<セミナー参加レポート>【新春特別セミナー】これからのウェブ解析・広告運用レポートの話をしよう

こんにちは。上級ウェブ解析士の宇田葉子です。公益社団法人に勤務し、福祉に関する情報を発信するウェブサイトの管理者をしています。

私は2019年にウェブ解析士、2020年に上級ウェブ解析士を取得しました。そこで学んだことを活かして、クライアントに月次レポートを作成しています。
しかし、そのレポート作成は 「Google アナリティクスからcsvデータをダウンロード」→「Excelで集計」→「PowerPointにまとめる」というもの。
グラフの体裁を整えたり、分析コメントのチェックを受けていたりすると、毎月のレポート作成は数日がかり。どうにか効率化できないか、と思っていたところに、ウェブ解析士協会からセミナーの案内がありました!

【新春特別セミナー】これからのウェブ解析・広告運用レポートの話をしよう

これは今の私にピッタリのセミナー!しかもオンライン開催で参加しやすい!というわけで、さっそく申し込みました。

それでは、前置きが長くなりましたが、当日の様子をレポートさせていただきます。

目次

セミナー参加レポート

ウェブ解析士マスターの佐々木秀憲氏の開会挨拶のあと、早速第1部が始まりました。

第1部:これからのプロモーションに関わるデータの関係者間の情報共有のあり方とは

スピーカー 株式会社JADE 取締役 小西一星氏

第1部は、株式会社JADE取締役の小西氏より、クラウドのレポーティング環境の構築の有用性と、その概要についてのお話でした。

クラウドでレポーティングできるようにすると……
  • 分析する側の「確認する」→「分析する」→「わかりやすく表示する」がスムーズになる。
  • さらに報告を受ける側も「共有されたものを加工してさらに違う視点で確認して、返す」がしやすくなる。
  • また、報告する相手によってフォーマットを変更可能

例:アクセス状況を深掘りしていきたい営業マンと、最終的な数字の報告だけあればよい経営層では、求めるレポートの内容が違うので、それぞれに報告したい内容を設定しておくことができる。

つまりは、

異なる複数のデータソースの、その中の様々な粒度で、くっつけたり切り離したり絞ったりして、横断的、俯瞰的に見ることができる

そしてそれがとにかく速く、早く、自由にできる

と、いきなり未来感あふれるお話がありました。そ、それはすごい! では、どうやったらそんなことができるのでしょう?

クラウドのレポーティングに必要なもの
  • API(データを取得するため)
  • データウェアハウス(データを格納しておくもの。BigQuery、Redshiftなど)
  • BIツール(データを取り出していい感じに表示するもの)

なるほど、なんとなく全体のイメージはつかめました。

でも実際にやるにはハードルが高いなぁ、APIやBigQueryなんて触ったこともないし、と思っていたら、小西氏からこんな提案がありました。

〇ちょっと難しいので誰か(何か)に頼るところ
  • APIを扱うスキル
  • データウェアハウスを扱うスキル
〇自分で覚えるところ
  • SQLを書くスキル
  • BIツールを扱うスキル

自分で全部やらず、上手に外部の力を借りて行けばよいのなら、やれるかもしれない、と感じ始めていたら、最後に小西氏から私たちウェブ解析士に激励メッセージをいただきました!

「クラウドのレポーティング環境を整備することは、ウェブ解析士のみなさんにとって、ぴったりな仕事なはず!」

「絶対に一般的に普及する。しかしまだまだ広まっていない今こそ、一歩抜きん出るチャンスです」

これは刺さりました!頑張ります。

第2部:容易になったデータウェアハウスを利用したデータのインプットとアウトプット

スピーカー アジト株式会社 代表取締役 林 康頼 氏

第2部は、アジト株式会社の代表取締役の林氏より、ウェブのアクセス関連データの入出力にデータウェアハウスを利用することについての解説でした。

まずは、第1部の小西氏の話を引き継ぐ形で、レポーティング環境が変わってきたことをおさらいしてから、BIツール(ビジネス・インテリジェンス・ツール、 英語: Business Intelligence tools)についての説明がありました。

そもそもBIツールとは何かというと……
  • BIツール(ビジネス・インテリジェンス・ツール、 英語: Business Intelligence tools)とは、企業の基幹システムで生成されたデータを、 ユーザ自身が抽出・加工するための アプリケーションソフトウェア 
  • BIツールには ”tableau”、”Google データポータル”、”Power BI”などがある

そして、Google データポータルでのレポート作成を自動化する工程の解説です。

こうして図になると分かりやすいです。データ元(インプットデータ)には、Googleの解析データだけでなく、SNSの広告データなどもありますね。
私も解析レポートを作成する時には、Google アナリティクスでは取得できないSNSのデータは別に集計しています。

そうしてデータを集めておくための場所が、「データ集積基盤」になります。ここでデータを一元管理するために、以下のことを行います。

  • 複数のデータ元ごとにAPIを実装
  • API接続後もAPIのアップデート対応
  • APIが提供されないデータ元は他の方法で収集(csvで入れておくなど)
  • 収集したデータを綺麗に整形して蓄積(これが重要!)
  •  必要なデータをリアルタイムに出力

この環境構築は、自社開発することもできますが、外部ツールの利用が、中でもGoogle データポータルへの出力を考えるとBigQueryを使うのがおすすめ!ということでした。

そこから、各データをBigQueryに入力→Google データポータルへの出力の流れについて解説。アジト株式会社が提供するDatabeat ExploreというSaasの紹介を交えながら、Google データポータルにアウトプットしていくデモを見せていただきました。

途中、参加者から

「BigQueryの費用がとてもかかりそうで心配です」

という質問がありましたが、

「億単位の広告運用をしている企業でも、データの使用料は数万円台前半程度です。データを出力するときにSQLでデータを絞れば、莫大なデータ量になることはありません。」

という嬉しい回答!

