こんにちは。ブランディング・マーケティングに関するコンサルティング事業を展開している、株式会社ピージェーエージェント代表取締役の加藤です。
あなたは「Web接客」という言葉をご存知でしょうか?
リアルな実店舗や商談の場と同じように、ウェブサイト上においても閲覧者に「接客」を行おうという考え方です。
今回は、Web接客とは具体的にどういうことなのか、それらを実現するためのツールにはどのようなものがあるのかについて、解説いたします。
自社のウェブサイトのコンバージョン率を向上させたい、顧客満足度を向上させたいとお考えの方は、ぜひご一読ください。
Web接客ツールとは
「Web接客」とは、ウェブサイト上で閲覧者に対して「接客」を行うことを指します。
実際の店舗や商談の場では、店員さんや営業マンなどが「接客」を行います。目の前のお客様の様子を見ながら、迷っていたり困っているりしていたらその場で話をして、疑問や質問に回答をしたり、商品の購入の背中を押したりするのが「接客」です。
同じように、ウェブサイト上においても閲覧者に「接客」を行おうというのが「Web接客」です。広告やSEOなどで努力をしてウェブサイトに集めてきた閲覧者を、一人でも多く商品購入などに繋げるためにウェブサイト側で実施する工夫の一つが「Web接客」という手法であり、それを実現するためのツールが「Web接客ツール」です。
Web接客ツールの種類
Web接客ツールには、大きく分けると「ポップアップ型」と「チャット型」の2種類があります。
ポップアップ型
ポップアップ型のWeb接客ツールでは、閲覧者に対して、最適なタイミングで広告やクーポン、キャンペーンなどの情報を表示させることで、商品購入を促すことができます。
ウェブページを見ていてしばらくすると、「今だけxx%OFF!詳細はこちら」などのバナー画像が突然画面全体に表示されるような経験をしたことはありませんか?それがポップアップ型のWeb接客ツールです。
一定以上ページに滞在した、一定以上画面をスクロールした、ページを離脱しようとしたなど、閲覧者の行動に応じてメッセージを表示するタイミングや内容を変えることができます。
例えば、アパレルの実店舗において、店員さんが商品の前で立ち止まっているお客様に対して「そちらの商品、実は今ならお得なキャンペーンをやっていまして・・・」などと個別に声がけをするようなイメージです。
ポップアップ型のWeb接客ツールにおいては、「いかに最適なタイミングで、最適な内容で声がけをするか」がポイントになります。やみくもに声をかけられても「ウザい」と感じるでしょうし、内容が的外れでも嫌われてしまい、逆効果になってしまいます。
バナー画像を表示させるタイミングや、訴求する内容などはしっかりと考えた上で設定をするように心がけましょう。
チャット型
チャット型のWeb接客ツールでは、ウェブページ上にチャットウインドウを表示させることで、閲覧者の質問に対して、人間やボット、AIなどがリアルタイムにすぐに回答することで、疑問を解消し閲覧者の満足度を高めることができます。
ウェブページを訪問した際、右下に「何かお困りごとはありませんか?」というようにチャットウインドウが表示されるような経験をしたことはありませんか?それがチャット型のWeb接客ルーツです。
問い合わせフォームやメールなどで連絡をするのとは異なり、リアルタイムでその場ですぐに回答がもらえるため、閲覧者は気軽に質問ができ、満足度が向上します。人間での対応だけではなく、ボットやAIなどを活用し、24時間365日体制で質問に回答するようなことも可能です。
例えば、ホテルのコンシェルジュが、宿泊者の要望に24時間いつでも応えられるようにフロントにスタンバイしているようなイメージです。
チャット型のWeb接客ツールにおいては、「いかに相手の意図や疑問に感じていることを正確に捉えて、的確で分かりやすい回答をするか」がポイントになります。質問に対して的外れな回答をしていたのでは「そういうことが聞きたかったんじゃないのに」と逆にストレスを感じさせてしまうことにもなりかねません。
閲覧者から来る質問とその回答のパターンを事前にしっかりと用意しておく、ボットなどの機械を活用する場合には返答シナリオの設定と改善を行い続けるなどの努力を怠らないようにしましょう。
Web接客ツール導入のメリット
Web接客ツールを導入することによるメリットは何があるのか、前述の「ポップアップ型」と「チャット型」の2種類に分けて解説をいたします。
ポップアップ型
ポップアップ型のWeb接客ツール導入の代表的なメリットは「コンバージョン率の向上」です。
閲覧者の行動に応じて、広告やクーポン、キャンペーンなどの情報を表示することで、閲覧者が何もせずにそのままウェブページを離脱してしまうことの防止につながります。「商品購入」「申込」「問い合わせ」などを実施しようかと悩んでいる閲覧者の背中を押し、コンバージョン率を向上させることができます。
