「ミエルカヒートマップ」でLP改善!実体験から学んだ課題発見とウェブサイト改善のプロセス

ウェブサイトを運営していると、セッション数やエンゲージメント率、コンバージョン数など、数値で示される指標を日々追いかけている方は多いことでしょう。

しかし、「ユーザーが実際にどこを見て、どこで行動を止めているのか?」を数字だけで解釈するのは容易ではありません。そこで近年注目を集めているのが、ユーザー行動を可視化するヒートマップツールです。

こんにちは、エスファクトリーの井水です。
本記事では、実際にWACAサイトに「ミエルカヒートマップ」を導入し、課題発見から改善施策実行・成果検証まで行ったプロセスをデータを元に詳細にご紹介します

目次

ミエルカヒートマップでわかること

ミエルカヒートマップはウェブサイトのユーザー行動を視覚的に解析するツールです。
どこまで読んだのか、どこを熟読しているのか?どこをクリックしたのかを色の濃淡でわかりやすく表現します。

ヒートマップツールを使えば、Googleアナリティクスでは分析が難しい、1ページ内の課題や改善ポイントを見つけ出すことができます。

熟読エリアの可視化
終了エリアの可視化
クリック位置の可視化

分析対象ページ

今回分析の対象は以下「ウェブ解析士とは」というページです。

このページは、指名検索での流入も多く、新規で訪れる方が大半でした。しかし、コンバージョン(試験申込み)につながる率が低く、数値的には「キーイベントレートが1%以下」でした。

ページ構成は以下のようなものです。

  • 学習内容
  • 認定までの流れ
  • 費用
  • 学習時間
  • 資格維持について
  • よくある質問
  • その他のウェブ解析士認定講座

通常であれば、ファーストビューで興味喚起→学び方や流れを把握→試験スケジュール確認、といった流れを想定していましたが、期待する成果が出ていない状況でした。

ミエルカヒートマップによる問題発見

早速ミエルカヒートマップを導入し、1週間ほどデータを蓄積してから見えてきた課題は以下です。

アテンションヒートマップで判明した問題点

「学習内容」コンテンツ
熟読率:10.92%
「認定までの流れ」や「費用」のコンテンツ
熟読率:39.81%

ファーストビュー直下の「学習内容(テキストの項目)」コンテンツは熟読率が10.92%と10人に1人しかよく読んでいないことがわかりました。一方で、その下の「認定までの流れ」や「費用」に関するコンテンツは濃赤色が示す通り、高い箇所は熟読率が40%ほどもありました。

スクロールヒートマップで判明した問題点

「学習内容」箇所まで44%離脱
この時点で赤色ではなくなる。
その後のコンテンツでは24%の離脱

ファーストビューからワンスクロールした「学習内容」コンテンツまでに44%が離脱していることがわかりました。またフッター手前では32%のユーザーが残っていることから、その間の離脱は24%と比較的コンテンツ途中での離脱が低いことがわかりました。

クリックヒートマップで判明した問題点

冒頭にページ内ではなく他ページ(ウェブ解析士以外)のリンクがあり誘導されてしまっている。

冒頭に「講座の種類と認定レベル」のボタンがあり、よく押されていましたが、このボタンはページ内リンクではなく他の(講座案内一覧)ページへ遷移するボタンでした。

また下部に配置されている試験を受ける方が進むページのボタンもよく押されていましたが、前のヒートマップデータからわかるように、この時点では多くのユーザーが離脱しているしていることから、試験に申し込もうと思っている人にも見られていないのでクリックされない、、、という衝撃の課題が見つかりました

改善施策の立案と実行

ヒートマップ分析から得た気づきを元に、次のような改善案を検討・実施しました。

改善案1:コンテンツの順番を変更

途中で熟読率、精読率が低い箇所があり、また熟読率が高まるエリアがありました。この熟読率が高いエリアをより上部に持ってくることで、それまで離脱していた人にも見てもらえる可能性があると考えました。

熟読率が高いエリアを上に持ってくる

改善案2:冒頭のリンクボタンをスケジュールページへ変更

冒頭のリンクはクリックされてはいるものの次につながらず、該当ページのコンテンツを読む前に離脱してしまう要因になっていました。

リンクを削除してページ内のコンテンツをしっかり読んでもらうことも考えましたが、直感で申し込みのアクションに移る方やリピーターも一定数がランディングしてくるページということも考えて、すぐ申し込みに繋げるためのリンクに変更しました。

