こんにちは。ブランディング・マーケティングに関するコンサルティング事業を展開している、株式会社ピージェーエージェント代表取締役の加藤です。
以前の記事でもお伝えした通り、お客様の心に刺さるメッセージを作るには、「情緒的価値」を訴求することが大切です。最近、弊社のクライアント企業様から「理屈は頭では分かっているんだけど、なかなか具体的にメッセージが思いつかない」というお悩みを多く頂戴します。そこで今回は、情緒的価値とそれに沿った訴求メッセージの具体例をいくつかご紹介します。
自社の商品やサービスをお客様により魅力的に伝えたいと試行錯誤をしている方は、ぜひご一読ください!
情緒的価値とは
以前の記事でもお伝えした通り、商品やサービスがお客様に与える価値は、「機能的価値」と「情緒的価値」の2つに分けて整理ができます。
「機能的価値」とは、その商品やサービスの機能面や品質面において、お客様に提供できる価値のことです。 「情緒的価値」とは、その商品やサービスを見たり、利用したりした際に、お客様が体感できる精神的な側面での価値のことです。
「情緒的価値」は、その商品やサービスを利用することで、お客様が「どのような良い気持ちになるか」だとも言え、それらを強く意識することで、よりお客様の心に刺さるメッセージを考えることができます。
情緒的価値を考える方法
「情緒的価値」は「機能的価値」から派生させて考えます。「情緒的価値」と「機能的価値」を、完全に切り離してバラバラに考えるということはありません。
「機能的価値」がペルソナ(自社の商品やサービスの対象となる理想の顧客像)に対して与える感情や心理的な変化をリアルに想像することで、「情緒的価値」を考えていきます。
ここからは、そんな「機能的価値」から派生させて「情緒的価値」を考え、さらにその先の「訴求メッセージ」を出す具体的な例をいくつかご紹介します。
例1:高級チョコレート
素材にこだわり、手作業で丁寧に作られている、高級チョコレートを例に考えてみましょう。
機能的価値から情緒的価値への派生
機能的価値:
このチョコレートは、厳選されたカカオ豆を使用し、職人の手で一つ一つ丁寧に作られており、滑らかな口どけと深い味わいが特徴です。
情緒的価値:
このチョコレートを味わうことで、日常の喧騒から離れ、自分だけの贅沢な時間を楽しむことができます。また、大切な人への贈り物としても、特別な思いを伝えることができます。
訴求メッセージ例
贅沢なひととき:
「一粒一粒に込められた職人の技と、厳選されたカカオの深い味わい。あなたの日常に、ほんの少しの贅沢を届けます」
特別なギフト:
「大切な人に、特別な思いを伝えたいときに。手作りの温もりと、極上の口どけを贈ることができるのは、このチョコレートだけ」
自分へのご褒美:
「忙しい毎日の中で、ひとときの癒しと贅沢を感じてみませんか。頑張るあなたへ、自分だけの特別なご褒美を」
優雅な時間:
「滑らかな口どけと共に広がる豊かな香り。あなたのリラックスタイムを、より上質な時間へと変えてくれます」
例2:アロマスプレー
部屋や寝具などにかけると良い匂いがするアロマスプレーを例に考えてみましょう。
機能的価値から情緒的価値への派生
機能的価値:
このアロマスプレーは、天然由来のエッセンシャルオイルを使用しており、リラックス効果が高いとされるラベンダーやカモミールの香りが心地よい眠りをサポートします。
情緒的価値:
このピローミストを使うことで、日中のストレスや疲れを忘れ、安らかな眠りに導かれます。また、香りに包まれた寝室で、心と体が癒される特別なリラックスタイムを楽しむことができます。
訴求メッセージ例
安らぎの夜:
「一日の終わりに、心をほぐす優しい香りを。あなたの眠りを深く、穏やかに包み込む、特別な夜のルーティン」
ストレス解消:
「ラベンダーとカモミールの香りが、日々のストレスから解放されるひとときを提供します。リラックスして、深い眠りへと誘います」
癒しのひととき:
「寝室を、香り豊かなリラックス空間へと変える一吹き。心地よい香りが、あなたの体と心を癒し、健やかな眠りをサポートします」
贅沢な眠り:
「毎晩の眠りを、特別な時間に変えてみませんか。天然由来の香りで包まれた、贅沢な安眠をお届けします」
例3:エコバック
リサイクル素材で作られたエコバッグを例に考えてみましょう。
機能的価値から情緒的価値への派生
機能的価値:
このエコバッグは、リサイクル素材を使用しており、丈夫で軽量、さらに折りたたんでコンパクトに収納できるので持ち運びが便利です。また、環境に配慮した製品であるため、プラスチックバッグの使用削減に貢献します。
情緒的価値:
このエコバッグを使うことで、環境保護に貢献しているという満足感を得ることができます。また、おしゃれで使いやすいデザインによって、日常の買い物がより楽しくなり、自分のライフスタイルに誇りを持つことができます。
訴求メッセージ例
環境への貢献:
「このエコバッグで、地球に優しい選択を。小さな一歩が、大きな未来を変える力に」
スタイリッシュでサステナブル:
「サステナブルでありながら、おしゃれなデザイン。毎日の買い物が、あなたのスタイルを引き立てます」
