こんにちは。ウェブ解析士のクーヴェです。株式会社Xenomedia blendの代表を務める池辺政人さんの主催するFlashセミナーに参加しました。
ステイホーム期間が長引いている影響もあり、YouTubeチャンネルを開設する個人/企業数が2020年度春より急増しています。そんな状況下の中で開催されたこともあり、本講座の注目度は高く、当日の視聴者数は300人を超えていました!
そもそもYouTubeとは
今では1日1回以上、誰もがアクセスしない日はないYouTubeですが、ソーシャルメディアのトラフィックは世界2位のトップSNSプラットフォームとなっているそうです。
以下の指標はその規模の大きさを物語ります。
- 月間のアクティブユーザー数:20億人 (世界の総人口75億9469万人)
- 投稿動画の量:毎分500時間 (1時間で30,000時間=1,250日=3.4年)
日本からのYouTubeサイトへのトラフィック数は4.6%でアメリカ、インドに次いで第3位の数値だそうです。
TikTokやClubhouse等注目度の高いSNSがどんどん登場していますが、このYouTubeの規模を理解するだけでもその存在の大きさが無視できないものになっているということがよく伝わってきますね。
なぜ視聴者より先にYouTubeに好かれる必要があるのか
セミナーのタイトルにもなっている「視聴者より先にYouTubeに好かれろ!」。その理由がついに明かされました。
前述の通り、YouTubeには毎分500時間分の動画がアップロードされています。大量の動画の中で自分が作成した動画を視聴者に気に入ってもらうためには「まず見てもらう」必要があります。
YouTube上に大量に存在する動画の中から見てもらうためには閲覧者に動画の存在を気付いてもらわなければなりません。
YouTubeが他のSNSと大きく違う特徴となっているのは、検索サイトや他SNS、ブログなどYouTube外のメディアからの流入が見込めないプラットフォームであること=YouTubeの中でトラフィックが完結しているということです。
約80%の動画視聴者が見たい動画を検索するよりもオススメ動画(ブラウジング)や関連動画に表示された動画を見る傾向にあります。
▼オススメ動画(ブラウジング)とは
YouTube視聴者のトップページのこと。今までの動画の視聴履歴や登録チャンネルの傾向から、その人にあったおすすめの動画を表示されるページのこと。
▼関連動画とは
現在視聴している動画と関連性が高い動画のリストのこと。
つまり人気のチャンネルになれるかどうかは視聴者のブラウジングや関連動画に表示されることが鍵となっており、YouTubeのアルゴリズムに好ましい動画だと認識されると、これらの表示結果に自分の動画が載るようになります。結果、多くの人に視聴してもらえる可能性が高まります。
YouTubeに好まれるチャンネルを目指すための運用計画
登録者1,000人を目指せ!
視聴者よりもまずYouTubeに好かれる必要性が理解できたところで、YouTubeに好かれるためには何を目標としてアカウントを運用していけばいいか、目標設定の話に移りました。
視聴者のアカウントに表示される「ブラウジング」や「関連動画」に表示されやすくなるための条件として、チャンネル登録者が1,000人を超えることが必須条件となっています。
セミナーでは、視聴者の80%がYouTubeのプラットフォーム内でブラウジングされた動画や視聴している動画の関連動画のリスト内から動画を回遊してみているということが何度も強調されていました。
どんなに情熱を持って作った動画も、どんなに予算をかけて作った動画も、登録者1,000人もいないアカウントでは誰にもみてもらえないのです。
頭に叩き込んでおきましょう。
登録者1,000人を獲得するためには?
登録者数の重要性を理解したところで、話はどうやってゼロから登録者1,000人を獲得するかに進んでいきます。
気になるハウツーですが、一夜にして1,000人の登録者を獲得するなんて魔法はありません。100本ノックをやってみる!正に一朝一夕の積み重ねが大事になります。
動画の投稿を定期的かつ長期で継続しているチャンネルであるほどYouTubeからの評価が高まるので10日で100本アップロードするような短期ペースではなく、3日に1本のペースで地道に動画投稿数100本に到達するまで更新していきましょう。チャンネルを開設して1年間は正に下積みと言える期間になりそうですね。
総再生時間は1,000時間以上を目指そう!
動画投稿数の次に重視すべきポイントは、チャンネル全体の総再生時間を1,000時間以上超えることです。
たとえ動画本数が少なくても、登録者数が1,000人以下だったとしても、総再生時間が長い=良質なコンテンツを提供しているからこそ視聴者が継続して視聴している、とYouTubeは判断してくれます。
とはいえ再生時間を稼ぐ以前に、「まずは動画を見てもらう」ことが第一歩なので結果的に総再生時間が伸びれば成果ではありますが、動画投稿本数を増やす(100本投稿を目指す)ことが総再生時間1,000時間達成に繋がる道筋であると捉えておいて間違いないでしょう。
YouTubeに好まれる動画の作り方
視聴者ファーストを心がける
では、登録者数1,000人、総再生時間1,000時間以上を獲得できるチャンネルとはどんな動画を投稿しているのか?
