こんにちは、ウェブ解析士協会・事業支援部の八木です。
7月17日に実施した「Digitable Town / 東かがわDX」の実行委員としてプロジェクトマネージャーを務めました。今回は「Digitable Town(デジタブル タウン)」の活動レポートと実施背景や結果をお伝えします。
Digitable Town(デジタブル タウン)とは
ウェブマーケティングに馴染みのない初心者の方を対象に、「私たちの街の課題を私たちが解決していく」をコンセプトに香川県東かがわ市で2021年7月から半年間にわたって全3回のオープンセミナーやオンライン講座を開催しています。なぜ東かがわで実施するのかや開催の背景などについては、こちらの記事をご覧ください。
4月27日の視察訪問の時はまだ「Digitable Town」の名前やロゴが決まっていませんでした。名前やロゴの経緯についても少し書かせてください。
Digitable Townの名前の由来
ウェブ解析士協会・事業支援部の主な目的の1つに地方創生を掲げており、事業の成果に導くウェブ解析を広く学ぶ機会の創出、研究開発、関心を持つ方の交流促進、就業及びビジネスマッチング機会の創造、情報流通促進を行うことを主軸に考えております。
近年、1つのバズワードのように注目されている「DX(デジタルトランスフォーメーション)」。このDXが世間で注目される一方で、インターネットやウェブマーケティングが苦手な人にとっては、あまり聞き慣れないDXという言葉がよりデジタルとヒトとの距離を引き離してしまったのではないかと感じていました。ウェブ解析士協会の目指す地域のDXは、デジタルができる人を増やすことです。そこで生まれた言葉が「Digitable」です。
Digitable = Digital + Able + Sustainable
デジタル(Digital)ができる(Able)ようになること自体はウェブ解析士協会の設立当時の思想から変わりません。その思いの中で、これからの社会において目指すべきものとしてSDGsのSの頭文字でもある「Sustainable」を加え、持続可能なデジタル社会のためのデジタル化ができる人を生み出していくことをDigitableと意味づけをしました。
もう1つのTownは地方創生や地域共創の「地方」や「地域」を意味する言葉です。「地方」や「地域」という言葉は「Region」「Area」「City」「Country」など候補は沢山あったのですが、中学英語で最初に習う「Town」にしました。DigitalをDigitableと難しくしてしまったため、バランスをとったものになります。これが「Digitable Town」の名前の由来です。
難航させてしまったDigitable Townのロゴ
このプロジェクトにはDigitableの考えを育て広めていくという狙いがあります。その一環として「Digitableのアイコンになるロゴは必要だし欲しいよね」と名前が決まったと同時にロゴ作成の作業に取り掛かりました。
今回ロゴをお願いしたのはウェブ解析士の永見美子さん。普段は会社でデザインの仕事をされている方です。彼女にとっても、会社の仕事を超えてプロジェクトのロゴを作成するのは初めての経験です。
ロゴを作るだけならランサーズなども検討したのですが、「コンペはたくさんの負けを生んでしまう」ことと「Digitable Townはできる体験を価値ととして提供」という考えが根本にあったので、彼女に期待も込めて依頼しました。色々と振り返ると反省が多いイベントではあるのですが、少なくともこのロゴに関しては彼女にお願いして正解だったなと思っています。
そんなロゴ作成を難航させたのは「人にやさしいデジタル」というコンセプトです。「デジタル」も「タウン」も「人にやさしい」も抽象的で輪郭をとらえるのが難しく、彼女を相当悩ませたと思います。その中でロゴを生みだしてくれた彼女には感謝と共に、ロゴを使い続けることがお礼の姿勢だと思っています。
官民一体化した新しい形
今回のプロジェクトは、
- 主催:東かがわ市、東かがわ市商工会
- 主管:東かがわ市わくわく課、株式会社ペライチ、ウェブ解析士協会
と、官民一体化のプロジェクトです。東かがわ市として大きなチャレンジであり、デジタル化支援でのウェブ解析士協会に対する期待度はとても高く、ウェブ解析士協会としても同様に大きなチャレンジと捉えています。さらに当日は平井大臣もオンラインで参加していただけることになり、国と行政も連携した広範囲な形になりました。
私自身もここまで大きなイベントになるとは当初想定しておらず、期待と重圧を感じながらも、毎日のように降り注ぐ色々な課題や難題に取り組んできました。
このイベントは、少しでも良くなるように組織の垣根を超えて主体的に動いていただいた皆さんなしには実現できませんでしたし、本当に感謝しています。今回のイベントで作成したTシャツはお気に入りの1つです。
Digitable Townが公約した3つのルール
Digitable Townを実施するにあたって、3つの約束事があります。
- 今日から使えるデジタルマーケティングで役立つ考え方やスキルを習得できる内容であること
- 講師は地元出身の人を招き、一緒に地域を盛り上げること
- 個人事業主でも安心!無料・低価格のツールを使うこと
