清水さんが見ている孤高の視点がどこまで腑に落ちるか
コンセプトダイアグラムとビジュアライゼーションの本。
この分野では文句なく彼が第一人者。いままでブログとセミナーで断片的にしか知ることができなかった彼のノウハウが分かる貴重な書籍。
世の中のWeb解析の99%はサイトの問題点、広告の問題点を指摘するレポートである。
彼はそれを意味がないとバッサリ否定している。
それが分かるか?
この本を実務に使えない人は、まだ表面的なWeb解析しか分かっていない。
清水さんは2つの視点で駄目出しをしている。
1つは多くのウェブ解析で使われる指標はダメだということ
もう1つはよくあるウェブ解析のレポートではダメだということ
である。
それはなぜか、ユーザを見ていないからである。
ユーザの体験を把握し、その動きから施策の成否を判断するには、Google アナリティクスなどの解析ツールが出すセッションやら直帰率のような「よくある解析結果」を眺めててはダメ、ユーザの動きに沿った指標を立てなければならない。
これが分かる!実践できる!というなら、マイクロコンバージョンを立てた上でGoogle アナリティクスなら、イベントやカスタムディメンションを設定し、カスタムレポートをたてる。Adobe AnalyticsならイベントやeVerを立てる。そのためのビジネスの把握がコンセプトダイアグラム。
ってことがわからないと、コンセプトダイアグラムが単なるポンチ絵で終わってしまうので注意が必要。
ビジュアライゼーションは去年海外ごろからよく聞くのだが、彼が理想とするビジュアライゼーションされたほとんどレポートを見たことがない。
ビジュアライゼーションは言葉のイメージに関わらず、引き算のデザイン。伝わるレポートの真髄はここにある。もっと私たちは数字の表現方法を学び、実践しなくてはいけない。ビッグデータよりずっとずっと大事。ぜひ本書でも推薦している information Dashboard Designを手にとってほしい。Second Editionでいいでしょう。魔法使いの呪文の書のようにでかいですがw
あ、コンセプトダイ”ア”グラムですよ、ダイヤグラムじゃ電車の運行表になっちゃいますのでw
僕ならこの本をUX Web解析って名付けたかもね。
業界で長年培ってきた視点、常に実務者である姿勢、解析を鵜呑みにせず、かといって、不信感も見せずに、捨てるとこを捨てて本質にせまる踏みこみ方、求道者を感じさせます。さて、その視点をどこまで感じられるか?その視点を自分の中に取り入れられて行動できるか?ですね。
最後に、一つ要望をあげるとすれば、コンセプトダイアグラムから具体的指標に落とし込むところがキモなので、各コンセプトダイアグラムに指標例があると、もっと読者に伝わりやすいのではないだろうか?と
ところで、アスキーさんのこのシリーズって新しいジャンルだな、と思う。ムック的というか。その時点でのプロの思考回路をスケッチして、好きなようにフォーマットも変えている。内容も変わるだろうから、1とか、2とか2015とかつけたほうがいいかも。
最後にウェブ業界の本は必ず電子書籍を出して欲しい。もう本持ちあるいているスペースありません^^; この本は買ったら付いてくる電子版もあるので、その点でもありがたいですね♪
一般社団法人ウェブ解析士代表理事 江尻俊章