購入者からビジネスの支援者へ!エンゲージメントマーケティングとは

こんにちは。ブランディング・マーケティングに関するコンサルティング事業を展開している、株式会社ピージェーエージェント代表取締役の加藤です。

企業が持続的に発展をしていくためには、ただ単に商品やサービスを売れば良いというだけでなく、顧客との信頼関係を築き、長期的な関わりを持つことが求められています。そのような中で、昨今「エンゲージメントマーケティング」という言葉が注目されています。エンゲージメントマーケティングは、顧客がその企業の商品やサービスに愛着を持ち、共感を抱き、積極的に関与をすることで、ビジネスが持続的に発展をすることを目指しています。特に、SNSやウェブサイトなどを通じて、企業が顧客とコミュニケーションを取る機会にあふれている昨今、エンゲージメントマーケティングは企業にとって無視をすることができない考え方です。

この記事では、エンゲージメントマーケティングの概念や基本戦略、具体的な実践方法についてお話します。顧客のエンゲージメントを高めて、顧客を単なる購入者からビジネスの支援者に進化させるような取り組みのヒントになれば幸いです。

目次

エンゲージメントマーケティングとは

エンゲージメントマーケティングは、単なる企業側からの一方的な宣伝や広告とは異なり、顧客との双方向のコミュニケーションを強化し、深い信頼関係を築くことに焦点を当てています。ここで重要なのは、顧客がその企業の商品やサービスに対して感じる「共感」と「体験」です。共感は、顧客がその企業の価値観や理念に共鳴し、そこに感情的なつながりを感じることによって生まれます。一方、体験は、顧客が企業と接する際に得られる総合的な感覚で、これがポジティブなものであるほど、エンゲージメントは強化されます。

例えば、自分の悩みを解決するための価値のあるお役立ち情報を提供される、特別な割引などのオファーを受け取る、迅速なサポートを受けられるといったような体験が重なれば、その企業に対する信頼は深まります。そしてその結果、顧客は商品やサービスの単なる購入者ではなく、ブランドの「アンバサダー」として振る舞う可能性が高くなります。口コミやSNSでのシェア、レビューの投稿などがその代表例です。

エンゲージメントマーケティングの目的は、顧客が自発的にその企業の商品やサービス、ブランドに関与し、さらにその関与が持続的に続くような仕組みを作ることです。この関与は、単なる商品購入に限らず、SNSでの発言や、友人・家族への紹介といった広範な活動も含みます。従来のマーケティングでは、キャンペーンや広告を通じて「購入」を促すのが主な目的でしたが、エンゲージメントマーケティングは「関係性の強化」を軸にしています。これは、単なる一時的な成果よりも、長期的なビジネス成長を支える重要な要素です。

顧客体験の最適化

エンゲージメントマーケティングを成功させるための鍵となるのが、顧客体験(Customer Experience, CX)の最適化です。顧客体験は、顧客が商品やサービスに触れるあらゆる場面、すなわちウェブサイト、実店舗、SNS、カスタマーサポートなど、全ての接点で感じる体験を指します。企業はこれらの接点において、顧客にポジティブな体験を提供しなければなりません。なぜなら、顧客が満足する体験を得られた場合、その顧客は企業に対してより深い愛着を持ち、長期的な関係を築くことになるからです。

例えば、Eコマースの顧客であれば、サイトの使いやすさや配送スピード、商品到着後のフォローアップメールといった要素が重要です。一方で、実店舗を持つ企業の場合、店舗でのスタッフの対応や店舗の雰囲気、さらには優良顧客向けの特別限定対応などが大きなポイントとなります。どのチャネルであれ、顧客が快適かつ満足できる体験を提供することが、エンゲージメントを高める鍵となります。

また、顧客体験の最適化には、データの活用も重要です。顧客データを活用して、顧客の嗜好や行動を分析し、それに基づいてパーソナライズされたサービスやコンテンツを提供することが求められます。例えば、以前購入した商品に基づいて関連する商品を提案する、特定の顧客セグメントに対しては、特別なオファーやプロモーションを提供するなど、個別対応が可能です。これにより、顧客は自分が大切に扱われていると感じ、より強いエンゲージメントが生まれます。

