上級ウェブ解析士、チーフSNSマネージャーの積です。
今回は、実際にコンサルタントをした企業のSNSの成功事例をいくつかご紹介いたします。
みなさんは、 SNSはBtoC企業だけのものと思ってませんか?
もちろん一般の消費者とのつながりを構築し、ファンを増やすマーケティング手段と考えるのが普通なのですが、実は一般の消費者や利用者とつながることだけではなく、取引先や社員への影響を与えることも可能なのです。
もしみなさんがBtoB企業でマーケティングを担当しておられたり、クライアントがおられたら、このような事例も参考にしてください。
業務用トイレットペーパー工場が活性化した事例
クライアントは富士山のふもとで「業務用のトイレットペーパー」を製造して全国に卸しているメーカーでした。
トイレットペーパーと言うものは富士山の裾野で国産の4割程度が作られていて、もし富士山が噴火したら日本中大変なことになります。で、業務用なのですから、お客様は「鉄道の備品課」とか「地方自治体」のような地味な方々が相手で、SNSを見て「きゃー」「ばえる〜」なんて言ってくれるわけもありません。
このメーカーはもちろん自社工場をお持ちで、そこには80人ぐらいの工員の方がおられました。社長やおお担当者の方々と話しをして、この工員の方すべてに「Twitterのアカウント」を持ってもらい、日々の作業を投稿してもらいました。
最初はよくわからないと、中々使われることはなかったのですが、やがてポツポツと投稿する人が出てきて、中には楽しんで投稿する人も出てきました。
やがて、これまで「作業方法の改善」や「新しいやり方」を考えて報告しても、上長の喜んでもらうのがいいところだったのですが、全然知らない人からコメントがはいったり、いいねしてもらったりすることに喜びを覚えるようになった来たのです。
もちろん、最後まで抵抗する人もいましたが、半分近くの工員の方は工夫して投稿を続けるようになり、工場は明るくなって行きました。
北海道の農機具メーカーの事例
次は農機具メーカーの事例です。
お客様はもちろん農家の方ですが、実は農家に販売しているのは大きな農機具メーカーの販社です。この会社は、日本全国の販社から納品された農機具を設定しに行ったり、展示会などを行っていました。展示会といっても、農閑期の原っぱに機械を並べ、説明員がついてるだけのもので、まさかコンパニオンが愛想を振りまいているはずはありません。(売れると思いますけどね)
農家のお客様に自社の農機具を指名してもらうには、意外なことにYouTubeが効きます。単に検索で商品カタログを見るより、動いている状態を確かめるための動画を見たいというニーズも多いのです。
ところがある程度人数のいる営業マンは日本中を飛び回っており、本社には事務員が数名いるだけなので、動いている自社製品を掲載するハードルは高かったのです。
そこでこのメーカーは「営業マンの営業報告をSNSで」という変わった方法を取りました。
自分が納品してセッティングして動作確認をした農機具を、文書での報告の代わりに動画で撮影して報告させたのです。
業務での報告ですから、嫌がるわけにはいきません。全国からどんどん動画が集まるようになり、本社ではそれを片っ端からYouTubeにアップしていきました。
今では農機具の「関連動画」に出現することも多くなり、そこからの問い合わせも増えているということです。
食品の卸問屋の事例
食品の卸問屋の事例を紹介します。
問屋というのはブランディングの難しい業態で、メーカーのように「商品」を売り物にするわけにもいかず、小売店のように直接消費者と相対するわけでもありません。たとえばリクルーティングにも苦労するところが多いです。
この食品の卸問屋でも「SNSの展開をどうするのか?」ということになりました。
実はこの会社の社員の方はとても明るい人が多く、会議でも笑い声が耐えないという(いいのか悪いのか)会社でした。
何とかその雰囲気が出せないものかと、40人ほどの営業マン全員に「毎日の営業活動を投稿してほしい」と投稿方法を教えてやってもらいました。単に日記のように毎日の投稿をするだけだったので、比較的ハードルが低く、どんどん投稿は増えて行ったのですが、まったく元の「食品問屋」の痕跡もない、おじさん達が楽しく働く姿ばかりのアカウントが出来上がりました。
たまたま業務拡大で中途採用を増やそうとした時に、その効果が現れました。
なんと応募者の半数以上が、志望動機に「Twitterでみて楽しそうだったから」と答えたのです。
これまで人材確保に苦労していたこの会社は、SNSにこんな効果があるとは思っていませんでした。(コンサルタントとして勧めた僕も思っていませんでした)
企業人事部の事例
この会社は企業に研修などを提供する事業をしておられます。今年の新入社員がSNSの運用を担当し、慣れないなか、Facebook、TwitterやYoutubeなどを運用していましたが、やはりある程度のKPIの達成を求められると、うまくいかないこともあります。
そこで、まったく自由にTikTokのアカウントを作って、半ばストレス解消ように運用(というより気が向けば投稿)を続けてもらってました。年代的にはピッタリですが、自分達も実際活用をしてるとは言えない状況だったので、あまり「いいね」ももらえず、フォロワーが増えることもなかったのですが、たまたまイベントの待ち時間にスタッフのダンスを載せたところ、1日で5000以上の「いいね」がついて、フォロワーも大幅に増えるということがありました。
もちろん、「いいね」をしてくれた人やフォロワーの方々がそのまま就活生なわけもなく、本来の目標に対してどうかのかとは思いますが、当人達は間違いなくやる気がでるし、年代と目的からも、期待を持っていい事例なのではないでしょうか?
まとめ
BtoB企業のSNSと言うと、最初は「対象となる顧客企業とのコミュニュケーション」を目的に考えてしまうかも知れません。もちろんそれも重要な手段の一つですが、それだけでは複数のSNSを運用するメリットや効果は限定的になるかも知れません。
事例にあったような社員の活性化の事例や就職希望者の増加など、SNSが一般化した今だからできる活用方法を考えてみてください。