BtoB企業向けなウェブ解析やSEOなどのセミナーを一気に読んでみた

BtoB企業向けなウェブ解析やSEOなどのセミナーを一気に読んでみた

はい、ごめんください。ウェブ解析士マスターのコスギです。
今日は自社サイトをコストで終わらせないために〜ウェブ解析士の事例発表集(37)がスゴイ!というブックレビューをお届けします。

このシリーズはウェブ解析士による勉強会「自社サイトをコストで終わらせないために」での発表を編集したもので、今回は2020年12月12日にオンラインで開催されたBtoB企業向けの内容です。

BtoB企業が特に知りたいテーマについて、3名のウェブ解析士マスターが語るという変わった切り口ですが、複眼的に示唆が得られる書籍となっています。

以下に、テーマが決まった背景と各講師の内容を一部転載してお送りします。
※転載に関しては、著者の許諾をいただいています。

目次

4つのテーマが決まった背景

社団法人日本BtoB広告協会さまのご協力のもと、BtoB企業が今気になっていること「SEO」「広告」「SNS」「KPI」「ツール」「運用全般」の6つのジャンル、そして任意項目として質問を募ったところ、さまざまな回答が寄せられたようです。

実際に寄せられた質問の一部

  • SEOの効果について、実際どんな効果があるのか、広告主の業種の違いで手法に違いがあるのか
  • DtoCの効果的な広告方法
  • SNSの運用体制、BtoBのBが元気がない今、メーカーとしては直接消費者にアプローチする必要が出ています。ネット販売だけではなく、BまたはCで買ってもらえるように末端の人のファンを増やすには?自社で難しいのでコアなファンに自社をPRしてほしいけど、どうしたらいいのか?
  • SNSでは、社内リソースを最小限にして、共感を得、かつ、炎上しない運用のコツを知りたい
  • 訪問者数が少ないなど、規模が小さいサイトにおける、改善の着眼点
  • なぜ自社の製品・サービスを選んでくれたか仮説を立てるために、どのようなデータを取得すると良いか
  • 解析を仕事にしていて儲かりますか?

これらのうち、もっとも多かったテーマを4つに絞り、ウェブ解析士マスターが3つ選んで解説してもらう形式になっています。

下記の内容は書籍の一部ですので、続きが気になった方は、ぜひ購入して読んでみてくださいね。

テーマ:ウェブ解析 / SEO / SNS(神谷 英男 氏)

神谷さんのテーマは、以下。

  • 2.1 ウェブ解析について
  • 2.2 解析の種類とツールの紹介
  • 2.3 SEOの事例
  • 2.4 SEOのメリットとデメリット
  • 2.5 SNSについて
  • 2.6 SNSの2つの手法

SEOの事例は良かった点も残念だった点も書かれていて非常にオモシロイのですが、今回は「2.1 ウェブ解析について」の最初の一部をご紹介します。

「Google アナリティクスを入れたはいいけど……」という状況なら特に、今すぐできるレベルの行動が示されているので、ぜひ読みながらひとつずつやってみてください。「知る」が「わかる」になるには「やってみる」が大事ですから。この記事を読みながら、別のタブを開いて、自社サイトにアクセスしてからご覧ください。

(一部転載)2.1 ウェブ解析について

仮説を立てる

まず、Google アナリティクスなどでウェブサイトのアクセスデータを見る前に、実際にPCとスマートフォンの両方でウェブサイトを閲覧して、色々なページを閲覧してください。

その中で、どういうユーザーがこのウェブサイトを閲覧しているのか、例えば男性と女性だとどちらのアクセスが多いか、何歳代のアクセスが多いのか、PCとスマホのどちらがよく見られているか、地域性が強い店舗型サービスの場合はエリアなども含めて、予測を立てます。細かい数字や割合まで考える必要はありませんので、「一番多いのは何か?」というレベルで結構です。

また、ウェブサイト内で読みづらい文章や、クリックできると思えるのにクリックできない場所がある、視認性が著しく悪い、など自分なりにユーザーの目線に立って不満になるような場所や気になる場所を洗い出して見てください。

データを閲覧する前にこのような工程を踏むのには理由があります。最初からデータを見てしまうと、データに引っ張られてしまい、そのデータの内容に何となく納得してしまします。