エコ意識を高める:
「リサイクル素材を使ったこのバッグは、環境に配慮しながらも、便利で使いやすいデザイン。日常の中で、エコ意識を自然に高めるアイテムです」
自分らしさを表現:
「地球に優しい選択をすることで、自分のライフスタイルに誇りを持つことができます。このエコバッグは、あなたの価値観を表現する一つの手段です」
例4:プロジェクト管理ツール
法人企業向けのクラウドベースのプロジェクト管理ツールを例に考えてみましょう。
機能的価値から情緒的価値への派生
機能的価値:
このプロジェクト管理ツールは、タスク管理、チーム間のコミュニケーション、進捗のリアルタイム追跡などが一元管理できる機能を備えています。また、クラウドベースでどこからでもアクセス可能で、複数のデバイスから利用できます。
情緒的価値:
このツールを導入することで、プロジェクトの進捗状況を常に把握できる安心感を得られ、チーム全体が効率的に連携することでストレスが軽減されます。結果として、プロジェクトの成功率が高まり、ビジネスの成長に貢献する満足感を提供します。
訴求メッセージ例
安心感と信頼性:
「プロジェクトの進行状況をリアルタイムで把握できる安心感。信頼できるツールが、あなたのビジネスを支えます」
チームワークの強化:
「チーム全員が一つのプラットフォームで連携することで、コミュニケーションの摩擦がなくなり、プロジェクトの成功率が向上します」
効率的な働き方:
「どこからでもアクセス可能なこのツールが、柔軟な働き方をサポート。チーム全体の生産性を最大限に引き出します」
ビジネスの成長を加速:
「効率的にプロジェクトを管理することで、納期厳守や品質向上が実現。結果として、ビジネスの成長に大きく寄与します」
例5:セキュリティソフト
法人企業向けのサイバーセキュリティソフトウェアを例に考えてみましょう。
機能的価値から情緒的価値への派生
機能的価値:
このセキュリティソフトは、リアルタイムで脅威を検出し、自動的に対応する機能を持っています。さらに、企業ネットワーク全体を監視し、不正アクセスやデータ漏洩を未然に防ぐための高度な分析機能を提供します。
情緒的価値:
このセキュリティソフトを導入することで、企業はサイバー攻撃のリスクから解放され、安心してビジネスに集中できるようになります。また、顧客データの保護に対する信頼感が向上し、企業の評判を高めることができます。
訴求メッセージ例
安心してビジネスに集中できる:
「常に進化する脅威からあなたの企業を守ります。安心してビジネスに集中できる環境を提供します」
企業の信頼性を高める:
「顧客データを確実に保護することで、顧客からの信頼を獲得。あなたの企業の評判を一段と高めます」
リスクを未然に防ぐ:
「高度な分析機能で潜在的なリスクを自動検出し、素早く対応。リスクを未然に防ぐことで、安心感をもたらします」
先を見据えたセキュリティ対策:
「未来を見据えたセキュリティ対策で、どんなサイバー攻撃にも対応可能。企業の将来を強固に守ります」
例6:業務用会計ソフト
法人企業向けの業務用クラウド会計ソフトウェアを例に考えてみましょう。
機能的価値から情緒的価値への派生
機能的価値:
この会計ソフトは、複雑な会計業務を自動化し、リアルタイムで経理データにアクセスできる機能を持っています。また、データは安全にクラウド上に保存され、どこからでもアクセス可能です。多様なレポート機能があり、経営状況を簡単に把握できるようになっています。
情緒的価値:
この会計ソフトを導入することで、経理担当者の業務負担が軽減され、ミスが減り、安心して会計業務を進めることができます。さらに、経営者や管理職にとっては、いつでも経営状況を正確に把握できる安心感と、自社の成長に集中できる余裕が生まれます。
訴求メッセージ例
経理の負担を軽減:
「煩雑な会計業務を自動化し、経理担当者の負担を大幅に軽減。ミスの心配もなく、残業時間の短縮にもつながります」
リアルタイムな経営判断:
「いつでもどこでも、正確な経営状況を把握。迅速な経営判断をサポートし、ビジネスの成長を加速します」
データの安全性と安心感:
「クラウド上に安全にデータを保管し、どこからでもアクセス可能。データの保護と利便性を両立させ、安心して利用いただけます」
経営に集中できる環境を提供:
「会計業務の効率化により、経営者や管理職が自社の成長に集中できる時間と環境を提供します」
さいごに
いかがでしたでしょうか?
BtoC、BtoBを問わず、いくつか具体的な例をご紹介させていただきました。「機能的価値」から派生させて「情緒的価値」を考え、さらにその先の「訴求メッセージ」を出すという流れについて、理解を深めていただけましたでしょうか。
最初はどうしても難しいと感じるかもしれませんが、ペルソナになりきって想像力を膨らませて、「この商品を使うと、どんな良い気持ちになるのか」ということを、徹底的に掘り下げて考えてみてください。そうすることで、今まで以上に、あなたの商品やサービスをお客様に魅力的に伝える「刺さる」メッセージを考えることができるようになり、きっと売上の向上につながるはずです!