はじめまして。ウェブ解析士のクーヴェと申します。某求人検索エンジンのお客様サポート担当として勤務しております。
採用活動という言葉からは「広報」というイメージがつきにくいですが、これからの採用活動において「広報活動」は必要不可欠です。
果たして、求人広告、人材紹介会社に頼りきりの採用活動を継続していて良い採用ができるでしょうか?
もちろん答えはNOです。
採用単価を抑えながらも良い人材を獲得するためには、企業が主体的に採用広報に取り組み自社の魅力をアピールしていく必要があります。
今回は、効果的に自社を広報するためにやっておくべき基本事項をまとめましたので、ぜひこの時期に活用してください。
2021年1月〜3月に採用広報をやるべき理由
1〜3月のこの時期は、12月に賞与をもらい、新年から転職活動に臨みたいという動機で動く求職者が増えます。
一方で、採用する企業側も12月に締めを迎え、新年度からの採用計画や予算が固まったタイミングとなっていることが多く、4月入社の中途採用を見据えて採用広報に力を入れ始める企業数が増えるタイミングとなっています。
求職者数・求人件数ともに増加する1〜3月は企業の採用担当にとっては力の入れどころに当たる大事な時期と言えるでしょう。
できるだけ採用単価は抑え、長く活躍してくれる良い人材を採用したいというのが経営者・採用担当者の本音かと思います。
しかし、採用にあたって
- 「求人媒体を使って募集をかけているがなかなか人が集まらない」
- 「紹介会社を使っての採用は単価が高い」
とお悩みの担当者も多いのではないでしょうか。
ステップ1・求人活動は「広報」に取り組むことが鍵
インターネットやSNSの普及により求職者は多様な手段を使って企業の情報を入手しています。以前のように、リクナビやマイナビといった求人媒体で広告を打てば人が採用できる時代は終わりました。
採用活動においても、マーケティング活動と同じで、数ある商品(=求人)の中から、魅力を感じて購買につなげてもらう(=入社してもらう)ための「広報」に取り組むことが人材獲得のための鍵となっています。
採用に必要な自社ブランディングのために、何から手をつけていいか分からない場合、まずは「認知形成」から始めましょう。自社への入社を検討してもらうためには、自社について知ってもらうことが第一のステップです。社名すら知られていない状態では候補先の一社にもなり得ません。
求人広告の代わりに検討したい求人検索エンジン
求人検索エンジンは、企業の採用サイトや求人媒体各社のサイトに掲載されている求人情報を一気通貫で閲覧できる求人のプラットフォームです。Indeed、スタンバイ、求人ボックス、Google しごと検索(Google for Jobs)などがメジャーです。
それぞれの求人検索エンジンの特徴
Indeed | スタンバイ | 求人ボックス | Google しごと検索 | |
---|---|---|---|---|
ユーザー数 | 3,000万人/月 | 220万人/月 | 300万人/月 | 不明 |
掲載求人数 | 230万件 | 900万件 | 300万件 | 不明 |
費用感 | クリック課金型 (15円〜) | クリック課金型 (20円〜) | クリック課金型 (25円〜) | 無料 (有料プランなし) |
なかでもIndeedは月間訪問者数2,000万人を超える日本最大級の求人検索エンジンとなっているので、まずはIndeedの活用から初めてみるのがオススメです。
求人媒体に出稿した場合は、その媒体の会員にしかリーチできません。対して、求人検索エンジンへ直接求人情報を掲載することは、媒体の会員以外にも広くリーチできるメリットがあります。
会社の採用ページを持っている場合
自社で採用ページを持っている場合はまず、求人検索エンジンにクローリングされているか(採用サイトの情報が求人検索エンジンに把握されているか)を確認します。
もし求人検索エンジンを探しても自社の求人情報が掲載されていない場合(=クローリングされていない場合)、クローリング要件に合わせてサイトを修正します。なお、クローリング要件は求人検索エンジンにより異なるため、掲載を希望のエンジンに問い合わせることをおすすめします。
例) Indeed の場合
クローリング最低条件は下記の3点です。
- すべての求人に、職種名・勤務地(市区町村レベルでの記載)・仕事内容が記載されていること
- 応募方法が明確に記載されていること
- サイト上の全ての求人がリンクしている求人一覧ページが存在していること
そのうえで、給与が最低賃金以上であることや性別や年齢、国籍により雇用対象を制限していないことや、国が定める労働基準法に抵触している求人ではないか、求人内容の面からの規定を満たす必要があります。
会社で採用ページを持っていない場合
採用ページを持っていない場合は、各求人検索エンジンが用意している求人情報の投稿サービスを利用しましょう。
例) Indeed の場合
Indeed で求人を掲載したい場合は、企業ユーザーのトップページより、メールアドレスとパスワードを設定し、まずアカウントを登録します。アカウントを登録し、会社情報を入力するとそのまま求人投稿画面に進むので、画面の案内に沿って入力を進めます。
ステップ2・求人広報に取り組む上で意識したい「流入キーワード」
求人情報が掲載できたらそれで終わり!ではありません。
どんな人が応募してくるかを知るために、どんなキーワードで求人情報が検索されているかをGoogle サーチコンソールで確認してみましょう。
例えば、20~30代の若手を採用したいのに、流入しているキーワードが以下のような場合は、求人サイトのSEOを見直す必要があります。
- 「シニア」や「中高年」といったキーワードが入っている
- 主婦層を採用したいのに「主婦」や「女性」といったキーワードでの流入が見られない
流入しているキーワードを確認したら、今度は求人原稿の文章を「キーワード」という観点から見直してみましょう。ここでいうキーワードとは、求職者がよく検索すると想定されるキーワードのことです。
代表的なキーワード例:未経験OK、主婦歓迎、年齢不問、残業なし、リモートワーク など
キーワードのイメージが湧かない場合は、求人媒体の求人検索条件を確認してみましょう。
ステップ3・求人広報の質は「ターゲット」に向けたキーワード選定でブラッシュアップ!
