WACAインタビューチームのAyanです。2021年9月4日にオンラインで開催されたセミナー「ウェブ集客の定石 あなたのビジネスをブレイクさせよ!」の参加レポートをお届けします。
このセミナーについて
講師は上級ウェブ解析士の横須賀大輝さん。ウェブマーケティング歴15年以上、改善したウェブサイトはなんと500以上に上ります。SEOマーケティングアドバイザーの資格も持つ横須賀さんが身につけたノウハウを無料で話してくださる、またとない機会。約150人もの申し込みがあり、関心の高さがうかがえました。
このセミナーが役に立つ人
- ウェブサイトに集客したいが、何から手をつけていいかわからない人
- 集客のために施策を試したが、今ひとつ成功せず行き詰まっている人
- いろいろな集客方法のうち、どれを選ぶのが正解なのかわからない人
- 集客はしたが、コンバージョンや売り上げにつながらず困っている人
いろいろな施策があるけれど結局何が「定石」なのか? 横須賀さんがこの問いに真っ向から答えてくれました。
受講のきっかけ
私自身はSEO(検索エンジン最適化、Search Engine Optimization)に関わったことがありません。なので一から学びたいと思い、さまざまなオンライン講座を受講してきました。広告運用やSNS、SEOライティングなど一通り聞いてみての感想は「細かいテクニックはわかったけど、本筋がいまいち見えない」。
今回は「ウェブ集客の定石」というタイトルに興味をひかれました。基礎かつ王道を学べると期待して参加しました。
うまくいっていないビジネスの共通点
SEOで集客したい。売り上げを増やしたい。でもうまくいっていない、というビジネスには共通点があるそうです。
ユーザーの求めるものを実は理解していない
ユーザーは自分の好きなもの以外見ません。サイト訪問後、探しているコンテンツがどこにあるかわからない、あるいは見つからないと判断したら3秒(!)で離脱してしまいます。自分自身の検索行動を振り返れば納得がいくと思います。
Google アナリティクスなどアクセス解析データで、ユーザーの行動履歴を追うことはできます。でも「なぜコンバージョンしたのか」「なぜここまで見たのに離脱したのか」といった一人一人の行動の本当の理由はわかりません。AIを駆使してデータを集めたところで、分析も学習も、行動の説明もできないのが実情です。結局は人間が考えないといけないんですね。
売り上げは一朝一夕に増えるものではない
ウェブ集客の施策を打った、その翌日から売り上げが2倍になるわけありません。わかっているようで、結果を焦ってしまうのが人情ですよね。
大手IT企業もテレビや雑誌などマス広告を使っています。ウェブの世界だけでうまくいっているのならマス広告を打つ必要はありません。
私の以前の勤務先が何度かマス広告を出したことがあります。確かに一時的には大きく集客できます。しかし1カ月後にもサービスにとどまってくれるユーザーは半分もいなかったと記憶しています。この結果も織り込んだ上での施策ではありますが。
長い目で見れば「狭くても深くコミュニケーションをとっていくほうがウェブでは成功しやすいですよ」と横須賀さん。「ユーザーを連れてくる」までがSEO、コンバージョンはその後ユーザーに何を提供できるかがキモです。
重要なのは、まず「己を知る」。強みや弱み、市場の状況、ユーザーは何を支持しているのか。自社のありのままを直視することから始めましょう。その上で、ユーザーを振り向かせるために必要なコンテンツを追加します。
コンバージョンに必要な五つの情報
ユーザーに振り向いてもらい、購入してもらうのに影響が大きいコンテンツは? もちろん、商品・サービスの情報です。ご自身の関わるウェブサイトに次の五つが揃っているかどうか確認してみてください。
- 価格の情報
- 長所と短所
- 他者との違い
- 選択の判断材料
- ユーザーの声
具体的には何か? 内容を確認していきましょう。
価格の情報
さすがに値段くらい書いてます、と思われるかもしれません。ただし「なぜその価格なのか」「この額を支払って手に入れられる価値は何か」ということまで説明できているサイトはそう多くないのが実情です。
長所と短所
「こういう条件に当てはまる人には向いていないかも」といった短所についても正直に書いていますか? 「こういうことはできない」ときちんと説明することで、クレームを防いだりユーザーを線引きしたりできるメリットも。
他者との違い
ライバル、競合他社との違いという意味です。自社の商品・サービスがライバルと比べてどう違うのか、何がメリットなのか。自身で理解したうえで打ち出せていますか?
