株式会社まぼろしの益子です。
今回は、ウェブデザインが苦手と感じている人にオススメしたい1冊を紹介します。
ここ数年、ビジネスにおけるデザイン思考の大切さ、イノベーションでのデザイン戦略の役割が強く認識されています。
たとえば、マッキンゼーがLUNARを、アクセンチュアがFjord(フィヨルド)を、PwCがDigital Servicesを、キャピタル・ワンがAdaptive Pathを、博報堂DYホールディングスがIDEOを傘下におさめました。
ウェブのスキルは、「デザイン、テクノロジー、マーケティング」の3つに分けられます。これらが融合してこそ、よいアウトプットが生み出され、継続的な発展の可能性を高めます。実際、ウェブサイト制作という仕事でも、納品して終わりではなく、その後の運用やマーケティングを提案できること、業務をサポートできることが、ますます重要になっています。
人間はそうそう器用にはなれないもので、3つの分野すべてに通じている人はなかなかいません。特に、デザインは「スキル」よりも「センス」が問われると思って、苦手意識を払拭できないままでいる人が多いようです。
とはいえ、デザインにまったく無頓着でよい時代ではありません。自分ではデザインができなくても、出されたもののクオリティやプロジェクトゴールとの整合性をジャッジできないと、高いレベルの仕事ができなくなっているのです。せっかくのよいデザインを生かすも殺すも、責任ある立場の人の理解力次第です。
この1冊でデザインの苦手意識を解消
デザインに苦手意識を持っているマーケターやディレクターにお勧めしたいのが、『いちばんよくわかるWebデザインの基本きちんと入門』(伊藤庄平・益子貴寛・久保知己・宮田優希・伊藤由暁著、SBクリエイティブ刊)という本。
レイアウト、配色、タイポグラフィといったデザインの基本的な考え方から、写真と図版の使い方、HTML5とCSS3、アニメーションやインタラクションなどのテクノロジー、運用とマーケティングまでをカバーした骨太な本です。わたしも著者のひとりとして、主にマーケティングの部分を担当しています。
本書の特徴は、次の3つです。
1. 実例をたくさん掲載
実際のサイト例がフルカラーで豊富に掲載されており、本そのものがデザインショーケースのような印象です。ディレクターであれば、ワイヤーフレームを作るときのアイデア集やベンチマーク集としても利用できます。
よいデザインにたくさん接することでしか、デザインをジャッジする力は高まりません。本書にひととおり目を通せば、数多くの魅力的なサイトに触れられます。
2. マーケティングの話題が豊富
マーケターやディレクターがデザインを学ぶ際は、いつも仕事で使っている脳や神経と異なる部分を使うため、どうしても大きなストレスがかかりがちです。
本書には、運用、KPI設定、リスティング広告、SEO、LPO、ソーシャルメディアマーケティング、Google アナリティクス、Google Search Console、Google タグマネージャなど、マーケティングに関する話題をたくさん収録しています。これらがよいリエゾンとなり、デザインの理解を助けてくれるでしょう。
3. 半歩先を行く内容をきちんとカバー
主にテクノロジーの観点から、現在の利用環境を踏まえた標準実務やベストプラクティスを示しています。また、縦書きのウェブデザイン、新しいレイアウト手法であるFlexible Box Layout(Flexbox)、マイクロインタラクション、SVGやWebGLなど、半歩先を行く内容もきちんとカバーし、これからもデザインを学びつづけるためのガイドを提供しています。
本書が、デザインに対するみなさんの苦手意識の克服、デザインを理解し、適切にジャッジするスキルの向上に役立てば幸いです。