株式会社まぼろしの益子貴寛です。
ここ数年、SEOからSXO(Search Experience Optimization、検索体験の最適化)という流れや、検索キーワードの「not provided」化などの影響で、SEOのKPI設定や効果検証のあり方が変わってきています。
実務的に考えると、大規模サイトではテクニカルな施策が重要ですが、中小規模のサイトにおいて複雑な施策が必要なケースはほとんどありません。コンテンツ制作の面でSXOを意識するくらいが一般的でしょう。
たとえば、魅力的なページタイトルにする、理解しやすいコンテンツを心がける、カテゴリー設定やタグづけを工夫する、コンバージョン動線(CTA)をわかりやすく掲載するといった、検索ユーザーはもちろん、広くすべてのユーザーを視野に入れた施策がほとんどです。
オウンドメディアの場合は、これらに加えて「あるキーワードでの流入を期待したコンテンツを考える」という、いっそうメタな作業がありますが、ページ単位では上記のような施策を行うことでユーザー体験を担保します。
それでは、これらの基本的な施策に関する
- 検索流入数の増減(GSC)
- 新たな流入キーワード(GSC)
- 検索流入からのコンバージョンの増減(GA)
の3つを、Google Search Console(GSC)とGoogle アナリティクス(GA)で計測する方法を見ていきましょう。
1. 検索流入数の増減(GSC)
検索エンジンからの流入数(検索流入数)は、GSCの「検索アナリティクス」で確認します。
赤枠で囲んだ4つの指標のうち、「合計クリック数」がサイトへの流入数に該当します。ほか、検索結果画面での「合計表示回数」、平均クリック率を表す「平均CTR」(=合計クリック数÷合計表示回数)、そのキーワードで検索したときに平均何位で表示されるかを表す「平均掲載順位」と続きます。
おおむね、「合計クリック数」や「合計表示回数」が増えると、「平均CTR」や「平均掲載順位」は下がる傾向があります。いわば「量が増えると質が下がる」ということです。たとえば、合計クリック数(量)を増やす施策と、平均CTR(質)を高める施策を同時に行うと、指標上では相殺し合ってしまい、効果検証がむずかしくなることを覚えておきましょう。
さて、検索流入の増加を目的としたコンテンツ改善では、「合計クリック数」をKPIとして用いるとよいでしょう。たとえば「合計クリック数を1.2倍にする」といった目標を立てることができます。実際にどうだったかは、「日付」の「期間を比較」で、改善前と改善後の期間を比較して検証しましょう。
このように、改善前と改善後のパフォーマンスを比較することで、効果を検証できます。
なお、現在のGSCでは過去90日間のデータが表示できますが、効果検証の際はもっと前の期間のデータを見たり、比較したいケースがあるでしょう。新しいGSC(現在ベータ版)では過去16か月のデータが表示できますので、こちらを使いましょう。
2. 新たな流入キーワード(GSC)
検索エンジンからの新たな流入キーワードは、検索流入数と同じく、GSCの「検索アナリティクス」で確認します。画面を少しスクロールすると、流入キーワードが確認できます。
「日付」の「期間を比較」で、改善前と改善後の期間を比較してみましょう。
一覧のうち、前期間になかったキーワードが、新たな検索流入キーワードです(データなしを意味する「~」が表示されている行)。
ヘッダー行で前期間の「クリック数」をクリックすれば、「~」のキーワードから並べ替えられるので便利です。データを加工したい場合は、CSVでダウンロードして並べ替えるとよいでしょう。
3. 検索流入からのコンバージョンの増減(GA)
検索流入からのコンバージョンは、GAの「集客」から「チャネル」を開き、「Organic Search」の行を見ると確認できます。
検索流入数だけでなく、コンバージョンへの貢献が求められる場合は、「Organic Search」のコンバージョン数(目標の完了数)やコンバージョン率をKPIとして設定します。
改善前と改善後の期間を比較すれば、効果を検証できます。
まとめ
SEOからSXOの時代となり、すでに解説したようなページ単位での施策だけでなく、
- Google マイ ビジネスの活用
- 構造化データの提供
- 信頼性の高い情報発信
- 常時SSL化による安全な閲覧環境の提供
- AMP(Accelerated Mobile Pages)への対応
- PWA(Progressive Web Apps)への対応
など、より幅の広い取り組みが求められるようになっています。
コンテンツ制作においても、「Content is King」から「Context(文脈)is King」へと要件が変化しています。上記のような効果検証に加えて、滞在時間、直帰率、離脱率、再訪率などの指標にも目を向け、改善しつづけることが大切です。