こんにちは。ブランディング・マーケティングに関するコンサルティング事業を展開している、
株式会社ピージェーエージェント代表取締役の加藤です。
今回は、
ECサイトの売上向上に向けた施策を考える際のポイントについて、お話をいたします。弊社が、実際にECサイトの売上向上施策を考える際に意識をしていることや、考え方のコツなどについて、5つのポイントにまとめて解説を致します。
目次
1:まずは現状を把握する
ECサイトの売上向上に向けた施策を考えるにあたっては、「もっと売れるにはどういうことをすれば良いのか」という具体的な施策を考えることももちろん大切ですが、まずは、自社ECサイトの現状を把握することが非常に重要です。ただ何となく、「ECサイトの売上をさらに上げたい」と考えて、やみくもに施策実行や改善活動に取り組むよりも、「現状ここに課題があるのでそれを改善しよう」「現状のこの数値をこれくらいの数値まで伸ばそう」というように、
現状と目指す姿のギャップを明確にして考えると、やらなければならない事、やった方が良い事がより明確になり、PDCAが回しやすくなります。
その際、弊社では、顧客を
「新規顧客」「再購入顧客」「優良顧客」「離反顧客」と分類し、それぞれに対する定義や目標数値を明確にした上で、各種施策を考えるケースが多いです。
以下に、弊社で用いている簡単なチェックリストを載せておきます。自社ECサイトの現状を把握する際の一助として、参考にしてみてください。
全体像
- 自社の顧客リストを管理できている。
- 顧客のLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)の目標値が設定されている。
新規顧客
- 新規顧客数が計測できている。
- 新規顧客獲得に向けた施策(SEOや広告など)が実施できている。
- 新規顧客の獲得目標値が設定されている。
- 新規顧客の獲得コスト目標値が設定されている。
再購入顧客
- 再購入顧客数が計測できている。
- 再購入顧客獲得に向けた施策(メルマガやLINE@、DMなど)が実施できている。
- 新規顧客から再購入顧客になるリピート率の目標値が設定されている。
優良顧客
- 優良顧客の定義が設定されている。(購入回数や購入頻度、累積購入金額など)
- 優良顧客数が計測できている。
- 優良顧客に対しての施策(サプライズギフトやご挨拶状など)が実施できている。
離反顧客
- 離反顧客の定義が設定されている。(最終購入からxxヶ月が経過など)
- 離反顧客数が計測できている。
- 離反顧客に対しての施策(特別割引キャンペーンなど)が実施できている。
- その他要注意顧客(クレーマーや、返品・キャンセルの多い顧客など)が、把握できている。
2:顧客像を改めて見直す
ECサイト売上向上施策を考えるにあたっては、過去の販売実績データなどを確認・分析しながら、自社の顧客像を改めて見直すことも有用です。長くECサイトを運営している企業の場合、ECサイト担当者、ECサイト責任者、経営者など、
関係者間で、いつのまにか認識の齟齬が出てくることが多いです。
前述の現状把握チェックリストにもありますが、数値に落とし込んで明文化されていないと、「うちの商品やサービスのターゲットとなるお客様はこんな人物像だよね」とか「優良顧客はこんなことをしてくれる人だよね」と、関係者各自が漠然としたイメージで勝手に顧客像を決めてしまい、
気付いたら社内メンバーがバラバラな方向を向いて話をしているケースも少なくありません。
「自社の顧客像」は、ECサイト売上向上施策を考える際や、分析評価をする際など、PDCAを回すための基盤となるもっとも重要な要素の一つですので、定期的に関係者で集まって、
自社の顧客像のすり合わせを実施するようにしましょう。
3:訴求メッセージを練り直す
自社の商品やサービスを訴求するためのメッセージが、ECサイト立ち上げ当初は顧客の心に刺さる効果的なメッセージになっていたにも関わらず、ECサイト担当者が入れ替わったり、目先の売上だけを追い求めすぎた結果、当初の効果的な訴求メッセージからかけ離れたものになってしまっているケースもあります。
「なぜこの商品がオススメなのか」「なぜこのサービスを使ってもらいたいのか」等について、社内の関係者を集め、再度確認し直すことが大切です。訴求メッセージを考える際には、
過去の記事でもお伝えした通り、
機能的価値だけではなく、情緒的価値にフォーカスして訴求メッセージを考えることがコツです。「この機能が優れている」「こんな特殊性がある」という機能面だけではなく、「この商品やサービスを使うと、顧客がどんな良い気持ちになるのか」という情緒面を深く掘り下げて考えてみてください。
4:過去の販売促進施策を振り返る
今までECサイトを運用してきた過程で、広告を使った新規顧客キャンペーンや、メルマガやDMを使った再購入促進キャンペーン、割引セールや福袋など、過去にさまざまな販売促進施策を行なってきたのではないでしょうか。
それらの販売促進施策の結果はきちんと分析できていますか?趣向を凝らしてさまざまな施策を考えて実行はしてきたものの、
やったらやりっぱなしになってしまい、その効果を分析できていないケースが少なくありません。
過去の広告文やメルマガ、DM、チラシなどをもう一度集めてきて、改めて振り返ってみることも、ECサイト売上向上施策を考えるにあたっては有用な方法の一つです。この施策はどれ位の反響があったのかなど、
社内に残っているデータをかき集めて、振り返りの分析をしましょう。もし、反響結果などのデータが数値できれいに残っていなかったとしても、
社員や関係者に声をかけ、彼らの主観のコメントを集める形でも構いません。「うまくいった」「うまくいかなかった」という結果の情報を収集します。それらを元に、新たな販売促進施策を計画する際には、どのようなことを考慮すればさらに効果が高まるかといった観点で考えてみましょう。
5:社内に「使える素材」がないか探してみる
見込顧客へのプロモーションに利用できそうな販売促進資料やセールストークなど、
「使える素材」が社内に眠っていないか探してみましょう。社内の人間にとっては、「そんなことはあたり前だ」「今さらお客様に訴求をしても刺さらない」と思っていたとしても、実は、お客様が興味を持つようなネタが眠っているケースが多いです。
商品開発部門が持っている資料なども使えるかもしれません。「なぜそのデザインにしたのか」「なぜその素材を利用したのか」など、商品作成秘話のようなネタも、お客様に商品に興味を持ってもらうために有用なコンテンツになる可能性があります。このような「使える素材」は、
探してみると意外に多く社内に転がっていたりします。
以前使用していた販促促進資料などの中に、
現在は使っていないオモシロイ表現などが見つかる可能性もあります。実際、とあるECサイトでは、新規顧客獲得用の広告文について、色々と紆余曲折して試した結果、10年程前に使用していた広告文がもっとも反応がよいという結論に至り、現在はその広告文を使用するようにしたというケースもありました。
正解や完成形は無い
今回は、弊社がECサイトの売上向上施策を考える際に意識をしている5つのポイントについてお話ししました。
「1:現状を把握する」「2:顧客像を見直す」「3:訴求メッセージを練り直す」「4:過去の販売促進施策を振り返る」「5:社内に「使える素材」がないか探してみる」など、どれも当たり前といえば当たり前のシンプルなポイントだったと思いますが、非常に大切なポイントです。
販売促進施策に正解や完成形はありません。定期的に振り返りを行いながら、常に新しい施策を考え、実行し、結果を分析し、PDCAを回すことが重要です。
みなさんも、今回ご紹介した5つのポイントを参考に、「どのような施策を打ったら、さらに売上が伸びるだろうか」と創意工夫を凝らしてしてみてください!