいえます。だからこそ、企業SNSで情報発信するときには一方的な内容ではなく、顧客と向き合うことが成功への鍵であり、それは「商売の道理」に立ち返ることだと締めくくられました。
さいごに
講座の終わりに、「(受講して)何点になった?」と聞かれたときに、自分のSNSの理解がまだまだ浅かったこと、SNSの奥深さを知れたことでまだまだ学ぶことは沢山あるなと反省し、「今まで40点だと思っていたものが20点になりました」と答えました。
企業のSNSはプライベートのSNSと異なり「課題解決のためにSNSを利用すること」と主眼として置いています。それはフォロワーを増やすだけではなく、その先に何があるかまで考える必要があります。また、今回の講座で学んだことを頭の中で理解しても、実践しないと意味がありません。その実践のためにも、次は上級SNSマネージャーにチャレンジしてみようと思う次第です。
身近にあるSNSだからこそ、共感できることやイメージしやすいものが沢山あります。これを読んでSNSマネージャーに少しでも興味を持っていただければ幸いです。私もまだ初級SNSマネージャーですから、一緒に学んでいきましょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。