“ウェブしか知らない、では話にならないから”
株式会社メンバーズ(以下メンバーズ社)は、クライアント企業のネットマーケティングを支援している会社です。クライアント企業には、メガバンク、アパレルメーカー、飲料メーカーなど国内大手企業が名を連ねています。
2013年4月、メンバーズ社は社内の認定資格として「ウェブ解析士」を導入しました。
認定資格化から約一年たった2014年2月下旬、ウェブ解析士を社内認定資格にするにいたった理由や狙い、受講生の活躍の様子などを聞いてみました。
最初にお話をうかがったのは、経営企画兼人材開発室担当の高野明彦 執行役員です。
なぜウェブ解析士を研修に取り入れようと思ったのですか?
高野選んだ背景はいくつかあります。一つ目は、そもそも僕らが高めていくべきマーケティングスキルって何かと考えた時、顧客インサイトとPDCAが最重要ということになったのです。ウェブサイトを活用したマーケティングにおいてデータ解析に基づいて顧客インサイトを得ることとPDCAを回すことは基本のスキルです。
もう一つは、毎年クライアントに対する顧客満足度調査をやっているのですが、その回答で常に言われることがあります。それは「もっと提案が欲しい」という要望です。
提案と一言で言ってもいろんな側面での提案が可能ですが、会社としては、データ解析に基づいた提案を増やすという方針を立てました。僕らはずっと大手クライアントの運用業務をやってきたので、データ解析に基づいた提案をその中で効果的にするために、ウェブ解析のスキルを向上させるべきと考えました。
クライアントが「提案を評価する目」に変化を感じますか?
高野弊社のクライアントである大手企業様の中でもウェブサイトの重要性がどんどん増していて、ウェブ戦略は経営戦略とより密接となり、経営レベルでの重要課題として予算規模も上がっているんです。するとこれまでよりビジネス成果に明確につながる精緻な取り組みが求められ、提案時には「その根拠はなんだ?」と当然に問われるようになっています。そうなると分析やデータで示すということが欠かせません。
こんな背景があり、PDCAを回したり、データに基づいた提案をするスキルを総合的に学べる資格がないかと探して見つけたのがウェブ解析士講座でした。
研修に取り入れて1年、受講者は100人を超えました。
実際に取り入れてみてこの講座はいかがでしょうか。評価をお聞かせください。
高野本当にビジネス視点でカリキュラムが組まれているのがすごく良いなと思っています。特に上級講座でそう思います。
なんというか、ウェブ屋はウェブだけになりがちじゃないですか。近視眼的で視野がせまくなりがちに。でもそれじゃいけないんです。
僕らは、メンバーズグループ全体として「ソーシャルメディア時代をリードし、顧客と共にビジネスを創造するネットビジネスパートナー」を3ヵ年のスローガンに掲げています。
大手企業様でこの先どんどん重要になってくるウェブサイトとか、ソーシャルメディアマーケティングとか、そういうところを担う僕らは、お客様のビジネスがどうなっているのか意識して、その成果のために働くビジネスパートナーなんです。
でもそういう視点で作られた講座ってあんまりないじゃないですか。解析ツールの学び方みたいなのはあるかもしれないですけど、この講座のように、ビジネス視点で作られているって、なかなかないんですよね。
クライアントのビジネスを理解するのは大切ですよね。
高野クライアントに対して僕らのプロデューサーがやることは、ビジネスパートナーとしてクライアントのマーケティングとビジネスを理解して貢献すること。そして僕らがそこをリードしなければいけないんです。
だからウェブの事しか知らないのでは通用しませんし、クライアントとお話する時は、きちんとクライアントの経営戦略やマーケティング戦略を理解して、その中でウェブをビジネスにどのように活かしていくのかということが重要なのです。
続いて実際にウェブ解析士講座を受講した方にお話を伺いました。
船山さんは入社2年目で、プランニングやディレクションを主に担当しています。大学では言語学を専攻し、ウェブ関連の勉強を始めたのは卒業後メンバーズ社に入社してからだそうです。初級講座は2013年6月、上級講座は2013年12月に受講しています。
ウェブ解析士講座の受講前後でなにか変化がありましたか?
船山一番大きく変わったのは、考え方です。それまではツールの使い方などを重要視していたのですが、そうではなく、ウェブ解析士のゴールは分析する事じゃなくて改善施策を提案し、成果を出すことという部分。そのマインドが一番身についたというか、むしろそこが一番重要なのかなって思っています。
施策提案の具体例はありますか?
船山ちょうど最近、2〜3週間くらい前に、レポーティングのお仕事でクライアント企業のそのコミュニティサイトを分析をしたんです。Google アナリティクス(※解析ツール)のアカウントを開示していただいて、どのくらいのPVや訪問者数があるとか。
その分析の中で、ウェブ解析がすごく活きました。
コミュニティサイトの分析で行ったことの1つに「ユーザーをセグメントに切り分け、セグメント毎に訪問者数やユーザーの割り合いを出す」ということがありました。コミュニティサイトのコアユーザーってどのセグメントなんだろう、というところを探り当てるような分析作業です。
その時、ユニークユーザー/リピーターとか、このページを通ったユーザー/通っていないユーザーとかでセグメントを切って解析をしました。このコアユーザーだったらこのページは訪問するだろう、という仮説を立てて、実際にそこのページに訪問しているユーザーの訪問者数とか滞在時間とかを見たら、やっぱり明らかな違いが見えてきたんです。
解析士講座を受ける前にはそういう分析の仕方はやったことがなかったし、周りからもそういうアドバイスは特になかったんです。
クライアントからの評判はいかがでしたか?
船山そのクライアントは、解析結果のプレゼンに対しては意外感を感じたようです。普段は解析ツールを使っても、PV数とかを大雑把にしか把握していなかったので。セグメント切って、このユーザーはこのページをよく見ているんじゃないかとか、コンバージョンに至るユーザーはどういう経緯で来てる場合が多いのかとか仮説を持って調べてみると、そのクライアントは全然気づいていなかった大きな発見があったんです。
結果として、クライアントからは「コミュニティの現状がそうなっているとは思ってませんでした」というお声をいただくことができました。
メンバーズのみなさま、ありがとうございました。
メンバーズ社は、様々な業種のクライアントに対してウェブ制作やマーケティングの提案を行っています。それを支えるのはやはり個々人のスキル、しかも机上の空論ではなく、ビジネスから考えられた、現場で役立つスキルです。
ウェブ解析士認定講座では、そのようなスキルを覚えてもらえるようなカリキュラムをご用意しています。メンバーズ社のように「変化を求める」企業の方は、社員研修への導入をご検討していただければと思います。
インタビュアー:ウェブ解析士協会 宮崎