選択の判断材料
自社の商品・サービスの中に複数のプラン、料金、グレードなどがある場合です。どれにしたらよいか迷わないように情報を整理していますか? 「結局どれが自分に合うかわからない」と離脱させてしまわないよう、判断材料を提供しましょう。
ユーザーの声
他の人も使っていて満足していますよ、ということがわかる「お客様の声」のこと。安心して購入することにつながります。内容はなるべく具体的で、かつなるべく数多く掲載するのが理想です。
代表的な集客方法とその特徴
本講座のタイトルでもある「ウェブ集客の定石」。広告とSEOについて、それぞれの特徴と利点を詳しく話していただきました。
広告
リスティング広告
検索すると出てくる広告なので、ニーズが顕在化しているユーザーへアプローチするのに有効です。出稿するキーワードは、ユーザーの検索意図を考えターゲットを絞りましょう。その上でユーザーが求めているコンテンツを掲載したランディングページを整備します。
ディスプレイ広告
検索しないと見せられないリスティング広告と違い、サイト閲覧中のユーザーにも広告を見せられます。自身のターゲットとしているユーザーを最も広くカバーできる方法で広告を配信することが重要です。
バナーとコンテンツの整合性にも配慮しましょう。バナーの中の写真やイラストがランディングページのコンテンツや全体のデザインと親和性があるか、もう一度確認してみてください。
ディスプレイ広告はこれから市場に入ってくる人、リスティング広告で取りきれなかった人をカバーする用途だということです。二つの目的は異なるので、結果を比較して焦る必要なし。出稿目的にブレが生じないよう運用しましょう。
SNS広告
リスティング広告とディスプレイ広告の「いいとこ取りをして薄めた感じ」(横須賀さん)。広告を見てもらいたいペルソナ像をしっかり設計しましょう。
また、SNS媒体ごとにユーザーの閲覧目的は異なります。Facebookなら、友だちの近況報告を見ているはず。「買って買って〜!」と促すような広告だとブロックされてしまうかもしれません。「これに悩んでいますよね」とニーズを思い出してもらう広告だと反応率が上がるそうです。
SEO
この道のプロである横須賀さんが、実りあるSEOを達成するために実践している方法をご紹介いただきました。
有効なキーワードを選定する
何かが欲しいときに自分だったらどういうキーワードで検索するか、仮説を立てましょう。検索回数の多いキーワードで上位を取りたいと考えている人は多く、それが間違っているわけではありません。ただし非常に多く検索されているキーワードには情報収集目的のものも含まれており、必ずしもコンバージョンにつながるわけではないそうです。
また、対策すべきキーワードが一つとは限りません。価格、性能などいろいろな情報を調べてから商品を購入するのではないでしょうか。意外に検索回数の少ないキーワードがコンバージョンに近いこともあるので、念入りに選びましょう。
Googleの最新情報を確認する
「Think With Google」と「Google公式ブログ」が最新情報です。体系的に学びたい場合は書籍も選択肢です。
「SEO Japan ブログ」(アイオイクス株式会社)
「ナイルのSEO相談室」(株式会社ナイル)
「海外SEO情報ブログ」(鈴木謙一氏)
横須賀さんが日常的にチェックしているサイト三つをご紹介いただきました。いずれも専門家が最新情報を投稿しているので、読んで損はないです。
競合するサービスのサイト
自社にない視点を補完するのに参考になります。SEO会社では基本的に1~10位のサイトのコンテンツをくまなくチェックしているそうです。例えば、クライアントA社の競合B社にはユーザーの声が載っていることを見つけます。クライアントA社には「お客様の声を載せましょう」と提案するわけです。
さらに競合サイトの論理構造、サイト構造などもチェックすべきだそうです。とはいえ他社のまねにならないよう、自社独自の情報発信を心がけましょう。
受講してみて
今回のセミナーで強調されていたのは、ウェブ集客強化には何よりもコンテンツが重要だということ。横須賀さんの言葉では「コンテンツ is KING」。少し意外だったのですが、SEOでなかなか結果が出ない場合でも、有益で独自性の高いコンテンツがあれば順位は上がることもあるそうです。ウェブマーケティングに用いられる広告、SEO、SNS、メール、アプリの五つはいずれも「見込み客を連れてくる手段」。「とにかく集客したい!」というクライアントが多い中「まずはコンテンツを揃えましょう」と提案してこられたそうです。その上で何をどう見せるか、またどの集客手段を用いるか、ビジネスモデルを総合的に考えることで求める結果が得られるとのこと。「ウェブ集客の定石」とはそういうことだったかと膝を打ちました。
受講者アンケート
「人柄がうかがえ、クライアントから信頼を得て仕事をされているのだろうなと感じた」「説明が分かりやすかった」「リスティング・ディスプレイ・SEOを言語化できた。コンテンツマーケティングの重要性を改めて感じた」など、参加者からは納得の感想が届いていました。すべての施策について具体例を挙げる時間はなかったのですが、質疑応答では「ユーザーと深く狭くコミュニケーションを取る方法」「独自性の高いコンテンツを作る方法」「検索順位が頭打ちになる理由」などの実体験を教えていただけました。
広告運用やSEOなど、横須賀さんの実務スキルが直に学べる有料セミナーを準備していらっしゃるそうです。興味のある方は、個別に相談してみてはいかがでしょうか。