放置していてはもったいない!休眠顧客の掘り起こし方法

こんにちは。ブランディング・マーケティングに関するコンサルティング事業を展開している、株式会社ピージェーエージェント代表取締役の加藤です。

休眠顧客は、企業の売上向上にとって大きなチャンスを持つ大切な存在です。新規顧客を獲得するためには、広告やマーケティング活動に大きなコストがかかるため、費用対効果の観点からも、既存顧客の再アクティブ化を図ることが売上向上のカギとなります。既に自社の製品やサービスを利用したことがある休眠顧客という存在は、自社のブランドに対する理解が深く、適切なタイミングや方法でアプローチすれば、高い確率で再び購入してくれる可能性があると言えます。

しかし、休眠顧客を掘り起こすには、顧客の購買行動や心理を深く理解した上で、効果的な方法で実施する必要があります。この記事では、休眠顧客を再びアクティブにするための具体的な方法について紹介し、掘り起こしに成功するためのヒントをお伝えします。

目次

休眠顧客とは?ビジネスへの影響

休眠顧客とは、以前に自社の商品やサービスを購入したが、一定期間取引が途絶えている顧客のことを指します。例えば、ECサイトでは1年以上購買がない顧客や、B2Bビジネスでは半年間取引がない企業などが休眠顧客に該当します。
マーケティングの世界には、「1:5の法則」というものがあります。新規顧客に対して商品を販売する労力は、既存顧客に対して商品を販売する労力の5倍であるという法則です。休眠顧客は、新規顧客に比べ、再度購買をしてもらうための手間が少なく、適切な施策を講じることで比較的早くアクティブな状態に戻すことができます。

ビジネスにおける休眠顧客の重要性は、まずその経済的インパクトにあります。前述の「1:5の法則」の通り、既存顧客の再エンゲージメントは、新規顧客を獲得するよりも約5倍コストが低いと言われています。また、既存顧客は新規顧客よりも平均して60%-70%高い購買頻度を持つとも言われています。さらに、再度アクティブ化した顧客は、初回購入時よりも高額な商品を購入するという説もあり、LTV(顧客生涯価値)を向上させる大きな機会とも言えます。

しかし、休眠顧客を放置しておくと、彼らは競合他社に流れてしまうリスクが高まります。競合他社がより魅力的なオファーやサービスを提供した場合、顧客はそちらに目を向ける可能性があるため、タイムリーな対応が必要です。

掘り起こしのための基本ステップ

休眠顧客の掘り起こしを効果的に行うためには、計画的なアプローチが必要です。以下のステップに従って実施することで、より効果的に再アクティブ化を狙うことができます。

ステップ1:顧客データの分析

まずは、休眠顧客に関する詳細なデータを分析することから始めます。
顧客が最後に購入した商品やサービスの種類、購入時期、そしてそれ以降の顧客とのやり取りを確認し、なぜ購入が途絶えたのかを理解することが重要です。顧客が購買をやめた理由として、価格の高さや商品の魅力が薄れた、あるいは競合他社のサービスに切り替えたといったような原因を探ります。

ステップ2:セグメンテーション

次に、休眠顧客をセグメントに分けます。
例えば、購入頻度の高かった顧客、過去に大口注文をしていた顧客、特定の商品カテゴリーに興味を持っていた顧客など、異なる特性に基づいてグループ分けを行います。これにより、各セグメントに対して最適なアプローチを考案することができ、パーソナライズされたメッセージを届けることが可能になります。

ステップ3:アプローチ方法の選定

セグメント化された顧客に対して、適切なアプローチ方法を考えます。
メールや電話、ダイレクトメールなどの手法を組み合わせて使用することが効果的です。アプローチの際には、顧客が興味を持つようなオファーや特典を提供し、購入の動機付けを行います。

