リピート率を向上させるCRM(顧客関係管理)とは?

こんにちは。ブランディング・マーケティングに関するコンサルティング事業を展開している、株式会社ピージェーエージェント代表取締役の加藤です。

企業が成長するためには、顧客のリピート率の向上が欠かせません。多くの企業が新規顧客の獲得に力を入れがちですが、実は既存顧客を維持する方がコストを抑えながら、より効率的に利益を生むことができます。以前の記事でもお伝えしましたが、マーケティングの世界では「新規顧客に対して商品を販売する労力は、既存顧客に対して商品を販売する労力の5倍である」とも言われており、いかにリピート顧客を増やすかが企業の収益を大きく左右します。

この記事では、CRM(顧客関係管理)を活用してリピート率を向上させる方法について解説します。CRMを活用することで、顧客一人ひとりに最適なアプローチを行い、長期的な関係を築くことが可能になります。リピート率を向上させるための考え方を知り、企業の成長につなげていきましょう!

目次

リピート率を向上させるCRMの基本

CRMの定義と役割

CRM(Customer Relationship Management)は、企業が顧客との関係を管理し、長期的な関係を築くためのシステムや戦略を指します。単なる顧客データの管理にとどまらず、購買履歴、行動データ、嗜好情報などを統合し、パーソナライズされたアプローチを可能にするツールでもあります。

CRMがリピート率向上に必要な理由

リピート率向上には、顧客の購買履歴や嗜好を把握し、適切なアプローチを行うことが必要不可欠です。CRMを活用することで、顧客データを一元管理し、一人ひとりに合わせた効果的なマーケティング施策を展開できるようになります。

CRM導入によるメリット

CRMを導入することで、企業は顧客データを活用した精度の高いマーケティングが可能になり、リピート率の向上だけでなく、業務の効率化や売上の安定化にも寄与します。ここでは、具体的なメリットをいくつか詳しくご紹介いたします。

顧客データの可視化と統合管理

CRMを活用すると、顧客の購入履歴や問い合わせ情報、過去の対応履歴などを一元管理できるようになります。これにより、各部門(営業・マーケティング・カスタマーサポートなど)が同じデータを参照しながら業務を進めることが可能になります。たとえば、カスタマーサポート部門が顧客対応をする際、過去の購買履歴や問い合わせ履歴を即座に確認できることで、よりスムーズで的確な対応が可能となります。

ターゲットマーケティングの最適化

CRMでは、顧客を年齢、性別、購買履歴、興味関心などでセグメント化し、それぞれに最適なマーケティング施策を展開できます。たとえば、ECサイトで過去に購入した商品カテゴリに基づいて、関連商品や割引キャンペーンの情報をメールやLINEなどで配信することで、購買意欲を高めるといったような施策が可能になります。

LTV(顧客生涯価値)の向上

以前の記事でもお伝えした通り、LTVとはLife Time Value(ライフタイムバリュー)の略で、顧客の生涯価値のことです。マーケティングにおいては、このLTVを最大化することが重要になります。

CRMを活用して適切なフォローアップやリテンション施策を行うことで、顧客が長期間にわたって企業のサービスを利用し続ける可能性が高まります。たとえば、定期購入型のビジネスでは、購入頻度に応じて特典を提供することで、顧客が長くサービスを利用し続けるモチベーションを高めることができます。

売上の安定化と予測精度の向上

CRMに蓄積されたデータを活用することで、売上の予測精度を向上させることが可能になります。過去の購買データを分析し、特定の時期やキャンペーン時の購買傾向などを把握することで、より精緻な経営戦略・販売戦略を立てることができます。

CRM活用施策の事例

ここでは、弊社のクライアント企業様において実際に行ったCRM施策の事例をいくつかご紹介いたします。

ロイヤリティプログラムの活用

生活雑貨の小売店舗様において、リピート率を高めるためにポイントカードを導入しました。平均して約10回程度の購入で1回分が無料になるような仕組みを作ることで、常連客の来店頻度が向上。さらに、ポイント残高の通知を送ることで、再訪問を促すことで、来店者数が大幅に増えました。

メール・LINEマーケティング

美容サロン様において、来店後1週間以内に再予約をすると10%オフになるクーポンをメールとLINEにて配信をするという施策を実施しました。その結果、リピート来店率が従来から飛躍的に向上し、売り上げが向上しました。

フィードバックの収集と活用

飲食店様において、来店時にQRコードでアクセスできるアンケートを提供。回答すると次回使える100円割引券がもらえる仕組みを導入し、顧客の意見を収集できるようにしました。その結果、メニューやサービス、接客の品質向上に活かすことができ、顧客満足度が向上しました。

