こんにちは。ウェブ解析士のクーヴェです。今回は表参道の美容院Garlandのトップデザイナー・高橋遥菜さんのFlashセミナーに参加しました。
美容業界では、これまで大手ポータルサイトを中心とした集客が中心でしたが、最近ではInstagramを中心としたSNSへと集客の場が移り変わってきているようです。
本セミナーでは高橋さんの実体験から、リアルなInstagramの活用術を学ぶことができました。
現在、美容師として集客に悩まれている方にとってためになる内容であることはもちろん、企業のSNS担当者としてもどんな風にInstagramを運用していけばいいのか非常に参考となるお話でした。
Instagramと美容師としての売上の相関関係について
上の図は高橋さんが美容師としてデビューしてからの売上の推移です。
Garlandでは3ヶ月間連続で30万円の売上を維持することでようやくアシスタントの状態からスタイリストへとデビューできるようになっているとのことです。
そのため、できるだけ早くスタイリストとしてデビューしたかった高橋さんは友人に来店をお願いして早々に目標金額を達成されました。
2018年8月にスタイリストとしてデビューし、初めて大手の美容ポータルサイトに自分の写真を載せ、指名予約ができるようになるシステムとなったそうですが全く反響がなく、スタイリストデビュー後すぐに月の売上が30万円を下回るようになってしまったそうです。
1日1回カットさせてもらえるかもらえないかといった状態で「アシスタントの時よりも給与が下がってしまった」と高橋さんは仰っていました。
美容師の仕事というと、一般的にはカットなど技術面にフォーカスして腕を磨いているイメージがあります。
実際にカットの技術は先輩美容師から学ぶことができるそうですが、集客の方法はノウハウを持っている美容師も少ない上、個々人で試行錯誤してトライ&エラーを繰り返しているのが実情だそうです。
そんな高橋さんのターニングポイントとなったのがInstagramの活用でした。
ヘアアレンジ動画の投稿で3ヶ月間でフォロワー+3000人を達成!
2019年は”ハンサムショート”が流行ったこともあり、高橋さんは髪をショートヘアーにしました。
その際、ロングヘアーは髪の毛の長さを活かして様々なアレンジのバリエーションがあるのに対して、ショートヘアーのアレンジはできることが少ないことに注目し、ショートヘアーでできるアレンジの動画を中心にInstagramへ投稿したところ3ヶ月間でフォロワーを3,000人増やすことができ、売上もスタイリストデビュー当初の3倍にまで伸ばすことができたそうです。
2019年当初、Instagramは動画が投稿された順にタイムラインへ表示される仕様となっていたためお客さんが見やすい夕方〜夜の時間帯を狙って動画を投稿していたそう。
※2021年3月現在、アルゴリズムが変更となり投稿順にタイムラインへ表示される仕様ではなくなっています。
潜在的なお客さんのニーズを意識してInstagramへの投稿を進めていったことがフォロワーのハートを掴んだポイントになったようでした。
マーケットのニーズを掴んだインナーカラーの写真投稿
ヘアアレンジ動画がバズったことがモチベーションとなり、高橋さんは動画や写真をInstagramに投稿し続け、以降フォロワー数・売上を継続的に獲得していきました。
Instagramへの投稿を継続して続ける中で2019年9月にお客さんからの希望で施術したインナーカラーが人気となりフォロワー数を更に獲得し、売上アップにも繋げられたとのことです。
それまではヘアカラーについては特に意識して投稿していなかったが、この投稿がバズったことをきっかけにヘアカラーやヘアデザインも意識して投稿するように方向性を変えるよう意識されたとのこと。
コロナの感染拡大が始まり緊急事態宣言の発令を受けて美容院が一時的に休業となったことで売上も大きく落ち込んだ時期があった一方で、緊急事態宣言解除後にはコロナ影響でリモートワークになったからこそオフィスでできないヘアスタイルに挑戦したいといったニーズや韓流ブームの後押しもあって、2019年9月に投稿した写真より派手なインナーカラーの投稿が人気となり、再びインナーカラーの投稿がバズり、100万円近くの売上を上げることができたそうです。
インナーカラーは白髪隠しの効果もあるようで、主婦層のフォロワーやお客様も増加するという、予期していない効果もありました。
インナーカラーの投稿のヒットは何がウケるか読めない時代だからこそ、試行錯誤の中で継続してきた投稿がバズった好例だと思います。