キーワードは求人検索サイトにおいて、企業が求める人材に情報が届くようにするための要素のひとつです。このことは「求人検索サイトに対するSEO」といえますが、難しく考える必要はありません。
確認すべきポイントは、例えば以下のものが挙げられます。
- 「採用ターゲット」は明確か
→「未経験OK」や「主婦活躍中」など誰に向けた求人か分かるキーワードを入れる - 募集要項には待遇や福利厚生など細かく記載されているか
→「在宅勤務可」「週1からOK!」など働く人にとってのメリットが伝わるキーワードを入れる
つまり、ターゲットユーザーを決定し、彼らのニーズに応えるキーワードをブラッシュアップしていくことで、成果を得やすくなります。
自分が求人を探している立場で、求人内容を読んで応募したくなるかならないか、応募したくならないのであればどんなことが書いてあれば応募したくなるか考えてみましょう。
求人広報でよくある落とし穴
特に気を付けるべきポイントとして、採用ターゲットが不明確な求人は求職者とマッチングしにくくなります。以下の例のようにキーワードの対象を広げすぎないように気をつけましょう。
例:20代・30代・40代・50代歓迎! と記載してある求人
→どの年代をターゲットにしているか不明確のため不適切
現在、面接の時の印象で「なんとなく」採用を決めているという会社は、実は少なくありません。
社内で現在活躍している人はどんな特徴を持っているか、あるいは、今の会社に足りない人材はどんな人材なのか言語化することで、キーワードの選定や求人原稿への落とし込みが簡単になりますので試してみてください。
ランディングページ(求人検索エンジンから流入した求職者が最初にアクセスするページ)の構成の例
以下は求人ページに記載すべき項目例を図にしたものです。
いちばん大事なファーストビュー
求人ページの最初には画像イメージとアピールポイントを配置します。これが目に入ることでアイキャッチとなり、求人ページからの離脱を防ぎます。
アピールポイントは簡潔に
アピールポイントは3行程度で簡潔に書きましょう。多すぎても、何が魅力なのか伝わりづらい求人となってしまいます。同業他社にはない自社ならではの魅力や求職者にとって働きたいと思わせるメリットを書きます。
例えば、主婦層を採用ターゲットにしたいのであれば未経験や子育てのスキマ時間でもできる仕事であること、若年層を採用ターゲットにしたいのであれば研修が充実していて多様なキャリアパスが描ける環境があること等、ターゲットに合わせて何をアピールとして書くべきか推敲してみましょう。
募集要項は丁寧に
募集要項欄は「勤務時間 9:00〜17:30」のように勤務条件を簡潔に記載した上で、1日のモデルスケジュールも追記する、月の平均残業時間情報や時短勤務・フレックス勤務適用の場合等、求職者が実際に働くイメージを持てるよう、丁寧に詳細を書きましょう。
また、募集要項だけではアピールしきれない仕事や会社の魅力は、応募フォームの下に「先輩インタビューのページ」や「会社紹介」など別コンテンツとして作成しリンクさせておくと、採用サイト内を求職者に回遊されやすくなります。
求人ページのライティングが完了したら、改めて最後に選定した「キーワード」と「ターゲット」に合致した内容になっているか確認しましょう。この時、第三者(同僚や上司)に確認してもらうのもお勧めです。
採用広報活動のまとめ
社会も、テクノロジーも目まぐるしく変わり続けています。求人業界も同様に、要項を出して待っているだけの時代は終わりました。企業が求める人材を得るには、働く人へのマーケティングが必要不可欠です。
そして、採用の「広報活動」を行う上で、情報発信の内容(キーワードやターゲット)のチェックも重要ですが、情報発信をしたことでどのような効果があったか、検証することも重要です。
私はウェブ解析士の勉強をすることで、採用サイトのパフォーマンス解析やボトルネックとなっている指標の洗い出しが以前よりも得意になりました。一般的なウェブ解析とは異なりますが、数値を扱う汎用的なスキルは身についたと感じています。
従来型の求人媒体、紹介会社に頼りきりの採用から一歩踏み出して、2021年は自社主体の採用活動に踏み出す年にしてみるのはいかがでしょうか。