CRM活用のトレンドと今後の展望

AIとデータ分析の進化

近年、AI(人工知能)を活用したCRMシステムが急速に普及しています。AIを導入することで、過去の顧客データを分析し、購入の傾向や行動パターンを予測することが可能になります。たとえば、ECサイトでは、AIが顧客の閲覧履歴をもとに「次に購入しそうな商品」をレコメンドすることで、リピート率の向上を実現することも可能です。

また、AIを活用したカスタマーサポートも進化しており、チャットボットや音声アシスタントが顧客対応を行うケースが増えています。これにより、問い合わせ対応の負担を軽減しつつ、迅速で一貫性のあるカスタマーサポートを提供できるようになっています。特に、顧客の過去の問い合わせ履歴をAIが参照し、適切な回答を即座に提示するような機能は、サポートの質を向上させる重要な要素として注目を集めています。

モバイルCRMの活用

スマートフォンの普及に伴い、モバイルCRMの重要性が高まっています。従来、CRMはパソコンのデスクトップ端末を中心に考えられることが多かったですが、営業担当者などが外出先でもリアルタイムで顧客データにアクセスし、情報を更新できるモバイル対応のツールが増えています。

例えば、営業担当者が外出先で顧客との打ち合わせを行った際、その場でCRMにメモを追加し、社内のチームと即座に情報を共有できるような仕組みです。これにより、社内の情報共有がよりスムーズになり、顧客対応の一貫性が保たれます。

また、小売業などの店舗ビジネスにおいては、店頭スタッフがタブレット端末を使い、顧客情報をその場で確認しながら接客できるようにもなってきています。たとえば、顧客が過去に購入した商品を参照し、「以前こちらの商品をお買い上げいただきましたが、お使い心地はいかがですか?」といった会話をスムーズに進めることが可能になります。

SNS・コミュニティの活用

SNSを活用したCRM戦略も近年注目されています。従来のメールや電話による顧客対応に加え、FacebookやInstagram、X、LINEなどのSNSを活用して顧客と継続的な関係を築く手法が増えています。

例えば、地域のカフェがInstagramのストーリーズを活用して「本日限定の特別メニュー」を告知し、リピーターに向けたインセンティブを提供するケースなどがあります。また、Facebookグループを活用し、自社ブランドのファンコミュニティを形成することで、顧客同士の交流を促し、ロイヤリティの向上を図る企業もあります。

LINEの公式アカウントを活用したマーケティング施策も増えており、クーポン配布やセグメント別メッセージ配信を通じて、よりパーソナライズされたコミュニケーションも可能になってきています。

パーソナライズドマーケティングの進化

CRMを活用したパーソナライズドマーケティングは今後さらに進化していくと考えられます。顧客の購買履歴、サイトの閲覧履歴、問い合わせ内容など、ありとあらゆるデータを統合し、個別のニーズに応じたメッセージを配信するような企業が増えてくることが予想されます。

例えば、ECサイトでは「あなたへのおすすめ」としてAIが商品をレコメンドし、さらにリピーター向けの特別割引や誕生日クーポンを自動配信するなど、個々の顧客に最適化されたアプローチが可能になっていきます。

また、リアル店舗での接客においても、過去の来店データをもとに「前回お買い上げいただいた○○はいかがでしたか?」といったフォローアップを自動で行う仕組みが導入されるなど、CRMによる変革が起こってきています。

さいごに

いかがでしたでしょうか?CRMを活用することで、企業は顧客との関係を強化し、リピート率を向上させることができます。売上の安定化やLTVの向上には、CRMの活用は必要不可欠です。まずは、できる範囲での基本的な取り組みから始め、最新のツールなどのテクノロジーも徐々に活用を進めていきながら、企業として持続的な成長を実現しましょう!

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この記事を書いた人

株式会社ピージェーエージェント代表取締役。中央大学理工学部卒業後、NTTコミュニケーションズ株式会社に入社。IT・WEBを活用したデジタルマーケティングに関する法人企業向けコンサルティング業務に従事。顧客の購買プロセスに基づいたマーケティングシナリオ設計、メールマーケティングを基軸としたCRMコンサルティング等、法人企業の売上向上に寄与するコンサルタントとして活躍。その後、2016年、株式会社ピージェーエージェントを設立、代表取締役に就任。ブランド戦略の立案を強みとして、ブランディング・マーケティングに関するコンサルティング事業を展開している。

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