誰に向けた発信なのか意識する
Instagramではフォロワーの内訳や推移など様々な角度からデータを分析することができますが、中でも高橋さんが注目しているのはフォロワーの性別と年齢層だとのことでした。
20~35歳の女性で、ハイブランドが好きなタイプというよりはナチュラル・カジュアル系が好きな人に共感してもらうことを目的に投稿内容を意識しているそうです。
単純なフォロワー数の増減よりも実際に来店されるお客様のタイプとInstagramで発信している内容にギャップがないか、フォローしてくれている人と自分がターゲットにしている人が合っているかに注目することがポイントのようです。
ついつい、フォロワー数が伸びている=好調という判断をしてしまいがちですが、
Instagramをフォローしてくれる→来店してくれる→継続的にお店に来てくれる
というところまで行動変容してくれるお客様を獲得することが目的だと考えると、どんな人がフォローしてくれるのか?というポイントが最も大事だということが改めてわかりました。
これからのInstagram発信:自分らしさを大切に
「今までは美容雑誌を見てもらう感覚でアレンジ動画のように、誰かの役に立つような情報を中心に発信してきたが、これからは自分のセンスを発信し、自分の発信内容を『かわいい』とフォロワーに共感してもらうことを意識して投稿を続けて行こう」と考えているそうです。
実際、直近の高橋さんのInstagramを見てみると美容師とは全く関係ないような花の投稿やコスメ、アクセサリーの投稿が多く載せられています。
高橋さんのInstagramアカウントにアクセスした時に、「この世界観好きだな」「かわいいな」と思ってもらえるページ構成になっていることを意識して投稿をしているそうです。
▼高橋さんのInstagramの桜の花の投稿
高橋さんはジャニーズが好きだそうで、プライベートで行ったジャニーズのコンサートの写真や、ヘアアレンジ動画のバックグラウンドミュージックもジャニーズの音楽を使うようにしているそうですが、実際に「私もジャニーズ好きです!」と言って来店してくれるお客様も多いとのこと。
自分の価値観や趣向を発信することで実際にお店までお客様が足を運んでくれる好例ですね。
また、フォロワーの数が増えたことで実際に来店してくれるお客様が誰だったか分からなくなってしまったが、なるべく来店してくれたお客さんはフォローするようにしてどんなことが好きなのか、今髪型はどうなっているのか確認するようにしたりとお客さんとより交流を深めるツールとしてInstagramを今後活用していくそうです。
「がんばりすぎず、自分のペースでこれからもInstagramを活用していきたい!」というのが高橋さんの締めの一言でした。
まとめ
今回のセミナーでは美容師としてどうInstagramを活用して集客に繋げてきたのかというポイントにフォーカスが当たっていましたが、美容師然り、街の飲食店やサービス業然り、ただ技術を磨くだけでは、そもそもお客さんに認知してもらえないので売上に繋げることが難しいということがよく理解できました。
どの業態であっても、まずはウェブ上でお客さんに探してもらえる・興味を持ってもらえるということが共通して重要な課題になってきています。
高橋さんのInstagram運用は、まずは興味を持ってもらうために役立つ情報(今回のケースで言えばヘアアレンジ動画)や多くの人が興味を持っているトレンド(今回のケースで言えばインナーカラー)を発信してフォロワー数を増やしつつ、徐々に自分自身のコアのファンを増やすような投稿(今回のケースで言えば花やコスメ、ジャニーズなど自分の価値観や趣向に関する投稿)を増やしてフォロワーの質を高めるというモデルケースという印象でした。
Q&Aでは1投稿にかける時間は1動画あたり30分、写真であれば見栄えを微調整加える程度なので数分という回答をされていましたが、
初期の方はヘアアレンジ動画中心の投稿で工数をかけながらも試行錯誤してお役立ち情報を中心に発信していたのに対し最近では自分の世界観をうつす写真の投稿を中心に、あまり工数をかけず楽しみながら継続していく方向にシフトしていったというお話も美容師という本業に支障をきたさず無理なくInstagramの運用が続けられる大きなポイントだなと感じました。
高橋さんのようにまずは投稿、の第一歩に踏み出しトライ&エラーを繰り返しながら楽しくSNSをビジネスに活用していきたいですね!