さらにアプリは社内作成できるところはまれで、そもそも外注が前提です。アプリをモジュール化して提供するサービスやWebアプリを構築するなど、比較的安くする方法もありますが、外注化することでそれなりのコストがかかります。また、アプリには「更新」というコストがかかります。特に最近はOSのアップデートも頻繁で、その度に追加の費用がかかることも多く、デバイスの大きな変化があればさらに大きな費用がかかります。
問題は、そのコストの大半が顧客側から見て何らメリットのない単にOSのアップデートに伴う修正であっても、そもそも自分の使っているOSでストレスなく動作することは最低限の必要条件であるということです。そのコストと顧客側の利用価値が見合っているのか、というのが今の顧客コミュニケーションの課題なのだと思います。
告知し、インストールしてもらうこと自体もコストがかかります。人気のあるアプリでも初期投資のほとんどを会員誘致の広告費に割いているところが多く、元々相当な会員数を持つ企業が、その顧客にかなりの頻度で使ってもらわないと見合いません。もし会員アプリを使っておられる企業があれば、そのMAU(Monthly Active Users)で開発費や運用費を割ってみてください。たいていはとんでもないコストを支払ったことになります。
そこで、すでにインストールされているアプリを使う
そんな中、注目を浴びたのが「ミニアプリ」です。(ネーミングはもう少し何とかならなかったものか。 mini app なので仕方ないですが、Twitterを「ミニブログ」と言ってた黒歴史を思い出しますね。)元々中国でWeChatの上で走る「ミニプログラム」が最初でした。
詳細は、以下をご参照ください。
https://bit.ly/3apFVgd
そのミニアプリを簡単に作ることができ、しかもそれを手元のコントロールパネルで操作することができるのが、エボラニ社の「anybot」です。
https://anybot.me
このサービスには3つの特徴があります。
その1つがここまで紹介した「ミニアプリ」としての機能を専門知識や開発不要としたため、短期間かつローコストで構築できることです。
具体的なイメージはGoogle Formsに近いです。アプリの画面上に表示させたいコンテンツを管理画面で自由に選んだり順番を入れ替えたりする形で画面を作れます。画面上のボタンをクリックする時の動作を自由に指定できるため、ページ間の画面遷移、途中のメールやSlack通知、決済、予約実行などのこれまでエンジニアしかできないものを専門知識不要で実現できます。表示するコンテンツを外部から取得する必要がある場合は、API連携が設定画面で指定できるので、リアルタイムで自社のデータベースに保管された情報をユーザに届けられます。さらにブランドイメージを重視したい場合はUIのカスタマイズも自由自在にできるので、汎用ツールにありがちなUIの気になるところも解消できます。実際にこれを使ってベンツからはじめ国内外のいくつかの有名ブランドも自社LINEアカウント内で使っています。
これらの機能や特徴の組み合わせによってオンラインの問い合わせフォーム、来店予約、アンケート、簡単なECや決済機能などまで企業のニーズに沿った形で自由に組み合わせたものをそのままLINEやメッセンジャー、自社のウェブページ上で使え、顧客側は特に新しいアプリをインストールしてもらう必要がありません。もちろん事業者側もOSなどの更新時に、何かの作業を行う必要がありません。
2つ目は、顧客が画面上で行う動作の一つ一つも自動的にユーザデータに保存され、顧客がこれまで取った行動や選択または答えてもらった内容をもって自動的にセグメントに分けられることです。セグメントの属性情報を持って、一括の配信や、ユーザごとにパーソナライズされた自動接客も実現できます。
簡単な例を挙げますと、ミニアプリのフォームで女性かつ30代の情報をanybotに共有した後に、性別=女性 AND 年代=30代のセグメントに自動的に振り分けられ、このグループにマッチする自社商品をECアプリのようなUIのミニアプリ上で演出できます。
そして3つ目の重要なポイントは、基本的にチャットボットであるということで、現在のサイト運営に不可欠なチャット機能をコード一本でサイトに付加できることです。さらにこの機能は、同じものを電話、メール、LINE、メッセンジャーと連動させることができ、anybotが提供する管理画面でチャネルを跨がったCRMの統合管理を実現することができます。
このように、顧客がすでに持っているアプリの上で自らの価値を提供することは、ファンである顧客に利便性を提供し、ファンにしたい人たちをひきつけた上で、その人達を管理して効率的に運用できるということなのです。
デジタルマーケティングを基礎から総合的に学ぶには
Google アナリティクスをはじめとしたGoogle系のツールは、その使い方を知ることも大切ですが、使うための戦略や設計が必要です。それは、ビジネスに成果をもたらすために必須の考え方です。