例えば、一見すると男性向けのサイトに見えるサイトでも、データを見ると女性の方がアクセス多い、などのようなケースも実際には存在します。実際に仮説とデータが一致していた場合は、「仮説が当たった」と喜んでください。

ただ、本当に喜ぶべきは仮説とデータに乖離が生じた時です。「仮説と外れてしまった…」と落ち込むのではなく、「なぜ、仮説と違ったのだろう」という疑問は、ただデータを見るだけでは絶対に得られない貴重な「気づき」です。

この気づきがあれば、無機質なデータというものに色を与えることができます。この色が、該当するデータやそれに付随するデータをより深く読み解くための貴重な手がかりとなります。

ウェブサイトの集客は自己責任。ユーザーはどうやってあなたを見るけるのか?→ファインダビリティ

メディアの区分方法の一つとして、トリプルメディアという考え方があります。オウンドメディアは「自社が所有するメディア」として主に自社サイトを指し、アーンドメディアは「信頼を獲得するメディア」としてSNSを、ペイドメディアは「対価を支払うメディア」として広告を指します。

このトリプルメディアの中でも「オウンドメディア」に関しては、注意をしないとメディアとして機能しないという潜在的なリスクを抱えています。

例えば、テレビや新聞、雑誌に広告を掲載する場合、その広告を見てくれるユーザーの獲は、媒体側がある程度担保してくれています。そのため、これらの媒体に広告を掲出するということは、ある程度ユーザーに見られることが前提で話が進むケースがほとんどです。

しかし、ウェブサイトに関しては集客は自己責任となり、そのための施策を打っていかなければ、ウェブサイトを見てもらえない可能性が著しく高くなります。テレビの例で置き換えると、テレビを視聴してくれる人を自分で探さないといけない訳です。

私もこれまでに、多数の中小企業様のウェブサイトのご相談をいただきましたが、こと中小企業様に関しては、大半が集客に何らかの問題を抱えています。また当事者である中小企業様だけではなく、ウェブサイトの制作者の方の中にも集客に関する意識より、「どんなウェブサイトにするか?」に対して注力するケースが多く見受けられます。

そうして、集客のことを誰も考えることが無いまま、ウェブサイト制作の進行が進んでいく例を私はこれまでに数多く見てきました。ウェブサイトの完成度は高いものの誰もアクセスしてこない、アクセスがあったかと思えば社員の人のアクセスだった、というのは笑うに笑えない話です。

どのようなウェブサイトにするか、という視点が重要なことに間違いはありません。ただ、「ターゲットとしているユーザーがどうやってそのウェブサイトを見つけるのか?」という視点も同じくらい重要です。クチコミで少しだけアクセスが増えることはありますが、基本的に集客に関する施策が皆無の場合、放っておいてアクセスが順調に増えることはかなり稀なケースです。(実店舗等がすでに有名、などの外部要因はあります)

ユーザーにとってウェブサイトを見つけやすいかどうかの視点を「ファインダビリティ」と言います。直訳するとそのまま「見つけやすさ」となります。このファインダビリティをどれだけ高めていくかが集客における重要なポイントになります。

ウェブサイトでユーザーを呼び込むコンテンツを発信したり、自社アカウントによるSNSでの集客、リスティング広告やディスプレイ広告など、どの手段で適切なユーザーへのファインダビリティーを高めていくのかを検討してください。

どこを改善するとインパクト(量)が大きいか?どこが着手しやすいか?

集客の施策には終わりがなく、継続して改善を積み重ねていく必要がありますが、安定してアクセスが取れるようになれば、サイト内の改善にも目を向けていく必要があります。ページの役割の分類方法の一つとして、基本的なものとしては4つに区分をしていきましょう。


はい、ここまで!