チャット型
チャット型のWeb接客ツール導入の代表的なメリットは「顧客満足度の向上」です。
24時間365日いつでも気軽にチャットで質問ができ、的確な回答を得られることで、閲覧者は必要な情報を探して何ページもウェブサイト上を回遊する必要がなくなります。まさに高級ホテルのコンシェルジュのように、「困ったら何でも質問できる」という便利さで、顧客満足度を向上させることが期待できます。
Web接客ツール導入・活用時の注意点
導入するだけで効果が出るものではない
Web接客ツールは、既存のウェブサイトのデザインなどを変更することなく、大掛かりな改修も不要なため、比較的簡単に導入が可能です。
しかし、ただ導入をしただけでは意味がありません。大切なのは、その設定内容です。「とりあえず何かバナー画像を表示させれば良いんでしょ」というような乱暴な考え方ではなく、想像力を豊かにして顧客志向で「どのような行動をした閲覧者には、どのような情報を表示させれば喜ぶか」というような想定シナリオを丁寧に考えることが大切です。
やりすぎは逆効果
企業側はよかれと思ってなのかもしれないのですが、ページを遷移したり、スクロールしたりする度に、「今だけxx%OFF!」とか「こちらの商品もご覧ください」とか毎回バナー画像が表示されていたのでは、閲覧者に「邪魔だなぁ」と感じられてしまい、逆効果です。
例えば、アパレルの実店舗においても、洋服を見ている最中に何度も店員さんが話しかけてきたら「ゆっくり一人で見たいのに、うるさいなぁ」と感じてしまうのではないでしょうか。それと同じように、やりすぎは厳禁です。ここぞというタイミングで最適なメッセージを伝えることを意識しましょう。
運用体制を整える必要がある
Web接客ツールは、導入時の設定ですぐに最良の成果につながるというケースは少ないです。
アクセス解析ツールなども活用しながら、導入後の各種効果測定を実施し、「もっと良くなるためにはどうしたらよいか」とPDCAを回しながらチューニングをし続けることが非常に重要です。
社内メンバーや外部のコンサルタントなど、運用をまわし続けることができる体制を整えておきましょう。
Web接客ツールを選ぶ際のポイント
世の中には沢山の種類のWeb接客ツールがありますが、ここではどのような観点でツールを選べば良いのか、ポイントをお伝えしたいと思います。
導入目的と合っているか
前述の「ポップアップ型」と「チャット型」の2種類の特徴とメリットをしっかりと理解した上で、目的、やりたいことに合ったツールを選定するようにしましょう。
「とりあえず流行っているので導入しよう」「聞いたことがあるツールだから間違いないだろう」など安易に決めるのではなく、「何のために導入するのか」という目的をしっかりと考えて検討を進めることが大切です。
費用対効果が高いか
Web接客ツールの価格は、ピンからキリまであります。当然、高価なツールは機能も豊富でできることも多いです。
例えば、チャット型のWeb接客ツールにおいて、「最新のAI技術で機械学習して閲覧者一人一人に最適な接客を実現し・・・」というような魅力的なものもあるかもしれません。せっかくWeb接客をするのなら、こんなこともしたい、あんなこともしたいと夢が広がる気持ちはよく分かるのですが、「コンバージョンを増やす」「顧客満足度を向上させる」というゴールに対して、どの程度の費用であればペイするのかという費用対効果をしっかりと意識しながら検討をしましょう。
運用し続けやすいか
前述の「Web接客ツール導入・活用時の注意点」でもお伝えした通り、Web接客ツールは運用体制を整えた上で、PDCAを着実に回せるようにしておくことが大切です。
閲覧者の行動特性も時代と共に当然変化していきますし、ツールを導入して終わりではなく、PDCAを回しながら効果的な施策を検討し、チューニングをし続ける必要があります。
単なる「機能」や「価格」だけで選ぶのではなく、操作方法が直感的で分かりやすい、ユーザーサポートが充実している、コンサルティングサポートなどが充実しているというような、「永続的に運用し続けやすいか」という観点も重要視しましょう。
ツール導入は目的ではなく手段
インターネットが普及した昨今において、「Web接客」という考え方は企業にとって大切な要素の一つになっています。そのための「Web接客ツール」も魅力的なツールが様々提供されています。
しかし、ツール導入は目的ではなく手段です。「競合他社が入れているから、うちの会社もWeb接客ツールを入れよう」などと焦ってやみくもに導入するのではなく、しっかりと目的を考えた上で、戦略的にツールの導入を進めるようにしましょう。
きっと「コンバージョン率の向上」「顧客満足度の向上」につながるはずです!