費用面の心配も少ないのなら、やるしかないのでは!という気持ちになってきました。

第3部:これからのウェブ解析士の仕事のありかた

スピーカー 一般社団法人ウェブ解析士協会代表理事 江尻 俊章 氏

第3部は、ウェブ解析士協会の代表理事の江尻氏より、これからのウェブ解析士の仕事について、見解をお話しいただきました。

まずはウェブ解析方法の変遷や、その背景についての振り返りです。

西暦2000年ごろから、「ウェブサイトのアクセスログデータがマーケティングにも使えるのではないか」、ということで、ログの解析が広がってきました。
2005年ごろからGoogle アナリティクスなどのサービスが始まり、そのあともGoogle Tag Managerが登場するなど、ウェブがどんどんマーケティング領域で活用されてきました。

メルマガ配信時にパラメータを設定して、その後のページ訪問や問い合わせ電話の着信などと紐づけ、マーケティングデータにする、というように活用してきたのです。

それがここにきて、転換期を迎えています。

それは「個人情報の収集は絶対悪!」というもの。

2020年には改正個人上保護法が成立。これまでCookieなどで集められてきた情報を取得できなくなってきました。
OSブラウザがトラッキングを消去するようになり、たとえばiPhoneからアクセスされた情報は7日間で消されるようになってきました。また、DuckDuckGoなど、トラッキングしない検索エンジンなども登場しています。

これはどういうことかというと、今までのように、自社のサイトを訪問した人にリターゲティング広告を出したりすることができなくなってきている、ということです。

ただ、ECサイトのカート情報は、残さないわけにはいかないので、そこは必要悪としてデータが存在します。つまり、マーケティングに活用できるデータとしては、これを分析するしかありません。

というわけで、この時代にウェブ解析士に求められるのは、収集できるデータを一元管理し、そこから地道にカート情報とアクセスログとをマッチングをかけて紐づけていくような作業が必要になってきます。それには、2000年ごろに、Urchinを動かして生ログを解析していたベテランのスキルが活きるはずです。

おじさんよ立て!立つんだ!

ベテランのウェブ解析士に向けて、江尻氏の話は、このようなエールで締めくくられました。

第4部:SQL基礎とデータポータルの使い方

スピーカー ウェブ解析士マスター 株式会社Task it 代表取締役 佐々木秀憲氏

第4部はウェブ解析士マスターの佐々木氏から、クラウドのレポーティング環境構築に必須となるSQLの簡単な説明と、データポータル画面のデモがありました。

SQLはデータベースの操作言語、と聞くと身構えてしまいますが、「イメージはExcelのVLOOKUP」と聞き、それなら使えるかも、という気持ちになってきたところで、
「SQLの命令は以下の4つのみ。さらに、ウェブ解析のデータ抽出に必要なのは『SELECT』のみ。」と、心理的ハードルが下がる解説もいただきました。

そして、佐々木氏の操作による簡単なデモ。SQLで抽出したデータを読み込ませたら、みるみる画面上にグラフが出てきました。男女別の色分け、なども自由自在です。

またまた、私を勉強する気にさせてくれる内容でした。

第5部:パネルディスカッション〜これからのウェブ解析・広告運用レポートの話をしよう〜

最後は参加者からの質問に答える時間でした。

「BIgQueryとGoogle データポータルのデータのやり取りは無料なのでしょうか?」

→完全無料ではありませんが、毎月1テラくらいまでは無料で使えます。そこまで大量のデータでなければ心配いりません。さらにGoogle Could Platformのアカウントを新設すれば、今なら300ドルのクレジット枠ももらえます。

「Google アナリティクスのiPhoneのリピーターは本当に7日過ぎると新規になっていますか?」

→OSのバージョンアップの状況にもよりますが、通常は7日を過ぎると新規訪問者になっているようです。

「レポートが苦手で嫌いです。どうすればよいレポートを簡単に作れますか?」

→レポートを作ろう、と思うから苦手なのでは?広告運用の報告など、一連のストーリーを作ればレポートは自然とできてきます。

お知らせ

また、最後に以下のお知らせがありました。

2/20(土)13:00〜18:00 クラウドレポーティング講座

https://web-mining.doorkeeper.jp/events/117606

→クラウドレポーティングをする初心者の方でも参加できる講座。

 ※ただし、「Google アナリティクスやGoogle 広告自体について」の解説はなし。

セミナーの参加を終えて

クラウドレポーティングについて、有識者の方々からの「何ができるかがイメージしやすく」「挑戦してみようかと思わせてくれる」セミナーでした。ありがとうございました!

デジタルマーケティングを基礎から総合的に学ぶには

Google アナリティクスをはじめとしたGoogle系のツールは、その使い方を知ることも大切ですが、使うための戦略や設計が必要です。それは、ビジネスに成果をもたらすために必須の考え方です。

ウェブ解析士協会では、このようなデジタルマーケティングの基盤となる「ウェブ解析」を体系的に学べる環境と、知識・技術・技能に一定の評価基準を設け、あらゆるデータから事業の成果に貢献する人材を育成しています。

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この記事を書いた人

認定NPO法人フローレンス 代表室 Webディレクター
上級ウェブ解析士/上級SNSマネージャー/保育士

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