神谷さんは語りかけてくるような文章なので、セミナーを受けているような気持ちになりますね。企業研修もされているので、気になる方は相談されてみてはいかがでしょうか。

テーマ:ウェブ解析 / SEO / SNS(石本 憲貴 氏)

石本さんのテーマは、以下。

  • 3.1 ウェブ解析とアクセス解析の違い
  • 3.2 Google Search Consoleを活用したウェブ解析手法
  • 3.3 SEOを実践するメリット① -コンバージョン率-
  • 3.4 SEOを実践するメリット② -新規顧客獲得-
  • 3.5 SEOを実践するメリット③ -費用削減-
  • 3.6 SEOの正解とは?
  • 3.7 2020年のSEO最新情報① -Googleの宣言-
  • 3.8 2020年のSEO最新情報② -ユーザー満足度を測るための取り組み-
  • 3.9 180度変えたSNSの取り扱い方
  • 3.10 SNSを最大限に活用するための完全自動化システム
  • 3.11 まとめ

ボリュームが大きいように見えますが、ひとつひとつは短いので、サクサク読めます。SEOの話が多いので、「2020年のSEO最新情報② -ユーザー満足度を測るための取り組み-」をまるっとご紹介いたしましょう。

(転載)3.8 2020年のSEO最新情報② -ユーザー満足度を測るための取り組み-

<Googleはページのユーザーエンゲージメントのデータを取っている>

Googleは1つ1つのページのパフォーマンスを調査しています。そのデータがある程度まで蓄積されないとページの評価を変えることが出来ないからだと思われます。

YouTubeの動画でも1つ1つの動画の視聴回数や視聴時間などのデータをとっていて、そのデータに基づいてYouTube内での動画の表示順位は決定されます。

それとほぼ同じように、Google検索においても検索結果ページに表示された1つ1つのページへのリンクのクリック数、クリック率、クリックされてから検索結果ページに戻るまでの時間が短いか、普通か、長いか等のユーザーエンゲージメント(ユーザーが特定のページにどの程度愛着を持っているかを示す指標)のデータをGoogleはデータとして蓄積して、それに基づいて検索順位を変化させます。

このメカニズムは「Google Patents(グーグルパテント)」という、Googleが発表している膨大な数の特許情報の中から発見された情報です【図24】。

【図24 Google Patentsの実際のページ】
【図24 Google Patentsの実際のページ】

その特許の名前は「暗黙のユーザーフィードバックに基づいた検索ランキングの修正」というもので、特許情報を読み解くと・・・

検索ユーザーが検索結果ページに表示されたアンカーリンクをクリックして、経過した時間が長ければクエリとの関連性が高いサイトであり、短ければ関連性が低いと判断し、「関連性の高いサイトの順位を上げる」「低いサイトの順位を下げる」という検索順位を決める仕組みをGoogleが持っているということです。この利用許可が降りたのは、コアアップデートが実施された日と同じだということがわかっています。

「暗黙のユーザーフィードバック」というのはユーザーのクリックとサイトの閲覧という無言の行為により、検索結果ページ上からリンクされているどのサイトをユーザーが気に入っているのかを判断するというものです。

そして、その判断により検索ランキングを「修正」し、「検索ユーザーが好むであろうサイトの順番に検索結果を並び替える」というかなり合理的な順位決定メカニズムです。

さらに、この特許を読み解くと・・・

Googleは、ユーザーが「検索結果⇒ウェブページ⇒検索結果」を遷移する様子をログを取ることにより監視しており、

  • ショートクリック:悪いページを示していると考えられ、低いスコアが割り当てられる。
  • ミディアムクリック:潜在的に良いページであると考えられ、わずかに高いスコアが割り当てられる。
  • ロングクリック:良いページを示しているとみなすことができる。したがって、はるかに高いスコアが割り当てられる。「良いクリック」といえる。
  • ラストクリック:(ユーザーが検索結果に戻らない最後のクリック)良いページを示している可能性が高いとみなされ、かなり高いスコアが割り当てられる。

というように、検索結果ページ上のリンクをクリックして「サイトを見に行ってから検索結果ページに戻ってくるまでの時間」、これが短いと関連性が低く、長いと関連性が高いと判断し、検索ランキングを決める要因に利用していることがわかります【図25】。

【図25 検索エンジン⇔サイトの時間計測】

以前のようなテクニック重視ではなく、ユーザー視点に切り替わっているということに気をつけてSEO対策を実施する必要性が高まっています。


とても具体的な情報ですね!