マーケティングオートメーションの役割

顧客とのエンゲージメントを強化する上で、マーケティングオートメーション(MA)ツールの導入は、今や欠かせないものとなっています。マーケティングオートメーションとは、顧客データに基づき、自動化されたコミュニケーションやマーケティング施策を実行できるツールのことです。これにより、企業は効率的かつ個別化されたアプローチを実現でき、結果として顧客とのより深いエンゲージメントを築くことが可能となります。

例えば、顧客が特定の商品ページを訪れた後、その商品に関連するコンテンツやキャンペーン情報を含むメールを自動的に送信することができます。また、一定の期間ウェブサイトを訪れていない顧客に対して再訪を促すメールを送るといったことも簡単に行えます。これにより、個別のニーズや興味に応じたタイムリーなコミュニケーションが可能となり、エンゲージメントの維持と向上が図れます。

マーケティングオートメーションの利点は、単に作業の自動化だけではありません。大量のデータを処理し、パーソナライズされた施策を実行することで、顧客一人ひとりに合った最適な体験を提供できる点が挙げられます。さらに、マーケティングの成果を分析し、次のアクションを計画するためのデータも提供してくれます。これにより、施策の効果をリアルタイムで確認し、即座に改善策を講じることができるため、PDCAサイクルを迅速に回すことが可能です。

KPIの設定と効果測定

エンゲージメントマーケティングを進める上で欠かせないのが、効果を測定するためのKPI(Key Performance Indicator, 重要業績評価指標)の設定です。エンゲージメントを測る指標には様々なものがありますが、例えばSNSのエンゲージメント率があります。これは「いいね」やコメント、シェアといった顧客の行動を数値化したもので、どれだけ顧客がブランドに対して関与しているかを示します。

加えて、メールマーケティングにおいては、メールの開封率やクリック率が重要な指標となります。これにより、顧客が送信された情報にどの程度関心を示したか、そして次のアクションに繋がったかを確認することができます。また、ウェブサイトの訪問頻度や滞在時間、購入後のレビュー投稿や再購入率もエンゲージメントを測る上で重要です。また、以前の記事でもご紹介した顧客生涯価値(LTV)は、顧客が長期間にわたってどれだけの価値をもたらすかを測る指標として注目されています。

KPIの設定と追跡を行うことで、企業は顧客のエンゲージメントの向上度合いを把握し、効果のあった施策や改善すべきポイントを明確にすることができます。定期的にこれらのデータを分析し、次のマーケティング施策に反映させることで、エンゲージメントマーケティングはより効果的に機能します。

さいごに

いかがでしたでしょうか?
エンゲージメントマーケティングは、単に短期的な売上を追求するのではなく、顧客との長期的な関係構築を重視するマーケティング手法です。顧客がその企業に対して感情的なつながりを持ち、積極的に関与することで、持続的なビジネスの成長を支える基盤が作られます。顧客体験の最適化、マーケティングオートメーションの活用、そしてKPIの適切な設定と効果測定によって、エンゲージメントを高めることができれば、企業は顧客ロイヤリティを獲得し、競争の激しい市場で優位に立つことができます。

今後もエンゲージメントマーケティングは、ビジネスの成功において中心的な役割を果たすはずです。企業は常に顧客の視点に立ち、彼らにとって価値のある体験を提供し続けることが求められます。エンゲージメントマーケティングをうまく活用し、顧客との関係を深め、企業のファンを増やしていきましょう!

デジタルマーケティングを基礎から総合的に学ぶには

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この記事を書いた人

株式会社ピージェーエージェント代表取締役。中央大学理工学部卒業後、NTTコミュニケーションズ株式会社に入社。IT・WEBを活用したデジタルマーケティングに関する法人企業向けコンサルティング業務に従事。顧客の購買プロセスに基づいたマーケティングシナリオ設計、メールマーケティングを基軸としたCRMコンサルティング等、法人企業の売上向上に寄与するコンサルタントとして活躍。その後、2016年、株式会社ピージェーエージェントを設立、代表取締役に就任。ブランド戦略の立案を強みとして、ブランディング・マーケティングに関するコンサルティング事業を展開している。

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