多くの企業がTV CMで成功したものをそのままYouTubeで上げるという間違いを犯しがちですが、YouTubeはTVとは全く別物であると考え直す必要があります。
「自社の商品やサービスがどれだけ優れているか紹介する動画」ではなく「視聴者が求めている動画」を投稿しているチャンネルこそがYouTubeでは評価されるチャンネルとなっています。
どんな人に動画を視聴して欲しいか?その動画は視聴者の課題を解決するものになっているか?
自社のサービスが優れているポイントの紹介動画ではなく「それが誰かの課題の解決に変換できているかどうか」こそが動画制作における最大のポイントです。
ヒカキンやラファエルのような人気YouTuberの一見誰の課題解決にもなっていないようなエンターテイメント性の高い動画も、よく見てみると何気ない子供たちの疑問を解消している動画となっています。
完全コピーこそ王道!
どんな動画を作成すべきかなんとなくイメージが湧いてきたところで、まずはお手本になるチャンネルを探してみましょう。
なぜなら、登録者数の多いチャンネル・再生回数上位の人気動画こそ視聴者ニーズ/検索ニーズに答えられている動画であるからです。
お手本にしたいチャンネルの動画の構成、タイトル、サムネイル、長さ、更新ペース、声のトーン等マネできるものは全て取り入れるようにしましょう。
すると、その人気動画の「関連動画」として表示され、クリックを受ける確率が高まります。
当然、人気チャンネルを完コピすると「この動画、〇〇のまるパクリじゃん!」「◯◯チャンネルをパクってんじゃねーよ!」といったアンチコメントを書かれてしまう可能性があります。
しかし、アンチコメントを真に受ける必要はありません。むしろ、完コピだと気付いてくれるくらいにちゃんと動画をみてくれたことを感謝する気持ちで受け取りましょう。
YouTube的には、コメントの内容がポジティブであれネガティブであれ、視聴者からリアクションが多く起きている=たくさん見られている優良な動画である、との評価になります。
あまりにひどい誹謗中傷が投稿された場合のみ削除/ブロック対応をすれば良いでしょう。
動画投稿の重要点
サムネイル編
視聴者の多くはサムネイルを見て動画を視聴する傾向にあるため、どんな画像にするかは重要です。パッと見てなんの動画なのかわかるようなサムネイルにしましょう。(オシャレすぎてどんな内容か伝わらないものよりは、ダサくても内容が分かりやすいものである方が有効です。)
そのため、「背景画像はその動画のテーマになる写真を使う」「テキストは大きく目立つ色にする」「文字数は13文字以内にする」等のテクニックを意識します。
タイトル編
タイトルはYouTube内で検索される際にヒットしやすくなることを意識して付けることがポイントです。想定視聴者がどんなキーワードで検索するかを想像し、できるだけ端的にまとめましょう。
タイトルは冒頭の1行目くらいしか読まれないため、キーワードはなるべく先頭に入れたほうが良いでしょう。
実際に動画に設定したキーワードを検索窓に打ち込んでみて、どんなサジェストが出てくるか確認してみるのも参考になります。
まとめ・所感
普段人材広告業界に身を置いている私にとって、YouTubeは門外漢の分野でしたが、最近は採用チャンネルを開設する企業様も増えてきており、知らないでは済まされない状況になってきていました。
実際、求人の募集要項を見るよりも動画の方が実際に働いている人の様子や社風がダイレクトに伝わるためYouTubeと採用広報の相性は高いと思います。
セミナーの最後のQ&Aでも「どんな業種がYouTubeに向いていますか?」という質問が出ていましたが、池辺さんは「全ての業種にとってYouTubeは活用すべきツールである」と仰っていました。YouTube、TikTok等あらゆるSNSを全て運用してみてから自社に合ったツールを取捨選択することがオススメだそうです。
最近では「PDCAという考え方はもう古い」「時代の変化のスピードが上がっている現代では走りながら改善していくべきだ」という意見も耳にしますが、正にYouTubeを使ったマーケティングもトライアンドエラーを繰り返しながら運用していくのが良いのではないでしょうか。
また、YouTubeに好かれるチャンネルの特徴を聞くと、結局は「視聴者にとって好ましいチャンネルである」ということが、セミナー内で一貫して発信されていたメッセージだったと思います。
企業チャンネルの場合、個人チャンネルよりもコンテンツの内容に自由を効かせづらい傾向にありますが、企業側が発信したい情報やアピールしたいコンテンツを一方的に配信せずに視聴者を第一視点に置くことを忘れないようにしましょう。
仕事としてやらされ感があるような動画には視聴者も集まりません。
作る側として、動画制作自体を楽しむスタンスもチャンネルの運用を継続する上で忘れないようにしたいものです。
セミナー参加前は敷居が高い印象のYouTubeでしたが、実際はGoogleのSEOと相関しているポイントも多く、結局は視聴者にとって有益な情報を提供し続けること(GoogleのSEOであれば検索者にとって有益な情報を提供していることが重要)がチャンネルの成長に繋がるということが改めてよく分かったセミナーでした。