石本さんのパートでは、具体的な情報や手法がたくさん掲載されているので、「ユーザーにフォーカスすれば良いのはわかっているけれど、実際 Google でどのように判断されているのか知りたい」が解決できます。

テーマ:ウェブ解析 / SEO / 人材採用(宮原 雅明 氏)

宮原さんのテーマはこちらです。

  • 4.1 ウェブ解析について
  • 4.2 ウェブ解析の事例
  • 4.3 SEOについて
  • 4.4 人材採用
  • 4.5 人材採用/オンライン説明会、オンライン面接
  • 4.6 まとめ

3名の中で、唯一人材採用が含まれていますので、「4.4 人材採用」をピックアップしてご紹介します。

(転載)4.4 人材採用

自社の採用に的を絞って改善したいというご質問をいただきました。この場合は、新卒採用、キャリア採用いずれも流入までの対策と流入してからの対策が必要です。

4.4.1 流入までの対策(オフラインで認知してもらう)

1) 人事担当者や入社した先輩が大学訪問をすること。

コロナ禍の中ですので、状況を見ながらになります。大学生に自社を知ってもらう(認知してもらう)ことが大事です。インターンシップなども新型コロナ感染に注意しながら行うことが重要です。今年は新型コロナの関係で企業のインターンシップの時間短縮が図られましたが、オフラインのインターンシップは行われていました。オンラインだけの企業もあるので、オンラインだけでも開催することが良い人材とのめぐりあいになります。

2) 人材関係は各都道府県の雇用部門に相談してみましょう。

就活情報の収集に活用してみてください。地域によって違いはありますが、各都道府県の中小企業団体中央会や労働雇用政策部門などに相談してオンラインイベントを行っているところもあります。地域で開催している合同企業説明会に参加してみましょう。民間(マイナビ、リクナビ)や官公庁主催の合同企業説明会に参加してみてください。2021年はオンラインで行うところが多いので、参加する際に説明する資料(スライド)をしっかり作り込んでおくと良いでしょう。企業紹介動画がなければプロに依頼して作成してもらう。紹介動画は5分〜15分未満が良いです。長すぎると見てもらえないので注意しましょう。

4.4.2 流入後の対策

1) トップに動画をいれて会社のイメージを印象づけましょう。

先輩の声では、学生に近い若手社員の活躍をしっかり見せていきましょう。イメージ写真は重要。当然SEO対策もしっかり行うようにしましょう。右は社員を全面に採用トップに出したパターンで人材がメインの企業向けです。このようにサイトの見せ方で企業イメージが全く違うものになります。学生の関心はどこにあるのか、を見つけ、自社の企業らしさを見つけてサイトに表現することが大切です。


コロナ禍だからといって、動かないことには始まらないことがよくわかります。ユーザーのことを知れば知るほど、より良いものを提供できるのと同様に、より良い人材を望むなら、待ちの姿勢ではいられませんね。

宮原さんのパートはサクッと基本知識を入れるにはちょうど良い(他の2人がとても長い)ので、最初に読んでみても良いかもしれません。

おわりに

非常に内容の濃い「セミナーを読める」のが、ウェブ解析士の事例集シリーズの良いところ。今回はBtoB向けの内容でしたが、他にもさまざまなテーマで展開されています。今後も紹介していきますので、興味を持たれたらぜひご購読ください。

一冊480円(!)ですが、Kindle Unlimited 会員なら無料(!!)で読めてしまう大盤振る舞い。紙の書籍はありませんが、紙で読みたい!!という声が盛り上がってきたら、発刊されるかもしれません。

自社サイトをコストで終わらせないために ウェブ解析士の事例発表集(37)

自社サイトをコストで終わらせないために
ウェブ解析士の事例発表集(3)

神谷 英男(ウェブ解析士マスター)
石本 憲貴(ウェブ解析士マスター)
宮原 雅明(ウェブ解析士マスター)

監修 ウェブ解析士協会
発行 亀井 耕二(ウェブ解析士協会 理事)

Amazon のKindleUnlimited なら無料で読めます。
自社サイトをコストで終わらせないために ウェブ解析士の事例発表集(35)

デジタルマーケティングを基礎から総合的に学ぶには

Google アナリティクスをはじめとしたGoogle系のツールは、その使い方を知ることも大切ですが、使うための戦略や設計が必要です。それは、ビジネスに成果をもたらすために必須の考え方です。

ウェブ解析士協会では、このようなデジタルマーケティングの基盤となる「ウェブ解析」を体系的に学べる環境と、知識・技術・技能に一定の評価基準を設け、あらゆるデータから事業の成果に貢献する人材を育成しています。

BtoB企業向けなウェブ解析やSEOなどのセミナーを一気に読んでみた

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