回遊を促すボタンからCall to Actionに変更

改善後の結果検証

施策実行後、再びミエルカヒートマップで10日間ほどデータを蓄積しました。結果は以下の通りです。

熟読率エリアの改善

ページ上部(離脱が増える前の)コンテンツにおける濃赤エリアが増えたことからわかるように、資格取得の流れや費用など受験生が気になる内容をしっかり読んでもらえたことがわかります。

ページ上部の熟読率が改善

遷移率の向上

該当ページから試験詳細(申し込みページ)に遷移する割合が
4.9%→14.8%に向上しました。その結果コンバージョンにも良い影響がでました。

コンバージョン数(率)の向上

改修した日は11/25日だったので前後10日間で比較を行ったところセッション数はほぼ同じだったにもかかわらず、キーイベントが20→36に向上し、キーイベントレートは0.87%→1.57%と0.7ptも改善されました

前に述べた熟読エリアの改善でもわかるように、セッションあたりの平均エンゲージメント時間も35秒増えて29.44%の改善がみられました。

サイトに訪れた人の数はほぼ同数の中、平均エンゲージメント時間、キーイベント、キーイベントレートが大幅に向上。改善が見られた。

*比較前を直前の24日からにしなかったのはサイトの特性上、土日にセッションが減る傾向があるので曜日を揃えた前後10日間で計測

まとめと今後の展望

ミエルカヒートマップを用いたことで、これまでGA4の数字だけでは見えなかったユーザー心理に近づき、的確な改善を行うことができました
遷移率やキーイベントレートといった定量的な指標だけでなく、ユーザーの注目度や行動パターンを直感的に把握することで、コーダー(制作者)との連携もしやすくなりました。
また、具体的な成功体験は、WACAでのノウハウ共有・教育にも大いに役立ちそうです。

ミエルカヒートマップは、単なる分析ツールではなく、継続的なサイト改善の起点となる存在でした。

今後の展望
ヒートマップを活用した改善は一度で完成するわけではなく、新たなキャンペーンを打った際や、季節要因、ユーザー属性の変化に合わせて、定期的にミエルカでページを観察し、必要なら再びコンテンツやデザインをアップデートしていくことが重要とも感じました。

今回は1ページだけの改善でしたが、他の重要ページ(問い合わせフォーム自体の最適化やブランド紹介ページなど)にも活用してWebサイト全体でPDCAを回し、継続的にサイト改善による成果を上げていくと共に、ミエルカヒートマップの別機能でもあるABテスト機能との組み合わせで、さらなる最適化を目指す予定です。

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デジタルマーケティングを基礎から総合的に学ぶには

Google アナリティクスをはじめとしたGoogle系のツールは、その使い方を知ることも大切ですが、使うための戦略や設計が必要です。それは、ビジネスに成果をもたらすために必須の考え方です。

ウェブ解析士協会では、このようなデジタルマーケティングの基盤となる「ウェブ解析」を体系的に学べる環境と、知識・技術・技能に一定の評価基準を設け、あらゆるデータから事業の成果に貢献する人材を育成しています。

「ミエルカヒートマップ」でLP改善! 実体験から学んだ 課題発見とウェブサイト改善のプロセス

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この記事を書いた人

webサイトの制作や運用コンサルティングを中心に、企業のデジタルマーケティングの「作戦」を練り実行の支援を行っている株式会社エスファクトリー の代表。アクセス解析データを活用した売上アップにつながる改善施策を得意としている。
これまで延べ15,000人以上にセミナーや研修を実施。

「CSS Nite2018ベスト・セッション受賞」「CSS Nite2019ベスト・スピーカー(次点)受賞」「ウェブ解析士アワードを過去5年にわたり受賞」

著書・寄稿、『コンバージョンを上げるWebデザイン改善集(マイナビ出版)』、『1週間でGoogleアナリティクス4の基礎が学べる本 (インプレス)』『SNSマネージャー認定試験公式テキスト』、『Web担当者forum』、『WebDesigning』など多数。
Web担当者Forumにて「楽しく学ぶアクセス解析&サイト改善」を連載。
大阪出身。趣味は旅とバスケ。

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