カスタマージャーニーとは何か?ビジネスにおける活用方法とその作り方を解説

こんにちは。ブランディング・マーケティングに関するコンサルティング事業を展開している、株式会社ピージェーエージェント代表取締役の加藤です。

「売上をさらに向上させるために、顧客理解をさらに深めたい」と考えたことはありませんか?

そのために有用なマーケティング手法が、「カスタマージャーニー」です。

この記事では、カスタマージャーニーとは何かや、ビジネス上の重要性、そしてカスタマージャーニーマップを作成し活用することで得られるメリットなどについて解説いたします。

あらためて自社のカスタマージャーニーについて考えることで、お客様のニーズや求めていることを的確に把握し、商品やサービスの内容、販売促進方法や提供方法などを最適化することができるようになります。さらに、顧客満足度を高め、長期的な信頼関係を築くことができます。
この記事を通じて、カスタマージャーニーの重要性を改めて感じていただき、ビジネスにご活用いただけると幸いです。

目次

カスタマージャーニーとは何か

カスタマージャーニーは、お客様が商品やサービスを購入するまでの過程を、そのお客様の視点から明確に捉えたものです。カスタマージャーニーを想像することで、お客様が自社の商品やサービスを知ってから購買に至るまでに経験する一連の流れや感情を理解し、可視化することができます。想像したカスタマージャーニーに基づいてマーケティング施策を戦略的に実行することが可能になります。

お客様の視点から見た体験を想像し、理解することで、そのお客様が商品やサービスについてどのような期待を持ち、どのようなニーズを抱えているのかを把握することができます。商品やサービスを提供する際に、お客様の期待により応えることができるようになり、顧客満足度の向上につながります。お客様の購買プロセスや感情を理解することで、より適切な体験を提供できるようになるのです。

なぜカスタマージャーニーが重要なのか

企業にとって、カスタマージャーニーを考えることが重要な理由は多岐に渡りますが、その中でも最も重要なのは「お客様志向で物事を考えることができるようになる」ということです。顧客中心のマーケティング施策を実現し、ビジネスにおける競争力を高めることができます。
お客様を単なる「購入者」として捉えるのではなく、商品やサービスに関する一連の体験を通じて感じる感情や期待、思考を徹底的に想像することで、お客様が求める価値や体験を把握し、それに応じた戦略を展開することができるようになります。

カスタマージャーニーを作るメリットと活用方法

カスタマージャーニーを明確にすることで、マーケティング、営業、お客様サポート、商品主管部門などの社内の各部門が一貫した目標に向かって連携することができるというメリットがあります。共通のカスタマージャーニーを把握した上で業務を遂行することで、気持ちを一つにして一貫性のあるメッセージや体験を提供することができるようになります。これにより、お客様は統一された一貫性のある体験ができるようになり、よりその企業に対するロイヤルティが向上します。

また、一連のカスタマージャーニーの中のお客様との各接点における課題や障壁、問題点を見るけることができます。お客様が不満に感じること、ストレスに感じることなどのネガティブ要素を正確に把握し、マーケティング施策や、商品やサービスの改善点を見つけ出すことができます。お客様の不満、ストレスを解決することで、企業はさらにお客様の満足度を向上させ、競争優位性を確保することができます。

最後に、カスタマージャーニーを考えることは、新規顧客の獲得だけでなく、既存顧客の維持と拡大にも重要な役割を果たします。お客様が満足度の高い体験を得ることで、口コミや紹介による新規顧客の獲得が促進されますし、お客様のロイヤルティが高まることで、既存顧客との長期的な信頼関係構築が可能となります。

カスタマージャニーマップの作り方

カスタマージャーニーを可視化できるように資料に落とし込んだものが、カスタマージャーニーマップです。ここでは、カスタマージャーニーマップを作る際の手順についてお話しをいたします。

1:ターゲット顧客を明確に設定する

まず最初に、カスタマージャーニーの主人公となるターゲット顧客を明確に設定します。「どんなお客様を戦略的にターゲットにしたいか」あるいは「過去の実績的に自社のターゲット顧客はこのような人物だ」などと、ターゲット顧客の人物像を設定します。

2:顧客の購買プロセスの定義

次に、設定したターゲット顧客が商品やサービスを認知してから購買をし、その後の利用などを実施するまでの一連の購買プロセスを定義します。顧客の購買プロセスを定義するにあたっては、以前のこちらの記事も参考にしてみてください。

3:顧客の行動や感情をマッピングする

定義した各購買プロセス中の各フェーズにおいて、ターゲット顧客が行うであろう行動や、抱くであろう感情をマッピングして記載していきます。これにより、お客様が購買プロセスの中で経験する体験や気持ちの変化などを改めて整理して可視化することができます。

4:社内データによる裏付けの実施

想像でマッピングした行動や感情が、「本当にそうなのか」を裏付けるために、社内に点在している様々なデータを収集していきます。過去に実施した顧客インタビューやアンケート、クレーム内容、行動データなどを可能な範囲で集めてきて、カスタマージャーニーマップをより説得力のあるものにしていきます。

5:社内関係者への共有とフィードバックの取得

作成したカスタマージャーニーマップは、積極的に社内の関係者へ共有し、フィードバックをもらうようにしましょう。マーケティング部門だけではなく、営業部門、お客様サポート部門、商品主管部門などの各関係者と協力して、カスタマージャーニーマップを改良し、さらに洗練させていきます。

6:継続的な更新と改善

カスタマージャーニーマップは一度作って終わりではなく、顧客や市場環境の変化に合わせて継続的に更新と改善を行う必要があります。作りっぱなしにするのではなく、前述の1-5を定期的に行い続けることが大切です。