具体的な掘り起こし方法

休眠顧客を再びアクティブにするためには、以下のような方法が一般的です。これらを複合的に活用することで、顧客の再エンゲージメントを狙います。

メールマーケティング

メールマーケティングは、休眠顧客に対する再アプローチ手段として非常に有効な方法の一つです。メールはコストが低く、個別にカスタマイズされたメッセージを送ることができるため、顧客ごとに異なるオファーを提供することが可能です。たとえば、以前購入した商品のアップデート情報や、それに関連する特別割引を提供することで、顧客の興味を再び引き戻すことができます。

ダイレクトメール(郵送)

デジタルマーケティングが主流となっている時代でも、物理的な郵送物であるダイレクトメール(DM)は顧客の関心を引く効果的な手段です。特に、パーソナライズされたDMは顧客に特別感を与え、再エンゲージメントを促すのに有効です。印刷コストの問題もあるので、メールのように詳細にパーソナライズされたDMを用意することは現実的には難しいかもしれませんが、できる限り「マスに全員に郵送している感」を消し、「あなたのための特別なお知らせ感」が出るように工夫をしましょう。

テレマーケティング(電話)

電話は、特にBtoB分野で有効な手法です。電話によって顧客と直接コミュニケーションを取ることで、顧客の抱えている課題やニーズを把握し、それに応じた解決策を提案できます。個別のサポートやフォローアップを丁寧に行うことで、顧客は信頼感を持ちやすくなり、再アクティブ化の可能性が高まります。

営業担当による直接訪問

特に大口顧客や長期にわたって取引のあった顧客に対しては、営業担当者が直接訪問することも有用です。訪問時に顧客の現在の状況や課題を確認し、それに基づいた提案を行うことで、顧客のニーズに応える形で再エンゲージメントを図ることが可能です。例えば、新しい製品ラインやサービスの紹介、既存の契約内容の見直しなどを提案することで、顧客との関係を強化できます。

成功事例と顧客情報管理基盤整備の重要性

例えば、弊社のクライアント企業である不動産会社様では、休眠顧客にDMを送付し、その後フォローアップの電話を実施した結果、契約率が向上しました。このように、複数の方法を組み合わせることで、より高い効果が期待できます。
また、アパレルECサイト様では、顧客の誕生日に特別なオファーを含むDMとメルマガを同時に送付し、その結果、ウェブサイトへの訪問数と商品購入数が増加しました。「誕生日」という特別感を演出することで、顧客の関心を引き戻し、再アクティブ化を成功させた事例です。

こうした事例からもわかるように、休眠顧客に対しては「複数の方法を組み合わせる」「パーソナライズされた特別感を出す」ことが重要です。そのためには、CRMやSFAなどのツールを活用し、顧客データを一元管理することで、効果的なタイミング・効果的な内容を考案できるような顧客情報管理基盤を整えておくことも大切です。

さいごに

いかがでしたでしょうか?
休眠顧客の掘り起こしは、単なる売上向上を狙う短期的な施策ではなく、顧客との信頼関係を再構築し、長期的なビジネス成長を目指す効果的なマーケティング戦略です。新規顧客の獲得ばかりに注力するのでなく、既存顧客との関係を維持し、休眠顧客を再びアクティブにすることが企業の成長には欠かせません。

顧客データの分析を通じてターゲットを明確にし、各顧客に最適なアプローチを行うことで、持続的な顧客エンゲージメントを実現することができます。あなたもぜひ、休眠顧客の掘り起こしに取り組んでみてください。きっと売上の向上につながるはずです!

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この記事を書いた人

株式会社ピージェーエージェント代表取締役。中央大学理工学部卒業後、NTTコミュニケーションズ株式会社に入社。IT・WEBを活用したデジタルマーケティングに関する法人企業向けコンサルティング業務に従事。顧客の購買プロセスに基づいたマーケティングシナリオ設計、メールマーケティングを基軸としたCRMコンサルティング等、法人企業の売上向上に寄与するコンサルタントとして活躍。その後、2016年、株式会社ピージェーエージェントを設立、代表取締役に就任。ブランド戦略の立案を強みとして、ブランディング・マーケティングに関するコンサルティング事業を展開している。

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