1と3はDigitable Townの前身でもある沖縄DXからの継承であり、2の「地元講師が教える」に関してはDigitable Townのコンセプトにもなっている「私たちの街の課題を私たちが解決していく」というメッセージです。
セミナー後のことを考えたセミナーを作りたい
withコロナの影響で2020年以降オンラインセミナーの活性化や充実が見られ、ウェブ解析士協会もFlashセミナーを実施するなど、探せば欲しいものは手軽に手に入る時代になりました。これは一昔前なら東京にセミナーが充実しており、地方には良質なセミナーが少ないと嘆いた時代から考えれば画期的なことです。
ただ、デジタル化が進むことで失われるリスクもあります。例えば上級ウェブ解析士の講座は一部オンデマンドになっているように、すべての内容をオンデマンドにすると上級ウェブ解析士の講師は極端な話、一人で十分かもしれません。
この企画を始める前からウェブ解析士協会・代表理事の江尻さんに何回か「土の色やにおいがわかるセミナーを作りたい」と伝えていました。土の色やにおいはその土地の出身者ならではの感覚で把握しているものがあります。例えば、今回のセミナーで講師を務めていただいた松岡さんは香川の名産である「うどん」を例に紹介していました。これは彼女の生活の一部に「うどん」があり、そして現地の受講者の生活の一部にも「うどん」があるからこそ成立するコミュニケーションです。
実際にセミナーの後、松岡さんに直接話しかける方が何名かいました。私自身、セミナーをきっかけにお仕事をいただいたこともあります。もし、セミナーの講師が地元の人だったら何かあった時に直接相談できそうと感じてもらえたり、高校野球のように地元を応援や贔屓したくなることだってあるかもしれません。ヒトとデジタルの距離を縮めるセミナーだからこそ少しでも縮まる施策は大切ではないでしょうか。
もちろん、地元の講師だけで実施するとコロナ前のような良質なセミナーが作れないのではないかという懸念事項はあります。ただその懸念事項は、デジタルやチームのコミュニケーションで解決できると思っています。
セミナーの結果:NPSは−19.3%
肝心のセミナーの成果はどうだったの?ということもあるので、包み隠さず伝えるとNPSは-19.3%です
NPSとは、Net Promoter Scoreの略で、顧客ロイヤルティー(企業やブランド、サービスなどに対する愛着や信頼)を数値化するための指標のこと。NPSは対象者に「商品をどの程度親しい人にすすめたいと思うか」を問い、0~10点の11段階で答えてもらう。その点数で回答者を「批判者(0~6点)」「中立者(7、8点)」「推奨者(9、10点)」の3つに分類し、回答者全体の「推奨者」の割合から「批判者」の割合を引いたもので表される。
https://www.synergy-marketing.co.jp/glossary/nps/
プロジェクトマネージャーの立場は「結果」がすべてなので、満足しない(正確には他の方に勧めたいと思わない)内容を作ってしまったことは関わった方に本当に申し訳ないと思っています。自分の至らない点ばかりで多くの方にご迷惑をおかけしたことは反省する次第です。
とはいえ、走り出した以上、ここで立ち止まるわけには行きません。当日、平井大臣もセミナーでおっしゃっていた「アジャイルガバナンス」のように、至らないところは2回目で改善して動いていくことが大事であり、2回目のセミナーは9月18日(土)に実施されます。
最後に
NPSの結果からもわかるように、課題は山積みで、目指したい理想に対して実現するにはまだまだ色々と足りません。そして事業支援部は仲間を絶賛募集中です。うれしいことに、前回の記事の後、企画に賛同し協力してくれる仲間も現れました。
今回のセミナーで一緒になってサポートしていただいている株式会社ペライチの山下会長はFacebookで今回のセミナーの振り返りとして最後にこのように語っています。
当日はさまざまな課題が浮き彫りになり、問題も発生し、参加者や視聴者の皆さんにもご迷惑をおかけしましたことをお詫び申し上げます。
しかしながら、その点は大いに反省しながらも、平井大臣も仰っていただいておりましたが、ここまで広範囲に官民が連携し、しかもデジタル領域という今まで同市としてもなかなか具体的なアクションに落としづらかったものを、前に進められたことは、関係者の皆様、お一人おひとりのご尽力によるものであり、特に、今回の企画で旗振りをしてくださったウェブ解析士協会の皆様には感謝が絶えません。
これを機に、次回以降は課題点を一つずつ改善していき、地域の企業や事業主の皆さんの具体的なアクション、そして結果へとつながるよう、さらに優しく、さらに丁寧なイベントにしていきたいと思います。
私自身、もっともっと良いセミナーにしていきたいですし、良いセミナーにするには個人のレベルアップも仲間も必要です。この記事を読んでくれたり、セミナーに参加して楽しいと感じた方、アンケートで厳しい意見いただいた方も、ぜひ一緒に活動しませんか?あなたの住む街や故郷でもDigitable Townを開くことができるかもしれませんよ。
ウェブ解析士協会の事業支援部で一緒に活動してみたい方は、以下のフォームからご相談ください。まずは活動の裏側を見てみませんか?