カスタマージャニーマップの作成時の注意点

カスタマージャーニーマップを作成する際には、以下のようなポイントに注意をしましょう。

客観性を保つ

カスタマージャーニーマップを作成する際には、お客様の視点から客観的な視点を保つことが重要です。自社の製品やサービスに対する偏見や期待を排除し、お客様が実際に経験する体験や感情を正確に把握するよう努めることが大切です。

実データに基づく考察を心がける

想像だけでカスタマージャーニーマップを作成するのではなく、極力実データに基づいた客観的な考察を行うことが重要です。前述の「社内データによる裏付けの実施」の部分でもお伝えした通り、可能な範囲でできる限りではありますが、社内の実データをもとに裏付けをしながら作成をするうように心がけましょう。

必要に応じて複数のターゲット顧客を設定する

複数のターゲット顧客を設定することも、場合によっては必要になります。異なる属性のターゲット顧客が、それぞれ異なるニーズや困りごとなどを持っているような場合には、無理にターゲット顧客を一つに絞るのではなく、それぞれのターゲット顧客毎のカスタマージャーニーをしっかりと丁寧に考えるようにしましょう。

作っただけで満足しない

カスタマージャーニーマップは、「作成することがゴール」ではありません。前述の「社内関係者への共有とフィードバックの取得」「継続的な更新と改善」でもお伝えした通り、社内関係者で常に見直しながら、改良を繰り返していくことが重要です。

カスタマージャーニーマップの事例

カスタマージャーニーマップは、様々な業界や企業において活用することができます。ここでは、弊社がご支援をしたクライアント企業様の事例をいくつかご紹介します。

アパレル業A社:
FacebookやInstagramなどの広告を通じて、そのブランドの商品を知った見込顧客が、まずは自社のECサイトに訪れます。そこで商品を何点か閲覧した上で、サイト上に掲載されているブランドのコンセプトブックを見て興味関心を高めます。その後、そこに掲載されている実店舗一覧を見た上で店舗を訪問し、試着などを実施。店員と会話をして商品購入。数ヶ月後に再度ECサイトでリピート購入をするまで・・・という一通りのカスタマージャーニーを作成しました。

飲食業B社:
Googleマップやランキングサイトなどで、近くの飲食店を検索。その後、数店舗に絞った上で、お店の名前でInstagramで検索をして、美味しそうな料理があるかを写真でチェック。そのままお店に電話をして予約。その後、訪問をして食事を楽しんだ後、後日、知人友人におすすめするまで・・・という一通りのカスタマージャーニーを作成しました。

また、以前のこちらの記事でも触れましたが、「採用活動」においてカスタマージャーニーマップを活用したこともありました。

その際にターゲットとして設定したのは「採用応募者」です。
就職を検討している採用応募者は、いきなり名指しで特定の企業の自社ウェブサイトの採用情報ページに行くようなことはなく、まずは求人情報サイトに行って、対象となる様々な企業を物色します。
そこで、統一して掲載された基本情報を使って、数多くの企業を自分の希望条件でスクリーニングして候補を絞って情報収集を実施します。
その後、ある程度候補となる企業を絞った段階で、次に、企業のウェブサイトを訪れます。ここでの目的は、「この会社は自分に合うか」ということを判断することです。就労条件などの「理性」の部分はすでに求人情報サイトでのスクリーニングでクリアをしているので、あとは、「自分とフィーリングが合うか」「働きたいと思えるか」などの「感性」の部分に関する情報を求めて、企業の採用情報ページに訪れます。
このようなカスタマージャーニーマップを作成した上で、「では、自社の採用情報ページにはどのようなコンテンツを掲載すべきか、どのような機能を持たせるべきか」などの検討を進めていきました。

応用編ではありますが、このように「お客様」だけではなく、「採用応募者」などをターゲットとしてカスタマージャーニーマップを作成することもあります。

さいごに

いかがでしたでしょうか?
今回は、カスタマージャーニーの考え方と、ビジネスへの活用についてお伝えしました。

カスタマージャーニーは、お客様が商品やサービスを購入するまでの過程を、そのお客様の視点から明確に捉えたものです。それを可視化できるように資料に落とし込んだものが、カスタマージャーニーマップです。

カスタマージャーニーマップの作成と活用は、お客様との関係をより強化し、ビジネスの成長を促進するために有用な手法です。お客様のニーズや要求を正確に把握し、製品やサービスの提供方法を最適化することで、企業としての競争優位性を確保し、持続的な成長を続けることができます。

この記事を通じて、カスタマージャーニーに関する理解を深め、お客様志向のアプローチでビジネスをさらに加速させるためのきっかけにして頂ければ幸いです。

デジタルマーケティングを基礎から総合的に学ぶには

Google アナリティクスをはじめとしたGoogle系のツールは、その使い方を知ることも大切ですが、使うための戦略や設計が必要です。それは、ビジネスに成果をもたらすために必須の考え方です。

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この記事を書いた人

株式会社ピージェーエージェント代表取締役。中央大学理工学部卒業後、NTTコミュニケーションズ株式会社に入社。IT・WEBを活用したデジタルマーケティングに関する法人企業向けコンサルティング業務に従事。顧客の購買プロセスに基づいたマーケティングシナリオ設計、メールマーケティングを基軸としたCRMコンサルティング等、法人企業の売上向上に寄与するコンサルタントとして活躍。その後、2016年、株式会社ピージェーエージェントを設立、代表取締役に就任。ブランド戦略の立案を強みとして、ブランディング・マーケティングに関するコンサルティング事業を展開している。

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