ごめんください。ウェブ解析士マスターの小杉です。
A/Bテストといえば、「やってみたいけど難しそう」ランキングの1位を争う印象が強いのではないでしょうか。有料ツールしかなく、面倒な設定をしなければならなかったのも過去の話。今では無料で簡単に試すことができます。そのツールこそ、Google オプティマイズ。Google アカウントがあれば、すぐに使えてしまいます。
そのツールを使いこなすための書籍、「Googleオプティマイズによるウェブテストの教科書」の出版記念セミナーが、先日、新宿のミライナタワー マイナビルームにて開催されました。
井水さん:失敗するパターンは決まっている
オバマ大統領が多変量テストで70億円の効果を出したことから、「オプティマイズをすると合衆国大統領になれる」というネタで会場の温度を上げた(?)井水さん。業界を盛り上げていきたいという思いを持って活動しています。
「失敗するパターン(失敗するウェブテスト)は決まっている」ということで挙げられていたのは、以下の4点。
- 目標が明確でない → 「SMART」で解決
- 課題がわかってない → インパクトファースト
- 仮説がない → 納得を得る仮説が必要
- 継続しない(やって成果でたけど)→ 失敗する(PDCAを回す)
データを味方につけてウェブサイトを改善していきましょうという、冒頭にふさわしいお話でした。
工藤さん:Google オプティマイズのライブ導入
工藤さんは「とりあえずやってみよう!」という前向きかつ精力的な精神で、企業に属する傍ら、小川卓さんの会社、株式会社HAPPY ANALYTICSの「秘書」として活動中。小川さんの好みを熟知しており、ランチのお店の選び方などがスゴイという専らの噂です。
セミナーでは書籍の2章をなぞる形で、実際のサイトにオプティマイズの設定を行なうライブが行われました。
再訪問ユーザーを増やしたいという目的の元、設定内容を共有してもらい、「パワポでつくったバナー」で実際にオプティマイズを行っていきます。画像はデザイナーに頼むよりも、速度優先で対応して「やってみる」というところも、工藤さんらしさを感じられました。
画像が表示されないパターン・パターン1の画像・パターン2の画像の3パターンをあっという間に設定し、会場でも実際にアクセスしている方が大勢見られました。
大柄さん:ターゲット設定のコツ
大柄さんは栃木県のウェブ解析士マスターです。お客様に改善の提案をするにも、具体的な根拠や納得感が得られないということがあったため、テストツールを探していたところ Google オプティマイズに出会ったそうです。
今はサイト改善の主力ツールとして Google オプティマイズを活用している大柄さんからは、オプティマイズを行なう対象(ターゲット)のコツが紹介されました。
- ターゲットユーザーのアクセス数はテストを行うにあたって十分か
- 想定外のページに影響していないか
- 「このターゲットユーザーだからこそ」というテストになっているか
ウェブテストはただ行えば良いというものではないことがわかりますね。ちなみに今回のライブでは「新規ユーザーに絞って出したい」という目的だったそうです。やらない理由が見当たらないくらい、取り掛かるためのハードルがガンガン下がっていくのを感じられる時間でした。
針替さん:これってGoogleオプティマイズでできるの?
オプティマイズよりタグマネのほうが好きという爆弾発言(?)をナチュラルに投下した、ナイルの針替さん。Applivの責任者でもあります。これまでの内容とは異なり、ちょっとコアな内容ということで「これってGoogleオプティマイズでできるの?」に対する答えが紹介されました。
結論は「だいたい何でもできます!」とのこと。
確かにライブ導入を見ていた限りでは、画像やファイルはあらかじめウェブサーバーにアップロードしておく必要がある(つまり画像はオプティマイズの画面でアップロードできない)とはいえ、基本的なことは HTML などがわからなくてもツール上でできてしまいます。制作の知識があればできることの幅が一気に広がるので、工夫すれば大抵のことはなんでもできてしまうとのことでした。
これはウェブ制作者大歓喜案件では?
瀧さん:事例モリモリのここだけの話
国内で数少ない Google アナリティクス 360 Suite プレミアセールスパートナーに認定されているNRIネットコムの瀧さんは、一言でいえば「実践者」。事例モリモリのオフレコ話がいくつも紹介されました。
ちなみに、瀧さんが Google アナリティクスの公式サイトに掲載した事例はこちら。
ここでは事例に関しては伏せますが、オプティマイズを行う期間について、小川さんからもお話があったので箇条書きで共有しておきます。
- 月数千件のアクセスでは判断材料として少ない → 認知とA/Bテストの母数を広告で増やした
- 検証期間は2週間で速報を入れ、1ヶ月位やってからレポーティング
- GAで多角的に評価する
- 1ヶ月以上経つとユーザーの環境が変わることがあるからMAX1ヶ月を想定しておくといい
つまり、ウェブテストは2週間〜1ヶ月の期間を想定して行なうと良いということですね。
Tigerさん:小規模サイトの勝ちパターンの探り方
Tiger(大河)さんは、ウェブ解析士マスターですが、今までの方とは打って変わって、業者に任せてサイトをつくったような零細企業をサポートしています。個人的に、大河さんが「Tiger」な理由を本人から聞いたのは初めてのような……?つくって終わりではなく、つくってからもプロデュースしていますが、資金、特にランニングコストが大変な企業が多いため、補助金を使いつつ支援しているそうです。
そんな小規模事業者だからこそできる、コンテンツマーケティングとウェブテストの事例。
ユーザーが何を求めているのかという仮説を立ててウェブテストで検証し、良いものを残していくというサイクルを回すことで、着実に成果の出るサイトを育てていくプロセスは、様々なウェブ制作者が実践できたら中小企業の未来が変わるんじゃ?と思うほどの鮮やかさでした。
小川さん:続かないテストをどうするか
最後に、HAPPY ANALYTICSの小川卓さん。改善サイクルが大事とはいうものの、やっているのは人間ですから、つい後回しにしてしまってやらなくなるということは往々にしてありますよね。そうなるものだという現実に向き合って、「じゃあ続けるためにはどうするか」というポイントが紹介されました。
色々なポイントが紹介された中でも印象的だったのは「最初に必要なのは先導者」ということ。誰かが突き進まないとはじまらないから周りを巻き込んでやっていこうということですね。
なお、今回の小川さんの話はエッセンス的なものでしたが、全貌は以下で読むことができます。
【失敗から示唆を得る】パソナの事例に学ぶ目標を確実に達成するサイト改善 (1/3):MarkeZine(マーケジン)
書籍では事例が割愛されていることもあり、セミナーでは特に事例が多く紹介されていました。それ以上に、概要、実践、導入のコツ、発展、大規模事例、小規模事例、そして継続のコツと網羅された内容で、あっという間の2時間でした。
参加者限定の動画などもあり、たっぷり堪能できたセミナーでした。Happy Optimize!